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今回は、2025年に「フリークスストア(デイトナインターナショナル)」を、さらに最近では「東洋エンタープライズ」を相次いでM&Aし、積極的な企業買収で注目を集めるTSIホールディングス(以下、TSI)を初めて取り上げます。これまで私が決算記事で同社を扱わなかったのには理由があります。それは、展開する事業の幅広さと各事業の独立性の高さゆえに、決算資料からMD(マーチャンダイジング)視点での分析を行うのが非常に難しかったからです。

そのため、今回の記事はこれまでの決算分析に比べると、少し踏み込みが浅い内容になってしまう可能性があることを、あらかじめご容赦いただけますと幸いです。今回は「MD視点で読む決算資料 ~TSIホールディングス編~」として、以下の流れで進めていきます。
【目次】
①損益計算書の大枠
②チャネル別売上と概況
③売上・粗利・仕入・在庫→MD視点
1.在庫回転率の推移
2.(各期の)売上、粗利、仕入、在庫の推移
3.(MD視点で)気になる点
④主力ブランド別売上・粗利推移
【AVIREX】
【STUSSY】
【MARGARET HOWELL】
【PEARLY GATES】
⑤MD視点の分析から見えてきたこと
まずは、損益計算書(P/L)の大枠から見ていきましょう。

上記の図は、2024年2月期から2026年2月期までの損益計算書をまとめたものです。2026年2月期の売上高は、2025年9月から「フリークスストア」の業績が連結されたこともあり、2025年2月期比で106.7%、2024年2月期比で107.5%と順調に拡大しています。また、前2期は1%台で低迷していた営業利益率も、2026年2月期には2.6%へと改善。営業利益額も約26億円の増加となりました。しかしながら、フリークスストアの損益におけるインパクトがなければ、その内実を決して「良い」と言い切れないのが実情です。各事業の売上・粗利の詳細は後述しますが、決算資料にもある通り、フリークスストア以外の主力事業の殆どが軒並み数字を落としているためです。
ここで、MD視点から最も注目したい「粗利率の推移」を見てみましょう。同社の粗利率は54%前後で推移しており、上場アパレル企業の中でもまずまずの水準と言えます。特にレディースブランドや「AVIREX」「Schott(ショット)」の粗利率が高く、全体の数値を押し上げています。過去の推移をたどると、2025年2月期の粗利率は53.6%(前期比▲0.9ポイント)と悪化していました。資料には「原価高騰や一部ブランドの在庫消化をより踏み込んだ結果」とあります。しかし、2024年2月期にも「在庫超過による計画以上の評価損計上や消化優先での収益性悪化」との記載があったことを踏まえると、TSIが在庫コントロールにかなり苦戦してきたのは間違いありません。同社の在庫状況がどうなっているのかについては、この後さらに詳しく分析していきます。その後、2026年2月期は、下期よりフリークスストアの業績が連結されましたが、全体の粗利率は54.7%と過去3期で最高の数値を記録しました。フリークスストア単体の粗利率は48%(下期のみの計上)と公表されているため、今後はTSI主導による粗利率改善のテコ入れが本格化する可能性が高いと見ています。
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【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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