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新規のクライアントでGoogleアナリティクスのデータを確認する際、大体取得できていないのが「サイト内検索」データ。ユニバーサルアナリティクス(以下、UA)であればクエリパラメータの設定が必要になりますし、GA4の場合ですとカスタム定義での設定が必要になりますので、どちらでもデフォルトだと見れないのが難点でしょうか。
(一応、設定方法載せておきます↓)
■UA
管理画面 → ビューの設定
サイト内検索のトラッキングをオンにして、クエリパラメータを設定すればOK。(shopifyなら「q」、WordPressなら「s」と使うCMSやカートによって変わります。)
■GA4
管理画面 → プロパティ → カスタム定義
カスタムディメンションの編集にて、範囲をイベント、イベントパラメータをsearch_termで設定。(ディメンション名は任意)続いて探索にて、
ディメンションに先ほど作成した「site_search」を設定、指標にイベント数を設定すれば閲覧可能になります。
GA4はsearch_termというパラメータがあらかじめ用意されているのですが、カスタムディメンションで設定しないとサイト内検索データが見れないのが難点ですね。(クエリパラメータはデフォルトで設定されているのに…)
サイト内検索データはWEB解析士の方でも「使えない」というケースがあるのですが、アパレルECではかなり使えるデータだと考えております。では、どのように活用するのか?について記載しておきたいと思います。
アパレルの商材はシーズンや月によってニーズが変動しますし、もっと細かく言いますと気温によっても変わります。例えば直近のお話ですと今年の11月は平均気温がやや高く、とあるブランドではアウター関連のサイト内検索データが昨対で減少、変わりに中衣料・グッズ関連が逆に伸びる、なんていう現象が発生しました。このようなデータを週次で追っておりますと、次週にどのようなプッシュをすると需要に対応できるか?がわかってきます。次週の気温の予報を確認しつつ、前年・前々年より伸びが良さそうなアイテムの訴求を強化すべく、コーディネートの画像を増やしたり、それを使ってSNSやメルマガのプッシュに活用したり、と対策が取れますね。
また、11月時点で昨年12月のデータを確認しますと、その月にはどのような需要があったか?がわかりますので、先々の提案を決める際の参考にもなります。展開アイテムによってサイト内検索のデータは変わりますが、ブランド単体でのEC運用になりますと、それほど大きくアイテム構成比やアイテムカテゴリーも変わりませんので、意外と昨年のデータでも使えます。筆者の経験上、データが大きく変わるのは「人気アイテム」と「気温」による変動でしょうか。しかし、毎年変わらない需要も一定数ございますので、そこがどのタイミングで上がりそうか?程度は十分活用できます。今の時期ですと防寒やギフト関連は確実に上がってくる需要ですので、どのタイミングで上がりそうか?を事前に確認し、それらに関するコーディネートや特集、商品一覧ページ、メルマガ、SNS等をしっかり準備しておきましょう。
サイト内検索データを活用する際、いくつか注意点がございますのでそちらも記載しておきます。
アパレルでは同じアイテムなのに別の呼称があるケースが多発します。例えば「リュック/バックパック」「ベスト/ジレ」「ワンピース/ドレス」「オーバーオール/サロペット」(オールインワンやコンビネゾンと混同する場合も)などなど。厳密に言えば違うものもあるかもしれませんが、ユーザーからするとその呼称で覚えている限りはそのキーワードで検索します。結果、商品タイトルや説明文にて当該キーワードが入っていない場合は商品がヒットしません。これはブランド側の方針次第ではあるのですが、検索結果を元にそのキーワードを商品タイトルや説明文に入れておくかどうか?は検討した方が良いでしょう。特に検索の回数が多いアイテムは、ヒットしなければ機会損失している場合もございます。説明文に入れておく方がハードルが低いので、そちらで対応しているものがよく見られますね。
以前、弊社の案件でも実際に起こったことですがセンタープレスが入っているだけのパンツをユーザーが「スラックス」と検索していたのですが、当然ながら当該アイテムはヒットしません。これもブランドの方針次第ですが説明文にて「スラックス風」と記載しておき対策を取る、などの措置はできなくもないです。ユーザー側の認識が間違っているからといって、アイテムが絞り込めなければそれも機会損失につながる恐れがありますので、可能であれば対策した方が良いでしょう。サイト内検索にいきつくまでに、SNSやメルマガ等でアイテムの正式名称をプッシュしておく、という手法もありますが、どうしてもこのような事態は発生しますのでご注意を。インフルエンサーマーケティングやアンバサダーを使っているブランドは、拡散してもらう際に正式名称でキャプションを書いてもらわないと、ユーザーが検索しにくくなりますのでこちらも注意が必要ですね。
特定のクエリパラメータで商品を絞り込み、そのURLを使って「特集」のようにバナーで送客するケースがございますが、その場合もサイト内検索のデータに反映されます。この場合ユーザーからすると検索ボックスにキーワードを入力しておりませんが、バナーをクリックするということはニーズがあった、ということではあるのでユーザーの興味関心を計ることは可能です。アパレルはシーズンによって着用シーンや必要な機能が変わってきます。それらをあらかじめこちらで予測しておき、バナーでわかりやすくキーワードを記載。クリックが増えればサイト内検索のデータが溜まり、どの内容が需要があったかがわかるという流れですね。担当者においては、この対応をした場合は必ずしもユーザーが検索ボックスにその語句を打ち込んだ訳ではない、ということを理解しておく必要はあるでしょう。
shopifyのECサイトでたまにあるのですが、サイト内検索の設定が「Products, posts, and pages」のようになっており、ブログ記事や固定ページまで検索にヒットしてしまっていることがあります。このような場合、商品ページのみのヒットに切り替えるよう調整しておいた方が良いでしょう。記事を探したい、という方もいらっしゃるでしょうけど、この場合商品と記事がわかれて表示される訳ではありませんのでそもそも表示させないという判断が望ましいでしょう。
余談ですが、検索ボックスの場所がわかりにくかったり、スマホの場合でハンバーガーメニューを開かないと出てこなかったりする場合がございます。これが見つかりにくいとそもそも検索行動を促進できませんのでご注意を。
ベイクルーズストアは徹底しておりますが、ヘッダーにでかでかと検索ボックスがあり、下層ページに遷移してもずっと表示されております。また、ページ下部にはメニューバーがあり、そこにもサイト内検索の項目がありますね。こちらもスクロールしてもついてくる仕様ななので、どんな画面を見ていても検索が可能ということです。
最近はZETA SEARCHのようなサービスを導入すると、ユーザー側が間違った語句で検索しても「もしかして◯◯ですか?」のような表示をしてくれるものがあったりとサービスが充実してきていますが、人力でもやれることはあります。アパレルだけの事情も多々ございますので、店頭出身の方であればよくわかる内容かとは思います。ブランド属性によってもキーワードは大きく変動しますので、チェックを怠らないようにしておきましょう。(型数が少ないブランドは放っておいてもそんなに問題無いかもです。)「何を提案したら良いかわからない…」なんて方は、ぜひサイト内検索データを活用しつつ、普段の提案に活かして頂ければと思います。
株式会社StylePicks CEO。ECサイト構築・運用・コンサルティング、リテールのソリューション事業を中心に活動。並行してファッション専門学校の講師も務める。Twitter(@fukaji38)
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