メールマガジンを登録していただくと、セミナー・イベント開催のお知らせやブログの更新通知をお届けします
先日、繊研新聞で以下の記事を目にしましまた。
為替の影響を受けるインポート品 小売店と卸の本音 高すぎない「“顔”が欲しい」
私は仕事と趣味(服好き)を兼ねて月2回ほどマーケティングリサーチを行っているのですが、とにかく服の価格が値上がりしている印象を受けます。記事にもあるように、インポートブランドはもはや高嶺の花。国内ブランドに関しても、なんだかんだ値上げしているところがほとんどです。服好きで「ある程度の高価格なら許容できる」と思っている私でさえ、正直手が出せない水準になっています。
また、チェーン展開している低〜中価格帯のブランドも多くが値上げしており、「こんなに価格を上げて、実際に売れているのだろうか?」と疑問に思うことも多いのが本音です。実際、商品の値上げを断行すると1点単価や客単価は上昇する傾向にありますが、その一方で買上客数が減少ケースが多く見られます。アパレル小売企業の決算資料を分析していても、まさにそうした傾向が強く表れています。買上客数が減っても、それを上回る客単価の上昇で売上自体が伸びていれば、客数回復に向けた施策を打つための「リードタイム」を確保できます。しかし、客数の減少によって売上まで大きく落としてしまうと、その後の売上減少に歯止めが効かなくなるリスクが非常に高くなります。
私の専門であるマーチャンダイジング(MD)には、周知の通り「5適」という考え方があります。

特に価格に関わるのが「適価」です。昨今の円安や原材料価格の高騰により商品の原価が上がり、値上げが避けられない状況自体は理解できます。しかし、MDにおける「適価」とは、あくまでブランドコンセプトに紐づく顧客像から見た「適価」でなければなりません。つまり価格を決定する際には、組織から与えられた売上や粗利目標を達成する視点はもちろんのこと、「お客様視点に立ったとき、その価格が許容範囲内であるか」という点を同時に考慮することが不可欠です。
例えば、組織の値入率目標が70%(原価率30%)と決められているとします。このとき、原価だけを見て自動的に売価を決定するような仕事しかできないMDの場合、そのブランドやショップは売上を落とす可能性が高くなります。具体例を挙げてみましょう。
原価がともに6,000円の商品Aと商品Bがあり、売価設定の計算上(値入率目標70%)、どちらも売価が20,000円になったとします。しかしお客様視点で見ると、「商品Aの20,000円には納得できるが、商品Bの20,000円は高すぎる」と感じることは往々にして起こります。この場合、間違いなく商品Bは売れ残り、大幅な値下げを余儀なくされるか、不良在庫化してしまいます。そのような事態を防ぐためにも、価格決定の際には常にお客様視点を入れることが重要なのです。
視点を変えて考えると、お客様は作る側の都合や、生地・工賃に関する専門知識を持ち合わせているわけではありません。ブランドやコンセプトによって相対的に変わるものではありますが、(基本的に)お客様は「実用性が高い」「汎用性が高い」「見た目がかわいい(かっこいい)」といった、誰が見てもわかりやすい部分に付加価値を感じるものです。したがって、生地の原価自体は安くても、お客様にとって実用性が高ければそれで十分価値がありますし、さらにデザイン面などで付加価値を感じられれば一層喜ばれます。組織としての値入率(原価率)目標は管理上不可欠ですが、それはあくまで「全体で達成できればよい」ものです。原価高という数字だけで商品の良し悪しを判断して自動的 に売価を決めるのではなく、常にお客様視点での価格妥当性を考慮し、MDにおける「適価」を実践していくことが今まさに求められています。
こうした現場に即した運用ノウハウについては、11月7日よりスタートする Fashion Reducation「MD講義」 で詳しくお伝えいたします。ただいま受講者を募集しておりますので、ご興味のある方はぜひ下記リンクより詳細をご確認ください。
Fashion Reducation「MD講義」
https://style-picks.com/collections/fashion-reducation
マーチャンダイジング関連のサービスは、以下のリンクをクリックしてご確認くださいm(__)m
本格的なMD数値の計測や、精度の高い検証体制の構築に興味をお持ちの方は、こちらの弊社サービスページをご確認いただけますと幸いです。
【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
小売ビジネスに関するMD(品揃え政策)アドバイス・サポートを
ご希望の方はお気軽にお問い合わせください。