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ファッション・アパレルECの担当に向いている人材

普段、ファッションの専門学校にてECの講義を担当している筆者ですが、同じ内容を教えていても知識・技術の吸収が早い方とそうで無い方がいらっしゃいます。学習など個人差があって当たり前なのですが、傾向がはっきり分かれていると感じましたのでこの機会に書いておきたいと思います。

ファッションの専門学校には当然ながら、めちゃくちゃ服好き・服バカが集まっている訳なのですが、筆者が過去専門学校に通っていた頃よりはその傾向はやや弱くなっている気がします。偏見かもしれませんが昔はデザイナーズ信仰が強く、ちょっとお安い服を着用しているとバカにしてくる方も一定数いらっしゃったのですが、最近はグループごとに好きな服が違い、インポート・デザイナーズブランド好きの学生もそれを受け入れているように思います。

そんな訳で多種多様なファッションを愛する若者が集まっているのですが、この中でEC担当に向いているのは、

「中価格帯以下の服を購入する若者」

である傾向が強いと感じます。今、受け持っている学生さんですと「HARE」でアルバイトしている方なんかはとてもEC担当に向いています。何故このような傾向が出てくるのでしょうか。

■服好き・服バカは試着体験をより重視している

ハイファッションが好きな若者は比較的高い服を日々購入しますので、普段からアンケートを取っていてもECで服を購入しているケースは少ないです。(メルカリなどのリユース品やハイファッションに酷似している安価な服をECで購入するケースはあるようですが)これのせいか、中価格帯の服を購入する学生さんよりECの利用率が下がる傾向にあり、課題にやや気づきにくい印象があります。また、普段から閲覧するECサイトもハイファッションブランドの公式サイト、感度の高い古着屋のECサイト、Farfetchなどが多く、大手アパレル・セレクトのECサイトはほぼ見ていません。

■中価格帯以下の服をよく買う学生の傾向

一方でそれ以外の学生さんはどのような感じかと言いますと、大手アパレルのECサイトをよく見ていますので、どのようなサイトコンテンツがあるか?をよく知っていたり、またSNSを見てECサイトに流入する、など普段のお客様の購買導線を実際に体験しているので、筆者でも知らないようなサイトコンテンツのお話を学生の口から聞くことがあります。(とても勉強になるので講師は辞められない…。)

GA4などのWEB解析に関しては、数字を見るのが好き・嫌いという個人の好みが大きく左右してしまうのでバラバラなイメージがありますが、日々のECの改善提案に関してはこのように如実に差を感じております。筆者は授業の中で、「やや使いにくい」と思われるECサイトを一つピックアップして学生さんに、

①ECサイトの改善案の仮説を複数出してもらう

②発表する

③それを検証する為のレポートをGA4で作成する(主に探索)

というワークをしてもらっております。(GA4は事前に一通り、基本的な使い方をレクチャーした後です。)

ここでいう①の段階で、普段から使いやすいECサイトを見ている方は、使いにくいサイトを見た時の差分に敏感なのか良い意見が出るケースが非常に多いです。逆に、普段から使いにくいデザイナーズブランドの公式サイトなどを見ている学生さんは、ここに対してやや課題があります。

 

これは普段から、「中価格帯ブランドを買え」という訳ではないのですが、売上の規模が大きくなればなるほど、ファッションブランドの感度も下がる傾向にあるので(何を持って感度が高いか?という面倒臭い議論は置いておきます)、服好き・服バカがEC運用をやりたい場合は大手のECサイトをもっと見ておくべきだと感じます。まぁBEAMSでもBAYCREW’S STOREでもDaytona ParkでもUNITEAD ARROWSでも、ハイファッションブランドの取り扱いはある訳で、好きなブランドがその公式サイトでしか見れないということもそれほど無いのです。

特に大手のサイトの方がスタッフコーディネート含め写真数はめっちゃ多いし写真はキレイだし、商品説明文も豊富でスタッフコメントも充実しているので情報量は圧倒的に多いです。先日もデザイナーズブランドの中の人の相談に乗りましたが、写真へのこだわりが強く、ビジュアルは素晴らしいのにそれをお客様に届けるところで躓いいました。このようなことが日々常態化していると感じておりますので、ECで販売を強化したいというなら「よく売れているECサイト」のリサーチを欠かさないようにしてください。何なら商品も買ってください。同梱物一つとっても購買体験が全然違いますし、その後定期的にジャーナルを送ってくるショップもありますから。「カッコよさを追求したいから売上は二の次です」という場合は対策しなくて結構ですが、商品タイトルを全て英語表記にした結果、カタカナでサイト内検索してもヒットしないなんて事実が本当に「カッコいい」のかはよく考えた方がいいかと。

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