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アパレルECでは運用するのが当たり前になっている「スタッフコーディネート」。スタッフコーデが「効果がある」というのは、既に周知の通りでしょう。(経由売上が水増しされているケースがあるとか言ってはいけません。)
そんな訳で、今さら「スタッフコーデをやるべきか?」を議論する必要はありません。しかし問題は、「どうすれば、スタッフコーデを上手く運用できるのか?」という点です。
こちらのブログでも過去に何度かスタッフコーデの運用について触れてきましたが、様々な企業を見ていますと、特に大手になるほど「運用を改善する」ことの難易度が一気に上がります。
サービスを導入している。
スタッフも投稿している。
経由売上も計測している。
それでも、なかなか改善が進まない。では、一体どこに問題があるのでしょうか。今回は、スタッフコーデの運用がうまくいかない企業で起こりがちな問題について整理しておきたいと思います。
これは「スタッフコーデあるある」ですね。スタッフ個人にもコーディネート経由売上などの数字が見えている場合、当然ながらスタッフも成果を上げようとします。そうなると何が起こるか。
「同じ商品にコーディネートが集中する」
という現象です。売れ筋の商品はそもそも需要がありますから、コーディネート経由でも売れやすい。スタッフからすれば合理的な行動なのですが、本部からすると少々事情が違います。本部が本当にコーディネートで露出を増やしたいのは、
「売れ筋ではないが、もう少し露出すれば売れそうな商品」
だったり、
「在庫が手厚く、これから販売を強化したい商品」
だったりするからです。ちなみに人気スタッフが売れ筋アイテムと別の商品を組み合わせた結果、その商品まで一緒に完売する、といった効果が見られることもあります。そして、実際にスタッフコーデによって何が売れたのか?を確認するのであれば、
「コーディネート経由で売れたアイテムランキング」と「通常の売上ランキング」を比較する
という方法があります。通常の売上ランキングではそれほど上位ではないのに、コーディネート経由になると順位が大きく上昇している。そんな商品があれば、
「スタッフコーデのおかげで売れた(かもしれない)商品」
として抽出できます。単純な「コーデ経由売上ランキング」だけを見ていると、元々売れている商品が上位を占めてしまいます。重要なのは、スタッフコーデによって通常以上に売れた商品を見つけることでしょう。
では最初から、MD設計に沿ってコーディネートの更新計画を立てておけばいいのでは?という感じですが、理屈としてはその通りです。
「今週はこの商品を重点的に販売する」
「来週からはこちらの商品を強化する」
というMDがあるのであれば、それに合わせてスタッフコーデの投稿計画まで設計しておけばいい。問題は、企業の図体が大きくなるほど、この連携が難しくなることです。
MDは販売計画を持っている。
ECはスタッフコーデを運用している。
店舗には販売スタッフがいる。
しかし、「今、どの商品を優先してコーディネート投稿すべきなのか?」という情報が、現場までスムーズに伝わっていないケースは珍しくありません。さらに店舗数が増えると問題は複雑になります。店舗によって在庫状況が違うからです。
A店では大量に在庫が残っている。
B店では既に欠品している。
EC在庫はまだ潤沢にある。
こうなると、一律に「この商品を投稿してください」と指示するだけではうまくいきません。MD、EC、営業、エリアマネージャー、店長、販売スタッフ。企業規模が大きくなるほど関係者が増え、情報伝達の経路も長くなります。スタッフコーデの問題というより、組織の問題になってくるのです。
そして、個人的に一番大きな問題だと思っているのがこちらです。どれだけ綿密にMD計画を作ったとしても、実際に販売を開始すれば必ず計画とのズレが発生します。特に売れ筋商品は、想定以上のスピードで完売することもあります。
例えば、
「今週は商品Aを重点的にコーディネート投稿しよう」
と計画していたとしても、商品Aが週の前半でほぼ完売してしまったら、その後も商品Aのコーディネートを大量に投稿する意味はありません。そこで必要になるのが、期中での軌道修正です。では次に何を売るのか。ここで見るべきなのが、
「露出の割に売れている商品」
です。例えば、
商品ページの閲覧数はそれほど多くない。
スタッフコーデへの掲載数も少ない。
広告で大きく露出している訳でもない。
それなのに、比較的よく売れている。このような商品は、単純に露出が足りていないだけで、露出を増やせばさらに販売数が伸びる可能性があります。しかも在庫がまだ十分に残っているのであれば、次にスタッフコーデで強化する商品としては非常に都合が良い。つまり期中では、
「露出が少ない × 売れている × 在庫がある」
商品を継続的に探し、それをスタッフコーデの運用へ反映する必要があります。ところが、大手企業ほどここで止まります。
分析する人。
商品を決める人。
店舗へ伝える人。
実際にコーディネートを投稿する人。
これらが全員違うからです。
結局のところ、スタッフコーデ運用を改善しようと思うと、ツールの問題だけでは解決できません。必要なのは、
「数字を見る → 売るべき商品を決める → 現場へ伝える → 投稿する → 結果を見る」
というサイクルを、短期間で回せる体制です。以前、こちらの記事でもご紹介しましたが、商品ごとの売上や在庫、EC上での露出状況などをまとめたダッシュボードを作っておくと、この判断はかなりやりやすくなります。例えば、
・商品の閲覧数
・売上
・CVR
・在庫数
・スタッフコーデ掲載数
・コーデ経由売上
(こんな感じのものです。)
などを商品単位で確認できるようにしておく。そこから、
「露出の割に売れている、かつ在庫がまだ残っている商品」
をピックアップします。そして重要なのは、ダッシュボードを作って終わりにしないことです。MDやEC担当者がその数字を確認し、販売を強化する商品を決定。その情報を営業やエリアマネージャー、店長などを通じて販売スタッフへ伝達。スタッフが実際にコーディネートを投稿する。さらに数日後、その結果をまた数字で確認する。この流れまで作って、ようやく「スタッフコーデの運用改善」になります。スタッフコーデというとどうしても、
「スタッフにもっと投稿してもらおう」
「投稿数を増やそう」
「経由売上を伸ばそう」
という話になりがちです。しかし、投稿数を増やすだけなら、それほど難しい話ではありません。難しいのは、
「今、何を投稿してもらうべきなのか?」をデータから判断し、それを素早く現場へ反映すること。
そして企業規模が大きくなればなるほど、そのためには部署間の連携が必要になります。スタッフコーデの運用がうまくいかない原因は、スタッフの投稿意欲でも、ツールの機能でもない。
「MD・EC・店舗を横断して、期中に柔軟な軌道修正ができる組織になっているか?」
という、ごく当たり前のところにあるのかもしれません。(ちなみにスタッフコーデのサービスで最強なのは筆者の知る限りザッピングです。)
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ECサイト構築・運用・コンサルティング、リテールのソリューション事業を中心に活動。並行してファッション専門学校の講師も務める。Twitter(@fukaji38)株式会社StylePicks
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