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MDのための決算書入門?|クイズで楽しく学ぼう③

★アパレル決算クイズ第2弾

今回の記事も大好評?の、MDの為の決算クイズ3回目です。

MDのための決算書入門?|クイズで楽しく学ぼう②


今回取り上げる企業は、アダストリアとユナイテッドアローズ(以下UA)です。以下、今回のクイズの流れをお伝えします。上場アパレル企業の決算資料から数値を読み取り、3種類の図を作成します。

図①:売上=粗利益+売上原価を記載した図

図②:販管費含む費用・営業利益(対売上比率)の円グラフ

図③: 期首在庫+仕入原価=売上原価+期末在庫を記載した図

アダストリアは、20代女性向けのローリーズファームやジーナシスをはじめ、ファミリー層を中心としたグローバルワーク、生活雑貨が豊富なニコアンドやスタジオクリップなど、幅広い業態を展開しています。また、子会社であるエメレンツルールでは、セレクト業態を、バズウィットでは主にEC専業で、10代~20代をターゲットにしたブランドを多数展開しています。アダストリアの売上は、24年2月期に2700億円を超え、現在、日本を代表するアパレル小売企業の一つです。
一方、24年の売上が好調と伝えられるUAは、ご存じの通り、セレクト業態を中心に事業展開を行っています。しかし、ここ数年はCITENなどの新規事業を多数立ち上げ、今後の更なる売上拡大を目指しています。
以下のどちらの図がアダストリアの2024年2月期、どちらがUAの2024年3月期を示しているか、以下の図から判断してください。
今回も、数値の単位等を揃えて図を作成しました。以下の図をご覧ください。

Aの企業

Bの企業

 

★クイズのヒント

では、クイズのヒントをお伝えします。セレクト業態中心のUAは、基本自社企画商品と海外・国内のバイイング商品からショップが成り立っています。自社企画商品の値入率は高いと推測されますが、バイイング商品の値入率はさほど高くないと推測されます。その影響が粗利に影響を与えているかもしれません。一方、アダストリアはドットエスティの認知拡大の為、テレビCM等の広告宣伝に力をいれていたのが、24年2月期になります。

★正解と数字からみえる考察

読者の皆さん、クイズの正解はお分かり頂けたでしょうか?正解は、Aがアダストリア。BがUAです。
では、数字から見えるアダストリアとUAの特徴を簡単に説明致します。まずは、売上・粗利益から見える特徴です。粗利率はアダストリア・UAともに50%を超えています。しかし、ヒントでお伝えしたように、UAは値入率が低いと推測される国内・海外仕入商品の比率が高いと考えられます。その影響が、自社企画商品の比率が高いアダストリアよりも粗利率が低い結果となっている可能性が高いです。
次は販管費率から見える部分です。ヒントでお伝えしたように、アダストリアはドットエスティ認知拡大の為、テレビCM等広告宣伝に多額な費用をかけていました。その費用は、年間約87億円で広告宣伝費率3.2%になります。これは、アパレル小売企業ではかなり大きい金額となります。一方地代家賃は、都心だけでなく家賃負担が少ないとされる郊外にも多くの店舗を出店しているアダストリアは、UAよりも地代家賃の比率が低くなっています。
最後に仕入・在庫から見える部分です。図から算出した在庫回転日数は、アダストリアが約76日、UAが約116日でした。(注:この数値はあくまで概算であり、実際の在庫回転日数とは異なる可能性があります)
アダストリアは先述したように、在庫回転の数字が高くなりやすいレディース若年層向けのブランドを多く展開していますが、在庫回転の数字が低くなりやすい生活雑貨やサイズ展開が豊富なブランドも展開しています。その中で、この在庫回転の数字と粗利率55%超えは素晴らしいと言わざるえません。MDにおける適品・適時・適量のコントロールが、業界でもトップクラスなのは間違いないでしょう。
一方でUAは、サイズ展開が多く(商品)販売期間の長いメンズの売上比率が高いと推測されますから、アダストリアほどの在庫回転の数字を達成するのは難しいことは間違いがないのですが、私が2年前に書いた決算記事でも記載したように、(組織としての)在庫コントロールに多くの課題があったのは間違いがありません。

MD視点でみる決算資料~ユナイテッドアローズ編~


しかしながら、私が記事を書いた時期に比べ、在庫コントロールを含むMDの精度が向上した可能性は高いといえ、新規事業と併せて、今後の在庫回転の数字の向上に期待したいところです。
今回のクイズはいかがでしたでしょうか?私の見解が全て正しいとは考えていませんが、読者の皆様が、決算資料に興味を持ち、MDの数字面でのスキルアップに繋がる一助となれば幸いです。今回の記事は以上となります。

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