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先日、ネットニュースで以下のような記事を見つけました。
”入社5日前に内定を取り消したのは、あの女性社長が率いる急成長アパレルだった”
これは、通販からスタートし、近年ではテレビでも取り上げられ急成長したドゥクラッセのことです。この記事からも理解できるように、元々業績が言うほど良くなかったのでしょう。
私は2018年に”ガイアの夜明け”に取り上げられてから、定期的に渋谷のマークシティの店舗に足を運んでいました。なぜならば、”この企業そんなに好調なんかな?”と疑念が沸いたからです。定期的に足を運んだ感想としては、期中の早めの段階からよくセールをしていたので、オーバー仕入ではないか?という目で見ておりました。
以下理由を述べると。
・元々通販・EC事業で商品展開数が広がりがちだったところに、相次ぐ実店舗ので出店が重なり、基準となるMDモデルの整備が遅れた?
・販売期間が長くなりがちなベーシック商品中心の品揃えの上、大型店舗出店で、全体の商品投入アイテムが増加した?
・在庫回転が悪く、MDの難易度の高いメンズを拡充した
・上記の件やミニマムロットにより、不必要な仕入点数が多数発生?
・結果。早い段階でのセールを強いられることによる粗利の低下とブランドイメージの悪化?
等、その拡大戦略が計画性をもって行わているように見えなかったからです。
単純に言えば、前始末が適当だったのでは?ということになります。
その中でも、特に標準店舗の概念なしに、急拡大戦略をとっているのでは?と強く感じました。
以前、私もその貴重なお話を聞かせて頂いた、UNIQLOの公認会計士でもある安本隆晴さんの著書。”強い会社を作る会計の教科書”から、1990年代のUNIQLOの標準店舗モデルがどのようになっていたのか?ということを引用させて頂きますと。
・場所(商圏)ロードサイド
・広さ 150坪
・形態 ローコストの倉庫形式の売り場
・売上3億円 ・粗利率37.5%
・仕入原価率 50% ・販管費30%
このように設定し、陳列方法・販売管理のオペレーションも厳密に標準化していったそうです。
私は、以前通販会社でMD講義をさせて頂いたとき、その会社には”標準店舗”などの概念がありませんでした。結果、仕入設計・在庫管理が杜撰になり、業績が悪化している一つの要因となっていました。ですが、今では、その組織もページ数等から必要商品投入アイテム数を設計するようになって、在庫も削減しています。
その経験から考えると、通販会社から始まったドゥクラッセの場合、標準店舗の概念がないか抽象的で、基本的なMD設計・店舗オペレーションが不整備なまま、急激な拡大戦略をとったことから、今回の新型567による影響もあり、あっという間に危機的状態になった!そのようにも推測できます。
大手アパレル・ファッション小売業で、常に利益を上げている企業は、実はこのような標準店舗の設計がしっかりとされています。そして、そのことに基づいて、基本的なMD設計・店舗オペレーションなども標準化しています。
標準店舗なきMD設計・管理は、過度な商品投入を引き起こす要因ともなり、在庫過多を招きやすくなります。その結果、利益が減り、手元のキャッシュが減少すれば、今回の新型567のような危機に対応することはできません。
今回の新型567の影響で、今後EC等の通販売上構成比が向上することは間違いありません。だからこそ、しっかりとMD設計・運営・管理が必要になってくるということです。EC専業・通販専業であろうが、組織の持つ長所を活かした、具体的な標準店舗モデルの設計をすることをオススメして今回のブログは終わりです。
【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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