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アパレルECで商品別効果の検証に最適なレポートは何なのか?

アパレルECの効果検証の際、商品別の成果を見るのに、

「商品ページごとのCVRが見たい」

とよくご相談されます。

これ、WEB解析側の人たちからすると「???」という感じかと思いますが現場で結構言われます。要は商品詳細ページ(商品自体・もしくは説明文や導線)が効果的だったか?を確認したい、という思いからこのようなご相談を頂くのですが、セッションスコープとイベント・アイテムスコープを混同されているのでWEB解析の専門家からすると「何を求められているかわからない」という感じになりがちです。

上記のようなクライアントの質問に対し、そのままGA4でレポート作成すると下記のような感じになるでしょう。

■特定の商品ページを経由したセッションをセグメント→経由売上を抽出

セグメント機能:セッションスコープ・商品ページのURLを経由したセッションをセグメント

指標:セッション・セッションのキーイベント率・eコマースの購入数・購入による収益など

という探索を作成。商品ページ全ての効果を見たいでしょうから、存在する商品ページのURL経由セッションのセグメントを作成する、という超絶面倒な作業になります。(何時間かかるんや…。)煩雑過ぎてレポート作成は現実的ではないしょう。また、こちらは経由しただけのデータなのでこのセッション経由で売れた商品は、セグメントした商品ページのアイテムとは限りません。

■特定の商品ページがランディングページのケース

ディメンション:ランディングページ

指標:セッション・セッションのキーイベント率・eコマースの購入数・購入による収益など

フィルター:ランディングページ 含む (商品詳細ページのページパス共通の文字列など)

そもそもCVRはセッションに対してどの程度の割合で購入されたか?の確率なので、セッションスコープでもないのにCVRは出ません。(GA4はユーザーでも出せますが)なので、ランディングページのようなセッションスコープのディメンションを活用するのが簡単なのですが、これだと最初のページが詳細ページだっただけのレポートなので、これも要望とはややずれます。(別のページも経由している上に、販売されたアイテムがランディングページになった商品とは違う可能性があります。)

一方、イベント・アイテムスコープならどのようなレポートの出し方になるか?を見ていきましょう。

■アイテムの閲覧数とアイテムの購入数・収益

ディメンション:アイテム名

指標:閲覧されたアイテム数・アイテムの購入数・アイテムの収益

こちらが商品ページの閲覧と購入を一番正確に出すレポートだと思いますがCVRが出ません。あと、閲覧されたアイテムと商品詳細ページの表示回数は厳密に言うと違うレポートになります。(上記のようなレポートは探索で作らずとも、既存のレポート「エンゲージメント」から「eコマース購入数」をクリックしても出ます。)

◯商品ページのタイトルとアイテム名が違う理由

アイテムの閲覧に関しては、商品詳細ページに遷移した際に「view_item」というイベントが発火しており、そのイベントと同時に商品データ(アイテムカテゴリー・商品名・商品ID・価格など)を取得しています。一方で、商品詳細ページの表示回数は「ページタイトルとスクリーンクラス」などのディメンションを使うことが多いでしょう。

アイテムの閲覧とページタイトルの表示回数の違いは、アイテムの閲覧がitem_nameを拾ってきているのに対して、ページタイトルはtitleを拾っていますので、文字列が違うケースが度々出てきます。ページタイトルの取得は、商品ページだけが対象ではないのでこれは致し方ないでしょう。

(商品登録の際に商品名を入力する箇所=item_name)

(ディメンション「アイテム名」に反映)

(検索対策の文言をページタイトルに設定する箇所=title)

(ディメンション「ページタイトル」に反映)

そんな訳でCVRのようなものを無理やり出そうと思うと、閲覧数に対してどの程度の購入があったか?を算出するのがこの目的に一番合致していると思われます。ここでの問題点は「商品ページの閲覧」に対して、注文が仮に1件だったとしても購入された商品は数点ある可能性がある、ということです。

Ex)AさんがワンピースBを1点、パンツCを1点購入した場合、1セッションに対して1件の注文ですが2点販売されています。商品ページを5回ずつ閲覧したとしても、

セッション 1

ワンピースB 閲覧5 購入1点

パンツC 閲覧5 購入1点

eコマースの購入数 1

というデータになります。この場合、CVRは100%ですが、ワンピースBは閲覧が5回に対して1点売れているので、閲覧に対して購入された割合は20%です。商品別や商品ページ別の効果を確認したい場合は後者が求められがちです。そもそも購入(purchase)はイベントなので商品ページに紐づいておりません。purchaseが商品ページで発生していないのですからアイテムの購入数も出ません。(purchaseと同時に購入点数も取得されています。)

[GA4] e コマースのスコープ

(厳密にはview_itemはイベントですが、item_nameなどパラメータはアイテムスコープです。この時点で「ちょっと何言ってるかわからない。」という状態になりますね…。)

◯アイテムの購入数÷閲覧されたアイテム数を出したいならLooker Studio使ってください

そして、GA4のレポートには「アイテムの購入数÷閲覧されたアイテム数」なんてものはありませんので、無理やり作る場合はLooklerStudioの計算フィールドを使ってください。

これで、view_item発生に対してアイテム購入数の割合が出ます。無理やり感はやや否めませんが、これを出しておくと「閲覧数が少ない割りに売れたアイテム」は発見しやすいので意外と使えます。(「◯◯のキーイベント率」という指標もこのケースでは使用不可です。アクティブユーザー数などは使えます。)

こんなもの出さずとも、先述しました通りGA4の既存のレポート「エンゲージメント」には「eコマース購入数」がありますので、そちらを見ておくだけでも良いのですが、何故CVR(キーイベント率)が出ないのか?の理由と、無理やり出すならどうしたら良いか?について参考になれば幸いです。こちらのレポートに在庫データまでぶっこみたい、という場合は下記記事をお読みください。

露出が少ない割りに売れているアイテムの在庫数を知る方法

閲覧が少ない割りに売れている、且つ在庫がある商品までを簡単に出す事が可能です。

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