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受注多い!イコール売れている!ではない

★友人とショップリサーチをしたときの話

先日、私の友人である生地関連の仕事をしている某A氏と下北沢→原宿→中目黒と。服屋をプラプラとリサーチをしました。

 

A氏には、別の目的もあり、そのことで相談を受けました。
A氏が現在、仕事をしている某カット関連の工場から、セレクトショップに卸せるようなブランドを立ち上げたい!という相談を受け、悩んでいる。私に、MD目線での意見を聞かせてほしいとのことでした。

 

話を聞くと、その工場で作ったあるブランドの商品は、現在セレクト中心に多くの枚数の受注を受けていて人気があり、それならば自分らでブランドを立ち上げた方が儲かるだろう!というのが動機だそうです。

★作り手が感じる”付加価値”は顧客には響かない?

A氏と私は、某店舗に置かれている、その商品を見に行きました。
私が、その商品をみた感想としては。。。吊り編み機で製作された生地は、マニア心を擽るものでした。デザインは極めてベーシックなので、トレンドに左右されず店頭で長く置ける商品だとも思いました。そして、値段もこなれていました。

 

話を戻し、その工場は、あるセレクトショップをターゲットとし、そこに商品を置いてもらいたい。そして、できるだけ高い掛率(仕入原価率)で商品を卸したいし、そのことが安易にうまくいくだろう!と考えている。とのことでした。

A氏に感想を求められた私は。。。

 

”それ間違いなく失敗するよ!”

 

とと言いました。

理由を以下箇条書きで記載すると。。。

 

・有名セレクトショップは高い掛率で仕入をすることは殆どない。(ごく一部の有名BRだけ)
・セレクトショップの品揃えと、工場が提案したい商品があっていない。(違うセレクトなら可能性はある)
・商品はベーシックで良い商品ではあるが、ユニクロにも似たような精度の高い商品があり、売れ筋にはならない。
・実際、店でその商品を見たときには、棚の一番下に置かれていた。(しかもサイズ欠けしていない)
・要は、品揃えとしてあればいい!という位置付け商品で、受注はついてても店頭で売れていない。
・吊り編み機が売りになるのは、ごく一部のマニアックなセレクトだけである。

 

このようなことを伝えました。

吊り編み機で成功したブランドでは、ループウィラーが有名で、他にもそれを売りにしているブランドはあります。ですが一部のマニアしか付加価値を感じないその席は、もうすでに飽和状態なのです。

私は吊り編み機で生地を織っている現場もみましたし、その貴重さというものは理解できます。

ですが、古着マニアな私でも、実際着用してみると、何がいいのか?あまりわかりません。逆に粗野な裏毛の方が、個人的には好きだったりします。

★卸から小売りへの受注の多さは、売れる!とイコールではない。

今回のことで怖いな!と感じたのは。。。

 

卸ブランドの商品が展示会で受注がいっぱいついた→それは売れている!と安易に思い込む人が、なんと多いことか!ということです。

 

今回のリサーチでもわかったように、卸側の商品が、多くの小売りから受注がついたから売れる!というのは、上記で述べたブランドの商品が、店の目立たない一番下の棚に商品を展開されていたように幻想でしかありません。

実際、私の昔の知り合いは、展示会で多く発注がついた商品を売れる!と思い込み、次回の展示会用にその商品を前倒しして、多く仕込みましたが、(その方が原材料等商品の原価が下がるから)展示会で受注がつかず、最終的には会社を倒産させていまいました。

 

この業界には、持っている技術を活用して、ブランドを立ち上げ金儲けしたい!と考えている人が多くいます。そのこと自体は別に悪いことではありません。

しかしながら、安易な考えでブランドを立ち上げる前に、最終的には誰がお金を払っているのか?という根本を考え、そのことを調べ、現場に足を運び、きちんと前始末・シミュレーションをする。その重要性を認識してほしいものです。

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