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EC専業ブランドの在庫は増え続ける??

★D2Cブランドという言葉を聞かなくなった気がする。

昔ほどメディアに持て囃されなくなった業態で、私がすぐに思いつくのは”D2Cブランド”です。何故”to”ではなく”2”なのか?というのも、個人的には香ばしさを感じる部分ではありましたが、そもそもD2Cブランドの定義って何なの?ということで、ネットで一番それらしい文言を探してくると?

”D2Cとは、「Direct to Consumer」の略で、企業がECサイト(自社が商品を販売するためのインターネットサイト)上で、顧客に直接自社製品を販売する販売方式を指します”

と、記載されていました。この文言や個人的な主観でD2Cブランドの定義を勝手に判断させて頂くと、(基本的には)実店舗を持たないEC専業ブランドということになるでしょうか?ということで、今回は(基本的には)実店舗を持たないEC専業ブランドについて、気になる点を記事に纏めます。

 

★EC専業ブランドは在庫が多いのではないか?

私がEC専業ブランドで一番気になる点を、先ず述べますと、それは。。。

「在庫が(想像以上に)多いのではないか?」

という点です。特に、精度が低いのでは?と感じている点は、私の専門分野であるマーチャンダイジング(以下MD)がテキトーなのでは?ということです。以下、EC専業ブランドのMDの問題点なのでは?と懸念される点を、以下箇条書きしますと。

①標準店舗の概念がない
②商品分類・管理ルールがテキトー
③MD予算設計・管理を行っていない
④セールをしないことが、良いことだと勘違いしている?

この点です。以下、各項目ごとに話を進めていきます。

①標準店舗の概念がない

先ずは、①に関してです。実店舗における標準店舗は、商品の標準的な展開数が定められています。このことが基本設定となり、年間で投入できる商品アイテム・SKU数が設定されます。また、在庫が増えてくると店舗に展開出来なくなる商品を一見することが出来るので、在庫管理の意識が高まります。しかしながら、EC専業ブランドのウェブサイト上には、無限とまではいいませんが、かなりの商品が展開出来ます。このことで、在庫意識が実店舗を展開している組織よりも希薄になりがちです。実際、私もこの仕事を始めてから、そのような現場に数度遭遇したことがあります。

②商品分類・管理ルールがテキトー

次はこの点です。EC専業ブランドの方には、やたらとデジタル分析が得意と自認されておられる方々が多いと存じますが、MDに関しての分析が稚拙な組織が多いのでは?というのが、私の印象です。特に、大分類(部門)→中分類(品種・カテゴリー)→小分類等のルールの設定がテキトーだと、まともな商品分析等は出来る筈もありません。更に言えば、”適時”に関するルールがテキトーなのも頂けません。販売期間・販売終了日等のルール・定義がテキトーだと、在庫を多く余らせてしまう要因となります。

③MD予算設計・管理を行っていない

②のルールがテキトーだと、当然のことながら、MD予算設計・期中の管理・運用もテキトーになってしまいます。このことが出来ていないと、適切な売上・粗利・仕入・在庫コントロールが出来ません。ある意味、飛行機を運転する際に、計器なしの飛行機を運転していることと同義となります。要は、商品分析における測定可能な計器を設定しよう!ということです。自社サイトの分析等は、GA4等測定可能なツールを設定するわけですから、商品分析においても、②のルール設定を行った上で、MD予算設計を行い、測定可能な計器を設定すべきです。

④セールをしないことが、良いことだと勘違いしている?

最後に懸念される点はこの点です。特に、自社サイトでのセールは”悪”だと考えている組織が多いのでは?と懸念しています(モールサイトをアウトレット変わり活用している組織もあるとは存じますが、おそらく管理はテキトーでしょう)。セールをせずに、商品が売り切れることが理想ではありますが、現実はそうは甘くありません。セールという手段は、在庫消化の一番の有効な手段です。粗利が減る。ブランド価値が棄損する恐れがある等のデメリットはありますが、そのことに拘りすぎてセールを行われければ、在庫回転は悪化し、最悪の場合は、組織のキャッシュアウトに繋がります。また、これは③の件に付随しますが、組織にとって測定可能となる適切な”計器””羅針盤”を設定していないので、現状の在庫がどのような状況なのか?ということも掴めないまま、気づけば倉庫が在庫で押しつぶされる!なんてことが起こりうるかもしれません。

また昨今、在庫を持たない商売!受注販売が環境にもよろしい!なんてことを、口にする方々もSNS中心に見かけますが、基本的には、受注販売でも生地や付属等の在庫確保は必要になります。更に言えば、細々と受注がつくような商売では、そのめんどくささから工賃があがり、原価が上がる。結果、元売価が高くなり、大した売上にもならない!ということになります。更に言えば、商品を注文してからある一定の期間を待ってまで、その服が欲しい!という、お客様は多く存在するのでしょうか?全くをもって疑問しかありません。

最後に、EC専業ブランドで在庫でお悩みのブランド・ショップの方々に訴えたいのは、少しでもMDに興味をもって頂き、基本的なMDを勉強した上で、MDにおける制度を整えられることを、切にオススメします。(今回の記事は、決して弊社の宣伝ではありません。このサイトも含め、繊研plusさん等でMDに関する記事を多数アップしていますので、興味がある方は、先ずはそちらをご確認ください。)
ということで、今回の記事は終了致しますm(__)m

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