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「盛夏・晩夏・初秋MD」の投入アイテム数を増やした場合のメリットとデメリットとは

現在6月上旬になりますが、この5月は30℃を超える日もあり、すでに夏といった様相です。5月でこの状態ですから、「今年の夏は一体どれほど暑くなるのか」「その暑さはいつまで続くのか」と、先行きに不安を覚える方も多いのではないでしょうか。

★「暑く長い夏」に対応するには事前準備が不可欠

近年のこうした「夏の長期化・酷暑化」は、アパレル企業のMD戦略にも大きな影響を与えています。先日、私は株式会社TOKYO BASEさんの決算記事を執筆しました。

MD視点で読む決算資料~TOKYO BASE編~


その中で、同社の2026年1月期における好決算の要因として「シーズンMDの見直し」を挙げました。これは端的に言えば、従来の「4区分(春夏秋冬)」から「盛夏区分を加えた5区分」へ変更したことが売上アップに貢献した、ということです。しかしながら、記事内でも触れた通り、この「盛夏区分」の運用には負の側面もありました。同社の場合は、売上以上に在庫が増加したことで、結果的に在庫回転率の悪化を招いてしまったのです。昨年も記事に書かせていただきましたが、「盛夏・晩夏・初秋MD」を導入する際には、こうしたリスクを避けるための綿密な事前準備が不可欠です。特に注意すべきは、先述した「売上以上の在庫増加」をいかに防ぐかという点です。

「盛夏・晩夏・初秋MD」の精度を上げるために必要なこととは?

★(商品の)ミニマムロットの問題

昨年執筆した上記の記事でもお伝えしましたが、「盛夏・晩夏商品」は(夏の)セール期が過ぎてからのプロパー販売(定価販売)が主軸となるため、大規模な一般セールに頼らずに在庫を消化していかなければなりません。そのため、一度売れ残ってしまうと処分が難しく、在庫が積み上がりやすいという側面があります。さらに付け加えると、これらの商品は他の「シーズン区分」に比べて販売期間が短く、売上規模も小さくなりがちです。特に自社オリジナル商品をメインに展開しているブランドやショップでは、生産の「ミニマムロット(最低発注数量)」に届かないケースが増える可能性も高く、こうした事態への想定もあらかじめ必要不可欠です。分かりやすい例を挙げると、「本来の適正な仕入数量は50点であるにもかかわらず、工場のミニマムロットが100点であるために100点を発注せざるを得ず、結果として50点が売れ残ってしまう」といった事態です。上述したTOKYO BASEさんの在庫増加に関しても、まさにこうした要因によるところが大きいという旨が決算資料に記載されていました。

★「盛夏・晩夏・初秋商品」の投入アイテム数を増やすメリットとデメリットとは

では、こうしたリスクを孕む「盛夏・晩夏・初秋商品」の展開において、投入アイテム数を多くすることにはどのような損得があるのでしょうか。以下、そのメリットとデメリットについて考察してみます。
先ずは「盛夏・晩夏・初秋商品」の投入アイテム数を多くした場合のメリットは以下の通りです。

・店頭における、夏のセール商品から「盛夏・晩夏・初秋」のプロパー商品への切り替えが早まる
・(切り替えの前倒しにより)早い段階から店頭の鮮度を高めることができる
・7月・8月の酷暑に対応した品揃えが可能となり、同期間の売上の拡大が見込める

次はデメリットです。

・総投入アイテム数を増やすことで1アイテムあたりの必要数量が減少し、ミニマムロット(最低発注数量)に届かない商品が増える
・【ロット未達の場合】ミニマムロットをクリアするために無理な数量を発注せざるを得ず、結果として在庫過多のリスクが高まる
・【ロットクリアの場合】小ロットでの生産(仕入)となるため、値入率が低下し、結果として粗利益率の悪化を招く

他にも細かなメリット・デメリットは存在しますが、主要な論点は上述した通りです。ちなみに、これとは逆に「投入アイテム数を減らした(絞り込んだ)場合」は、このメリットとデメリットがそのまま表裏一体で逆の形になります。つまり、「店頭の鮮度キープや酷暑への対応力」は低下する一方で、「1型あたりの数量がまとまるため、ロット割れのリスクが減り、値入率や在庫コントロールの安定性」は高まるということです。自社のブランド規模や生産背景を踏まえ、どちらのバランスが最適なのかを見極めることこそが、これからの「長い夏」を生き抜くMD戦略の鍵となるかもしれない!ということで、今回の記事は終了です。次回もよろしくお願い致します。

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