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アパレルECの会員特典の設計はどうすれば良い?

アパレル・ファッションブランドなら店頭で必ず取得しているお客様の個人情報。昨今はモバイルアプリを会員証の代わりに使い、そちらでECと店頭の購入履歴とポイントを統合しているケースが多いかと思います。ECサイトでもお客様に会員登録を促進し、そこから追客 → 年間購入金額を増やすという取り組みをされているブランドは多いかと思いますが、お客様が会員登録をする理由をこちらで作ってあげるのも必要な事だと考えております。

そこで重要なのが「会員特典」な訳ですが、意外とここをしっかり設計できているブランドは多くありません。そこで、普段から筆者がリサーチしたショップで目についた会員特典をいくつかご紹介したいと思います。

◯シーズンごとのルック・壁紙進呈

■ルックブックの進呈

アパレルブランドは新シーズンになりますと、シーズンテーマを反映した「ルックブック」が発刊されます。大体は春夏と秋冬に分けて半期に1回程度の頻度で発刊されますが、ブランドによって頻度はバラバラ。

レイビームス

上記のルックのように、1シーズンでルックを段階を分けて公開する、などのケースも見られます。問題はこれをどう会員特典にするのか?ですね。

ラグジュアリーブランドは、保有している顧客名簿にルックブックを封書でお送りする、という事もやったりしますが、会員数が膨大ですとお金がかかり過ぎてしまいます。なので、会員ランクを分けておき、高ランクユーザーのみにお送りする、という手法を使う場合があります。もしくは、会員登録されているお客様がお買い物をした場合にのみ進呈する、なども使えますね。

「登録して頂いたお客様にPDFデータで進呈する」というやり方を取るショップも以前ありましたね。この内容であれば、ある程度安価にルックブックをお客様に進呈する事が可能になります。この場合、公開しているルックページと、PDFには何らかの差別化要素は必要になるでしょう。

■携帯用壁紙の進呈

好きなブランドのシーズンごとの携帯用壁紙は顧客に喜んで頂けるプレゼントの一つでしょう。待ち受けに設定してもらえれば、ブランドを想起してもらえる回数も当然ながら増えますから、双方にとって良い特典ですね。ルックを毎シーズン撮影しているブランドなら、それを携帯用の画角に調整するだけです。どのブランドでも簡単に実行できるので、ぜひやっておくべきでしょう。

◯お直しパス

これはベイクルーズさんの会員特典なのですが、

https://baycrews.jp/news/detail/6128

購入した商品1つにつき、1度だけお直しのパスをもらえるというものです。これはあまり特典として採用されていないと思うのですが、どのブランドでも採用しやすい良い特典ではないでしょうか。ECはパンツの購入のハードルが高いので、身長別着用画像やバーチャルフィッティングとこの特典を組み合わせれば対策もできそうです。

◯宅配型トランクルームサービスの提供

ユナイテッドアローズ、ハウスカード優待特典で宅配型トランクルームサービスの提供を開始

こちらはユナイテッドアローズの会員特典で、自宅のお洋服を預かってくれるサービスと連携し、会員特典として半額で利用できる、というものです。

以前、ナノユニバースがサマリーポケットと組んで似たような事をやってましたが、狙いとしてはお客様のクローゼットに空きを作る事でしょうか。クローゼットがパツパツだと次のお買い物の意欲が湧かないと話される方は一定数いらっしゃいますから、こちらから空きを作りにいっている訳ですね。これを会員特典にしているブランドは筆者は見たことがありませんので、ちょっと面白い試みですね。

◯有料会員

amate

アメリヴィンテージでは有料会員の制度がありまして、月額を支払えばこれらの特典が受けられるというものですね。内容は「会員限定アイテム」「新作先行購入」「送料無料」「ポイント2倍」「会員限定instagram招待」「限定ノベルティ進呈」など。他のブランドだと高ランクユーザーで用意されている内容のものがいくつか散見されますね。会員限定instagramも事例はいくつかありますので真新しい内容はそこまで見られませんが、有料会員というのが興味深いですね。お金支払ってまで会員になっているのだから、その恩恵をもっと受けようと思うと、お買い物も促進されそうです。

◯ポイントプログラム ×リワード

https://dreamvs.jp/

夢展望ではShopfiyのアプリ「VIP」を利用したポイントプログラムの導入と、ポイントを使ってクーポンと交換できる制度を設けています。これにより、ポイントをしっかり使ってもらう=購入を促進、という流れを作っているようです。このようなリワードプログラムは、我々の日常生活ではよく見かけるはずですが、アパレルブランドの導入事例としては珍しいと感じますね。ぜひ明日からパクりたい参考にしたい施策です。いきなりここまでやらずとも、Shopifyを採用しているならVIPさえ導入すればとりあえずはポイントプログラムは実装可能なので、まずはポイントからスタートしてみる、というのも良いかもしれません。会員ステージごとの売上も簡単に確認できますし、モバイルアプリと連携して店頭での会員証として活用するのもこのサービスなら簡単にできてしまいます。(同社はShopifyのECサイトをモバイルアプリで公開するサービスも提供しております。)

 

いくつか実際に取り組まれている事例を見てみましたが、自社ですぐ取り組めそうなものもあったかと思います。ブランドの特性に合わせての設計が推奨ですので、インフルエンサーブランドならトークショーや展示会など、「リアルな場でご本人と会える」という内容でも良いでしょうし、スタイリストがディレクターのブランドなら「コーディネートの指南」などの内容が提供しやすい価値になるでしょう。意外と自社に向いている特典の設計はそんなに難しくは無いので、あとはどう運用するか?のシミュレーションだけですね。特典があると会員登録へ誘導しやすいですし、内容によってはブランドの価値を感じてもらいやすくなるので、ぜひ事前に設計しておきましょう。(相談したいという方はこちら

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