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先週、
「アパレルECのスタッフコーデ運用がうまくいかない理由」
というお題で記事を執筆しましたが、「分析に慣れている人がレポートを出せば、正しい結果がわかる」というお声がありまして……。確かに、計測のロジックにはさまざまなものがありますので、
「普段から分析していない人からすると、ちょっとわかりにくい」
ということに気づきを得ました。(当たり前体操)
では普段、筆者はどのような切り口でスタッフコーデを分析しているのか?について、今回は簡単に書いてみたいと思います。サービス側が出す数字を疑う、というわけではありません。ただ、出力されるレポートには当然ながら、それぞれ意図があります。それに応じて計測ロジックも異なりますので、その中身を正しく理解しておかなければ、
「そんなつもりの数字じゃなかった」
という問題が発生します。
GA4 × BigQueryを活用すれば、そのあたりの切り口を柔軟に変更できますのでオススメです。
まず、データの切り口として、この3つは欲しいですね。
・スタッフ別の貢献売上
・コーディネート経由で売れた商品別の売上
・コーディネートページ別の貢献売上
これらを出すことで、
・どのスタッフのコーデが人気なのか?
・そのスタッフの中でも、どのコーデが人気なのか?
・コーデの力なのか、それとも着用しているアイテム自体が人気だったのか?
あたりが見えやすくなります。
例えば、EC全体の人気アイテムランキングと、コーデ経由で売れたアイテムランキングに乖離がある場合、
「これはコーデの力で売れたのでは?」
という仮説も立てられます。
また、スタッフごとの販売力が見えてくれば、「今後売っていきたいアイテムを、そのスタッフに着用してもらう」といった施策も可能になります。
次に注意すべきは、貢献売上の付け方です。例えば、
「購入前に経由したコーデに掲載されている関連アイテムが売れたら、すべて貢献売上としてカウントする」
という出し方があります。この方法の注意点は、貢献売上の合計値が膨らみやすいことです。1つのアイテムが購入されるまでに、複数のコーデを経由することは普通にあります。
仮に1万円の商品が購入されるまでに3つのコーデを経由していた場合、そのすべてのコーデに1万円ずつ貢献売上を付与すると、合計3万円の貢献売上が発生することになります。
つまり、実際の売上以上の「貢献売上」がレポート上では存在することになります。この数字だけを見て効果検証をすると判断を誤りやすいのですが、次に紹介する「ラストパス」と比較することで、利用価値のある数字になります。
続いては「ラストパス」です。これは、購入前に最後に経由したコーデのみに貢献売上を付ける方法です。つまり、購入の直前に見ていたコーデに売上を付与します。この方法であれば、1件の購入を複数のコーデに重複して付与することがないため、先ほどのように貢献売上が膨らむことはありません。スタッフごとの差も、比較的見えやすくなります。
そして、先ほどの「関連売上をすべてカウントする方法」と比較することで、さらに面白いことが見えてきます。
例えば、
「人気アイテムを使ったコーデを大量に投稿しているため関連売上は大きいが、ラストパスでの売上はそれほど大きくない」
といったケースです。この場合、アイテムそのものの人気によって経由売上が増えている可能性があります。
逆に、関連売上だけでなくラストパスでも強いスタッフ・コーデであれば、購入意思決定への貢献度がより高いのでは?という仮説が立てられます。
また、GA4ではイベントのタイムスタンプも取得できますので、
「ラストパスとなったコーデ閲覧から○時間以内に発生した購入のみ貢献売上としてカウントする」
といった条件を付けることも可能です。これはザッピングが取り入れている貢献売上のカウント方法でもあります。
続いては「按分」です。購入前に複数のコーデを経由していた場合、その数に応じて貢献売上を分配する方法です。例えば、1万円の商品を購入するまでに4つのコーデを経由していたのであれば、それぞれに2,500円ずつ貢献売上を付けます。
「最後に見たコーデだけに100%の売上を付けるのは、本当に正しいのか?」
という疑問がある場合は、按分方式を採用するのも良いでしょう。GA4 × BigQueryであれば、購入前に経由したコーデページのpage_locationを抽出し、そのユニーク数で売上を割れば算出できます。
最後は「経由売上」とは少し離れますが、
・コーデページがランディングページになった際のセッション数
・購入数
・CVR
・収益
・コーデページの表示回数
なども合わせて見ておきましょう。皆様もよくおわかりの通り、経由売上というものは、人気アイテムを着用すれば発生しやすくなります。例えば、お客様が最初から特定の商品を購入する目的でECに流入し、購入までの途中で何となくスタッフコーデを閲覧して、そのまま商品を購入したケース。これを果たして、
「スタッフコーデによる貢献売上」
と呼んで良いのでしょうか?という問題があります。だからこそ、そのコーデページ自体がよく閲覧されているのか、ランディングページとして送客した際にも購入につながっているのか、といった数字も合わせて見ておく必要があります。平均エンゲージメント時間などを確認しておくのも良いでしょう。
そして、この貢献売上のカウント方法が最も大きな問題になりやすいのが、スタッフへのインセンティブ制度を導入している場合です。
「経由売上の○%をスタッフへの報酬とする」
という取り組み自体は非常に素晴らしいものだと思います。しかし、貢献売上の計測ロジックを誤ると、実際の売上以上の貢献売上を基準にインセンティブを支払うことになり、ブランド側では不採算になってしまう可能性があります。これでは、せっかくの良い取り組みも継続できません。
そんなわけで、EC担当者の方は、まず「貢献売上がどのようなロジックで計測されているのか?」を理解すること。
そして、そのうえで、
「自社にとって、どの数字を成果指標として採用するのが適切なのか?」
を考えておくことが重要です。筆者がザッピングを強く勧めている理由も、ショート動画×連続再生による没入感によって貢献売上が高く、離脱率が非常に低いことが一番ではありますが、もう一つ、
「貢献売上のカウント方法が非常に厳格である」
という点があります。少しWEB解析的な視点が求められる内容ではありますが、「今まで経由売上の数字をそのまま見ていた」という方は、ぜひ今回の内容を念頭に置いて分析していただければ幸いです。
ECサイト構築・運用・コンサルティング、リテールのソリューション事業を中心に活動。並行してファッション専門学校の講師も務める。Twitter(@fukaji38)株式会社StylePicks
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