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この通期、ここまで性懲りも無く上場企業の決算書からEC売上の状況を9社ほど確認いたしました。
そんな訳で、毎度恒例ですがここまでの大手アパレルの傾向を確認していきたいと思います。
この秋冬は早めに気温が下がった日があったことで好調に推移した企業が多かったように思います。もちろん、結構な退店を余儀なくされた企業に関しては減収でしたが(バロック・三陽商会)、半数以上の企業がPL上は業績回復していました。春夏に在庫消化が進まずセール強化から粗利が減少してた企業が多かった中で、気温の推移は追い風になったのではないでしょうか。(後半は暖冬からやや業績が悪化したケースもありますが。)
業績好調、特に増収の要因になったのは各社積極的な出店ですね。TOKYO BASEでは21店舗・しまむらでは26店舗・パルでは73店舗・オンワードはオンワードクローゼットセレクトのみで 33店舗・アンドエスティでは29店舗・UAでは25店舗の純増。(TSIはM&Aで店舗数増加・バロックと三陽商会は店舗数減少。)

もちろん、これら出店攻勢を可能にしているのは保有しているブランドが成長しているからですが、その中でも一部業績不振のブランドもあります。過去、EC売上を押し上げていた成長ブランドの売上増加がやや鈍化し、新ブランドを開発したものの思うように伸びていないというケースもありますので、トップラインが上がったことを手放しで喜べない企業もあるでしょう。
この通期、最もわかりやすくM&AでPLが改善したのはTSIですね。(デイトナインターナショナル・ウォーターフロントを買収)特にデイトナの買収が大きく、これによりここ数年下がり続けていたEC売上も増加に転じています。WEGOを買収したオンワードも、出店の割りに売上の伸びが弱かったオンワードクローゼットセレクトをカバーするかのように利益が伸張。(yut◯riさんはherliptoが無かったら厳しいとか言ってはいけません。)
パルは以前から様々なブランドを買収していますので、それにより売上が伸びている面もあります。大企業にもなりますと、新ブランドをいくつか開発しそれが成長していたとて全体の業績を回復させるには相当な規模感が必要になります。そんな規模のブランドを常に供給し続けるのは難易度が高すぎる(ていうか無理…)ので、右肩上がりの成長を求めるならM&Aは避けては通れない道でしょう。UAはテルマを事業譲受していましたが、ブランド側としては非常に合理的な判断な反面、他社と比較すると規模が小さいと思われるので今後どうしていくのか?は気になるところです。




こちらも以前から記載していますが、各社業績が伸びている企業では成長ブランドの売上増加が目立っておりました。現状、TOKYO BASEはUNITED TOKYO、パルでは3COINS・BEARDSLEY・DISCOAT(ブランド別の業績がほぼ掲載されていませんが店舗数増加からも判断)、オンワードではアンフィーロ、アンドエスティではラコレ、UAではCITENやconteなどが該当するでしょうか。(UAはまだそこまで規模感は大きくなさそうですが。)
パルは営業利益も伸び続けていますし、各ブランドの規模がまだそれほど大きくないことから成長の余地を残していそうですが、オンワードのアンフィーロやアンドエスティのラコレは結構な規模になってきていますので、その他のブランドの成長も期待したいところです。アンドエスティはレプシィムやニコアンドもしっかり伸びていますが、グローバルワークがやや懸念。オンワードは新ブランドのいくつかが「戦略強化ブランド」の欄に掲載無し。TOKYO BASEも新ブランドが出店数の割りにそこまで売上が取れていません。(三陽商会は新ブランドが早速コケていますし、バロックは新ブランドが早速休止…。どうなってるんだ。)当たり前の話ですがブランドによって凸凹ありますので、増収増益だからといって油断はできません。穴があまり見当たらないのはしまむら・パル・UAあたりでしょうか。

各社の売上・EC売上・EC比率の昨対はこちら。バロックジャパン以外にてEC売上は増加しています。そんなバロックはアズールの業績不振から退店数が増え、結果的にEC比率は過去最高…。(これがEC比率を高める為のお手本ですね。)三陽商会のEC売上が増加しているのはセール強化と決算書に記載がありますので、こちらもあまり良いお話ではありません。百貨店の店舗も相当減らした為にEC比率が上がっており、バロックと同様の傾向ですね。
TSIのEC売上爆増の理由は先述しましたデイトナ買収が要因。フリークストアはZOZOで年間100億円以上売上があると思われますので、半期分とは言え大きくプラスされています。店舗数の推移でも記載しましたが、直近は出店が多かった為にEC比率は上がりにくい傾向。パルですらとうとうEC比率が下がりました。まぁこんな指標、業績にはあまり関係ないので気にしなくて良いのですが…。
今後、予想されることですが、以前からの取り組みと大きな差はそこまでないですかね。
既存ブランドの成長が鈍化、国内市場も頭打ちとなると引き続き海外進出が肝なので仕掛けている企業はちらほら見かけます。あとはM&Aで、国内の業界再編がさらに進みそう。新ブランドの開発も複数の企業で見られます。(三陽商会やオンワード、TOKYO BASEのようにあまり上手くいっていないケースはよく見かけますが…。)IPの取り組みも大概の企業にて決算書に掲載がありますが、ここは個人的にマッシュが一番うまいことやったと思っています。
マッシュグループから新業態「サンリオハウス」 ファッション、ビューティ、ホームグッズ、フードを提案
(サンリオと組むとか強すぎんか…。)
中東の情勢から原料は値上げされ、秋冬以降の商品の値上げにつながると業績が悪化しそうな予感はありますので、下期に向けてMD・販促強化が必須でしょう。
EC関連のトピックスでは、アンドエスティで話題になったプラットフォーム事業ですかね。取り扱いブランドは増えていくでしょうから、GMVは徐々に伸びていくと思われます。(他の企業はそれほど進んでなさそう。)TSIが早期に着手しましたShopifyへの移行が大手でどこまで進むか?も注目でしょうか。エージェンティックコマースがどこまで進化するのか?も合わせて注目しておきましょう。(小並感)筆者の業務はWEB解析メインになりますが、アパレルだと施策立案ではまだそこまで使えない印象が強いです。こちらもそのうち、ブログに書いていきたいと思います。それでは新年度も頑張っていきましょう。
ECサイト構築・運用・コンサルティング、リテールのソリューション事業を中心に活動。並行してファッション専門学校の講師も務める。Twitter(@fukaji38)株式会社StylePicks
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