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*過去よく読まれたブログを掲載しております。(2016年)
最近この業界にいるとよく耳にするのは「52週MDが大事。」という言葉です。私自身も7~8年前までは「これからの時代は52週MDが必要だ!」なんて頑なに信じていました。
しかし、言葉ではそうはいっても「実際に52週MDって何?」って言われても実際に理解できていませんでした。そこで今回はこの「52週MD」について、私の独断と偏見で考察していきます。
そもそも「MD」という言葉は「商品計画・政策」という意味です。
ということは、52週MDを謳うのであれば、1週ごとに商品計画・政策を行わねばならないということです。当然のことながら、1Wごとに投入計画・売上・仕入・粗利・在庫の予算計画を組み、結果を分析し、週ごとに今後の予測を立て、予測に沿い計画の修正を毎週行うということになります。
これが精度高く行われば、良いことだと思いますし、実際に大手などは週ごとに上記のようなことを行っている組織も多いでしょう。
店頭の立場に立ったときの「52週MD」のメリット1つは店頭を常に変化を出し、常に鮮度を保てるということです。実際に自分が店頭勤務のときも「常に店が変わらないといけない。」と思いこんでいましたし、新商品が毎週来ないと不安にもなりました。
しかし、「お客様」の立場に立ってよくよく考えると、そもそも「毎週服屋を見に行くのか?」という疑問が湧いてきます。
服好きである私が好きな服屋に行くのは、どんなに多くても月1回ですし、実は一般のお客様が服屋に足を運ぶのは、「寒いな。アウターいるな。」「暑くなったからTシャツ買おう。」という肌感覚で何かを感じたとき、年に数回程度ではないでしょうか。そう仮説を立てた場合、「毎週店頭に鮮度を保つ。」ことが、重要でないとは言いませんが、優先順位で考えてそんなに高いとは思えません。
より、大事なのは自分たちのブランド・ショップの「顧客像」を捉え、お客様に最適なタイミングで必要な量の商品を準備することです。
そう考えると、業態によっては「52週MD」なんて考える必要のない業態もあるのではないかと感じます。
実際、私はメンズのブランドの立ち上げに携わりましたが、実際やってみたら「52週MD」の必要性を全く感じませんでした。
以前の記事にも書いたように、月計画で予算を組み立て、事前の商品投入計画は月に2回で計画を作り、店頭展開の2~3週までにセンター倉庫に商品を準備し、日々変わる天候と相談しながら、フレキシブルに商品投入を実行していきました。当時はかなりまわりから「異端」と後ろ指をさされましたが。
また中小規模のアパレル小売り業の立場になって考えると、上記のような「52週MD」を実行するデメリットも少なくないと言えます。週ごとに緻密に計画を組み立てるということはそれだけ労力がかかる
ということです。MDの仕事はいつの間にか、プロスポーツ分析担当のようなデータアナリスト的な存在なり日々Excel作業に追われます。商品ディレクター・DB・VMD担当等の商品に関わる人の仕事量も増え、結果的に固定費の増加につながりかねませんし、そういった人材が店舗に足を運ぶ時間が少なくなる。などのデメリットも多いんです。
但し、週分析、いや日々の分析は必要です。なぜなら、日々「気分が変わるお客様。」の変化に素早く気づき対応してかねばならないからです。商品を追加するにしても、店に投入された次の日にジャッジをすることがベターだと言えます。但し、マニアックに分析しすぎて分析すること自体が目的になってはいけません。
今回「52週MD」について考察しましたが、私はこれを完全否定する立場ではありません。要は自分たちのブランド・ショップの「顧客像」や会社の規模等すべてを鑑みて、「52週MD」が「お客様」の立場に立った時に「最適」ならばそれで良いですし、「52週MD」をしない方が「最適」にならば、無理に「52週MD」を導入する必要はないのです。
【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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