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アパレル小売企業の決算月は、2月と3月に集中しています(新年度のスタートは3月、または4月)。なぜこの時期が多いのか。あくまで推測ではありますが、3月末決算が多いのは、日本社会における一般的な「年度末」に合わせているためと考えられます。一方、2月末決算が多いのは、冬物商品の販売期間が一段落する業界特有のシーズンサイクルに合わせているためでしょう(ファストリテイリングの決算月が8月なのも同じ理由と推測される)。
さて、現在は4月ですが、ブランドやメーカーによる「2026年秋冬(AW)展示会」の多くはすでに終了しており、買付商品が中心の品揃えの組織では、商品の発注も大半が完了しています。ここで注目すべきは、買付商品中心の品揃えの組織は、新年度をスタートさせた時点で、「その期の仕入金額の大部分がすでに確定している」という点です。つまり、期が始まったばかりのタイミングで、すでにその年のMD(マーチャンダイジング)の骨子が固まっていると言い換えることもできます。さらに、6月から7月にかけては早くも「2027年春夏(SS)」の展示会が本格化するため、実のところMDは6月の時点で、来期の予算を暫定的にでも策定しておかなければなりません。

このように、MDは常に「先の仕事」と「現在進行形の仕事」の双方に追われることになり、日々業務に翻弄される感覚に陥る人も少なくないはずです。もし、多忙ゆえに自身の業務がコントロール不能な状態に陥れば、当然ながらミスも増えていきます。「5適」という重要な権限を有し、組織の業績に直結するMDの仕事において、その判断ミスは時に取り返しのつかない事態を招きかねません。
そこで、自身の仕事をコントロール下に置くために推奨したいのが、「いつ、どの時期までに、どのような業務を完遂すべきか」を年単位で可視化することです。あわせて、煩雑なMD業務を要素ごとに整理・分掌しておくことも欠かせません。私は、これらのスケジュールと業務分担を一枚にまとめた管理帳票を、「MDスケジュール」と呼んでいます。

MDスケジュールを作成し、業務を整理しておくことには大きな利点があります。たとえば、早い時期に開催される展示会であっても、常に仕入予算を意識したバイイングが可能になります。「展示会で魅力的な商品に目移りしてしまい、予算をオーバーしてしまった」あるいは逆に「予算が未確定だからと買い付けを自重した結果、商品が足りず機会損失を招いた」といった、組織にとって致命的なミスを未然に防ぐことが可能となります。また、事前にスケジュールを可視化することで、年間を通じて業務が集中するピークをあらかじめ把握できるようになります。これにより、自分自身の業務量を戦略的にマネジメントすることも可能となります。
私は長年のキャリアを通じて多くの方々と関わってきましたが、仕事ができる人は例外なく「頭の中の整理整頓」ができている人でした。そうした人は、デスク周りやPCのデスクトップもきれいに整っており、仕事が正確で早い傾向にあります(私のMDの師匠が、まさにそのような人でした)。

これまで述べてきたように、MDの仕事は極めて広範囲かつ多岐にわたります。だからこそ、MDスケジュールによって業務の可視化と整理整頓を行う必要があります。この取り組みを行うか否かが、MD自身の仕事の精度だけでなく、組織の業績をも左右しかねないということを改めて強調し、本記事を締めくくらせていただきます。
今回記事にてお伝えした内容は、4月25日より開講する「Fashion Re:ducation MD講義(全16回コース・応用編)」にて、より深く学ぶことができます。「MDの本質に触れたい」「今の業務に変化を起こしたい」と感じた皆様、ぜひ下記のリンクから講義内容をチェックしてみてください。 ここで学ぶ理論と実践のプロセスは、皆様の今後の活動において、一生モノの武器になるよう、一生懸命頑張ります。
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