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アパレルECを運営していると、記事コンテンツを制作して検索流入を増やし、そこから商品の購入につなげる、いわゆる「コンテンツSEO」に取り組んでいるケースによく遭遇します。もちろん、検索流入を増やすこと自体は悪いことではありません。ただ、筆者の経験上、アパレルECでは記事コンテンツからの検索流入が、そのまま商品の購入に直結するケースはそれほど多くありません。特にSEOコンサルティング会社などに多額の費用を支払い、継続的に記事を制作している場合、
「検索流入が増えました」
「○○というキーワードで上位表示できました」
だけで効果を判断してしまうのは少々危険です。重要なのは、
「その検索流入によって、本当に売上が増えたのか?」
という点でしょう。そこで今回は、コンテンツSEOによって獲得したユーザーが、その後どの程度顧客になっているのかを調査する方法について解説しておきたいと思います。
最初に確認したいのがGoogle Search Consoleです。記事を公開・更新した後、
・どのような検索クエリで表示されたのか
・平均掲載順位はどの程度なのか
・クリック数は増えているのか
といった内容を確認します。
例えば、狙っていたキーワードで掲載順位が上昇し、それに伴って表示回数やクリック数も増えているのであれば、「検索流入を獲得する」というSEO施策自体は一定の成果が出ていると考えられます。ただし、当然ながらSearch Consoleで確認できるのは、基本的には検索結果上でのパフォーマンスです。
「検索から来たユーザーが、その後商品を購入したのか?」
まではSearch Consoleだけでは判断できません。そこで次にGA4を確認します。
次に確認したいのが、
「検索経由で、どの記事が入口になっているのか?」
です。
GA4でOrganic Searchなど検索経由のセッションに絞り込み、ランディングページを確認します。Search Consoleでは「Google検索からどのページがクリックされたのか」を確認し、GA4では「そのページから始まったセッションがサイト内でどのような行動をしたのか」を確認する、という使い分けです。
ここで、
・記事を入口としたセッション数
・商品詳細ページへの遷移
・add_to_cart
・purchase
・購入金額
などを確認します。記事への検索流入が大幅に増えているにもかかわらず、商品詳細ページへの遷移や購入がほとんど発生していないのであれば、少なくとも短期的な売上獲得という意味では成果が出ていない可能性があります。
さらに調査したいのが、
「その記事をきっかけに初めてサイトを訪れたユーザーが、その後顧客になったのか?」
という点です。記事コンテンツの場合、記事を読んだその日に商品を購入するとは限りません。
例えば、
Google検索
↓
記事を読む
↓
ブランドを知る
↓
Instagramを見る
↓
数日後にブランド名で検索
↓
商品を購入
という行動も十分考えられます。この場合、購入時の流入経路だけを確認してしまうと、「ブランド名の自然検索から売れた」と判断してしまう可能性があります。しかし実際の顧客獲得の起点は、最初に読んだ記事だったかもしれません。そこで、GA4の探索などを使い、記事をランディングページとして訪問したユーザーのうち、新規ユーザーがどの程度存在するのか、そのユーザーがその後購入に至っているのか、といった観点で確認します。
ここまで見ておくと、
「記事から直接いくら売れたか?」
だけではなく、
「記事が新規顧客獲得の入口として機能しているか?」
という評価がしやすくなります。
GA4のデータをBigQueryにエクスポートしているのであれば、さらに詳細な分析が可能です。例えば、記事ページを最初の接点として訪問したユーザーをuser_pseudo_idなどで抽出し、
・その後何回サイトを訪問したのか
・何日後に再訪したのか
・どの流入経路から戻ってきたのか
・どの商品を閲覧したのか
・最終的に購入したのか
・購入まで何日かかったのか
・購入金額はいくらだったのか
といった行動を追うことができます。ログインユーザーなどでuser_idを取得できている環境であれば、それを組み合わせることで、より精度の高い分析も可能です。検索順位やクリック数だけではなく、
「その検索流入が、その後の顧客獲得にどの程度つながっているのか?」
まで確認しないと、ECサイトにおける施策の費用対効果は判断しづらいからです。
Shopifyを利用している場合は、別の方法もあります。例えば、検索経由で初回購入に至った顧客について、Shopify Flowを活用して流入経路に応じた顧客タグを付与しておきます。
(以前、こちらについては別の記事でも解説しています。)
例えば、
「Googleの自然検索経由で初回購入した顧客」
というタグを付与しておけば、その顧客がその後どの程度リピート購入しているのかをShopify側のデータから確認できます。GA4だけに頼らず、Shopifyの顧客・注文データを使って中長期的な顧客価値を確認できるのはメリットでしょう。一方、この方法には当然ながら限界もあります。
購入が発生する前のユーザーを追跡できない
という点です。「記事を読んだけれど一度も購入しなかったユーザー」がどの程度存在するのかまでは、Shopifyの顧客・注文データだけでは十分に評価できません。そのため、検索流入そのものの効果検証については、Search Console、GA4、必要に応じてBigQueryを組み合わせた方が分析しやすいでしょう。
このようなデータを日々見ていますが、アパレルECでは一般名詞検索から購入に至る確率がそれほど高くないケースが多いです。理由はいくつか考えられます。
例えば、
・「そのブランドだから欲しい」という動機が購入につながりやすい
・比較検討になると、知名度や価格、品揃えなどの影響を受けやすい
・ブランド認知がない状態では、ECモールなどで横断的に商品を探した方がユーザーにとって便利な場合がある
といった点です。実際、ビッグキーワードで上位表示され、検索流入が大幅に増加したにもかかわらず、売上がほとんど増えなかったケースには何度も遭遇しています。もちろん、だからといって「アパレルECではコンテンツSEOをやる意味がない」という話ではありません。
商品との関連性が高い検索テーマであったり、ブランドの世界観や専門性と相性の良いコンテンツであったり、検索をきっかけにブランドを知ってもらう役割を果たしていたりするのであれば、十分に価値はあります。そしてそれを社内のスタッフが通常業務の範囲内で記事を書き、検索流入が少しずつ積み上がっているのであれば、そこまで厳密に費用対効果を問う必要はないかもしれません。
一方、外部のSEOコンサルティング会社と契約し、毎月多額の費用をかけて記事を制作しているのであれば話は別です。検索順位、表示回数、クリック数、Organic Searchのセッション数だけではなく、
検索流入 → 新規ユーザー獲得 → 再訪 → 商品閲覧 → 購入 → リピート購入
まで確認した上で、その投資が本当に売上や顧客獲得につながっているのかを判断する必要があります。そして、そこまで調査してみた結果、一般名詞からの検索流入がほとんど顧客獲得につながっていないのであれば、SEOに投下している予算や工数を、ブランド認知や指名検索を増やす施策へ振り分けることも検討すべきでしょう。アパレルECでは、「検索順位を上げること」が目的ではありません。
検索をきっかけにブランドを知ってもらい、最終的に顧客になってもらえるのか。
コンテンツSEOに取り組むのであれば、そこまで追いかけて初めて、本当の意味での効果検証になるのではないでしょうか。
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ECサイト構築・運用・コンサルティング、リテールのソリューション事業を中心に活動。並行してファッション専門学校の講師も務める。Twitter(@fukaji38)株式会社StylePicks
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