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私は数少ない趣味として服を嗜んでおり、日頃から好きなセレクトショップやブランドのInstagramで情報収集をしています。そうした中で最近気になっているのが、「商品の納期が遅れているのではないか?」ということです。
例えば、4月になってから裏毛のスウェットやGジャン(レディースならまだしも、メンズでは厳しいでしょう)が入荷してくるケースを見かけます。近年の気温上昇を考えると、今さら手元に届いてもすぐに暑くなってしまい、「これでは販売が難しいのではないか」と感じてしまいます。気になって旧知のマーチャンダイザー(MD)やブランド関係者に話を伺ったところ、アパレル業界を取り巻く諸事情により納期遅れが常態化しており、特に小ロットのブランドほど納期が安定しないという実情が見えてきました。これはMDにとって非常に頭の痛い問題です。
先日、決算記事を執筆した際にTOKYO BASEさんの資料を読みましたが、服好きの顧客を抱えるセレクト業態であっても、気温の変化は業績に直結します。
気温に合わせた提案ができなければ、売上や粗利を大きく損なう結果を招きかねません。今、アパレル小売業のあらゆる業態において、「適時MD」の精度向上がこれまで以上に切実に求められています。こうした状況下で、気温上昇の著しい4月に春物が入荷したとしても、販売期間は極めて短くなってしまいます。結果として多くの在庫を残すことになり、6月末から7月の夏セールに回したところで、消化の可能性は低く、売れたとしても大幅な粗利益の犠牲(OFF率を高くしないと商品が売れない)を免れません。
一方で、ブランド仕入れ(買い付け)は展示会ベースでの「一発勝負」という側面があります。そのため、MDやバイヤーにはこれまで以上の発注精度が求められます。特にセレクトショップにおいては、ファッションにおける「感性」を磨く努力は不可欠です。しかしそれと同時に、商品分類の定義を組織として具体化し、過去データの分析・検証を徹底することで、次シーズンの(商品発注の)精度を上げる論理的なアプローチも欠かせません。付け加えれば、(ブランド等の)買付商品は自社製品とは異なり、納期を自社でコントロールすることが困難です。「適品」を「適時」に投入するというMDの基本において、その難易度は高く、より戦略的な管理が不可欠となっています。そこで、今後のMD・バイヤーが買付商品を発注する際、最低限意識すべきポイントを以下に整理します。
まず、発注前に「その商品は最悪いつまでに入荷するのか」をメーカー側の営業担当に確認しておくべきです。昨今の情勢から、納期に幅を持たせた表記(〇月末〜〇月末など)が増えています。中には目先の受注欲しさに楽観的な見通しを伝える担当者もいるため、リスクヘッジとして「最終期限」を何度も念押しして確認する姿勢が求められます。
「いつ入荷するか」だけでなく、「いつまでプロパー(定価)で売れるか」という販売終了日を明確にする必要があります。気温の変化やセール時期を考慮し、「この期間を過ぎれば売れない」というデッドラインを設けることで、適正な発注数が見えてきます。
短期完売(1週間程度)を目指す場合: 型数を増やし、1型あたりの数量を絞る。
長期販売(1ヶ月程度)を見込む場合: 欠品を防ぐための十分な数量を確保する。
このように、ショップコンセプトに合わせた販売計画の意識が不可欠です。
最後に、「その商品は納期が遅れても売れる力があるか」という視点を持つことです。これは単なる通年商品のことではありません。たとえ当初の計画より入荷が遅れ、販売期間が短くなったとしても、顧客が「どうしても欲しい」と思えるような強い魅力を持つ商品のことです。こうした「理屈抜きの名品」を見極めて発注することも、ファッション業界の醍醐味と言えるでしょう。
今回挙げたポイント以外にも、ブランド側との交渉が必要となりますが、小売側独自の施策も検討すべき段階に入っています。例えば、先行して資金を回収できる「受注会」の開催やクラウドファンディングの活用、さらにはSNSでのライブ販売による即時的な需要喚起などが考えられます。ブランド側の生産事情に左右されすぎず、いかに自ら商機を作り出せるか。不確実な時代だからこそ、小売り側の独自の対策も必要となってくるでしょう。
以上で今回の記事は終了です。次回もよろしくお願い致します。
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【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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