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この時期になると毎年恒例の内容ではありますが、今回は改めて「夏物商品の最終消化」についてお伝えいたします(*夏のセール後に主力且つプロパーで売っていく夏物商品のことではありません)。夏物商品の最終消化期限は、早いところで7月31日、多くの組織では8月31日に設定されているかと思います。ここから逆算すると、「8月31日までに消化が難しい商品は(基本的に)再値下げの対象になる」ということです。そこで、夏物商品の最終消化に向けた「再値下げの考え方と手順」を以下にまとめました。
1.7月・8月の売上見通しの算出
2.販売終了日までの粗利目標の設定(残在庫目標を見ながら)
3.再値下げの設定(カテゴリー・単品単位)
組織によって細かな工程は異なりますが、大まかな流れとしては上記が基本となります。それでは、具体的なデータをもとに、この手順に沿って再値下げの計画を考えてみましょう。
【事例】ある架空の事業部の状況(7月11日営業終了時点)
・対象カテゴリー: 春夏物シャツ(販売終了日:8月31日)
・6月末時点の在庫原価: 250万円
・事業部の基準値入率: 60%(原価率40%) / 6月の粗利率実績: 50%
・7月11日時点の実績: 売上 175万円 / 粗利率実績 45%
・7月11日時点の日割り予算進捗率:70%
・過去3年のデータからみる8月の夏物売上:対7月比 32%
・着地目標: 8月末時点で50万円の原価分の在庫は残しても可(シーズン消化率95%に該当)
まずは、7月・8月の夏物商品の売上見通しを立ててみましょう。算出のヒントは、事例にある「日割り予算進捗率」と、「8月の売上が7月比で32%」という2つの実績データです。ここで、補足として「日割り予算進捗率」について解説します。多くのショップでは店長が日割り予算を作成しているかと思いますが、今回の例では以下の式で進捗率を算出しています。
→日割り予算進捗率 = 11日までの日割り予算累計 ÷ 7月の月間売上予算
今回の例で11日時点の進捗率を「70%」と高く設定している理由は、7月のセール特性にあります。夏セールは開始直後(6月末〜7月頭)からの約1週間に売上が集中し、その後は急激に落ち着く傾向があるためです。このような売上推移の実態を反映させ、前半の進捗率を高く設定しています。それでは、この数値をもとに7月・8月の売上見通しを算出してみましょう。
〇7月の売上見通し
7月11日までの売上実績が175万円、同日までの日割り予算進捗率が70%ですので、計算式は以下の通りです。
→175万円(実績) ÷ 70%(進捗率) =250万円
〇8月の売上見通し
次に、7月の見通し(250万円)をもとに8月の数値を算出します。「7月比で32%」という実績データに基づきます。
→250万円(1月見通し) × 32% = 80万円
これにより、7月(250万円)と8月(80万円)それぞれの売上見通しを導き出すことができました。(※過去データを使用する場合は、なるべく数年分のデータを遡ること、また既存店のデータを活用することがポイントです)
次に、7月・8月の粗利目標について考えてみましょう。
先ほど算出した通り、7月・8月の売上見通しは合計で330万円となります。ここで、在庫の消化目標を確認します。条件では「6月末時点の在庫原価:250万円」を「8月末までに50万円」まで減らす必要があります。つまり、この2ヶ月間で消化すべき売上原価は 200万円(250万円 - 50万円)です。
〇7月・8月の目標粗利高
→330万円(売上見通し) - 200万円(必要売上原価) = 130万円
〇7月・8月の目標粗利率
→130万円(目標粗利) ÷ 330万円(売上見通し) = 39.4%
このように、在庫の消化目標(残在庫目標)から逆算することで、目指すべき全体の粗利率を導き出すことができます。
最後に、これまでの数値をもとに、7月12日以降の具体的な「再値下げの設定」を行います。プロセスの流れは以下の通りです。
1. 現時点(7月11日時点)の在庫金額を確認する
6月末の在庫原価が250万円、7月11日までの売上実績が175万円(粗利率45%)であるため、現在の正確な在庫残高(原価)を算出します。
→売上原価実績:175万円 × (1 - 45%) = 96万2,500円
→7月11日時点の在庫金額:250万円 - 96万2,500円 = 153万7,500円
2. 今後の売上予測と必要売上原価を算出する
7月12日から8月末までの計画を整理します。
→後の売上見通し: 155万円(7月の残り 75万円 + 2月の見通し 80万円)
→今後消化すべき売上原価: 103万7,500円(現在の在庫 153万7,500円 - 8月末の着地目標 50万円)
3. 7月12日以降の目標粗利率を導き出す
残りの期間で達成すべき「目標粗利」と「目標粗利率」を算出します。
→目標粗利高:155万円 - 103万7,500円 = 51万2,500円
→目標粗利率:51万2,500円 ÷ 155万円 = 33.1%
つまり、8月末の在庫目標を達成するためには、7月12日以降の販売を「平均粗利率33.1%」に抑える必要がある(=ここまで利益を削って値下げできる)ということがわかります。
4. 7月12日以降の目標OFF率の設定
この事業部の基本値入率が60%(原価率40%)であることを踏まえると、逆算によって7月12日以降の目標OFF率は40.2%となります。(※具体的なOFF率の算出方法については、以前の記事をご参照ください)
*まとめ
この「40.2%」という数値を基準(ベンチマーク)として、8月31日までに消化が厳しい商品をピックアップし、個別に再値下げの設定を行っていく。これが夏物商品の最終消化に向けた一連の流れとなります。

なお、具体的な設定にあたっては、日々の販売動向を踏まえて慎重にOFF率を決める必要があります。ただし、慎重になりすぎるあまり「何度も再値下げの指示(小出しの値下げ)」を繰り返すと、店舗側の作業負担が増大してしまいます。現場の混乱やオペレーションの低下を避けるためにも、できる限り「一度の再値下げで確実に消化しきれる適切なOFF率の設定」を心がけましょう。
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