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「無難な提案」は意外と効く

アパレルECの運用に欠かせない「シーズンごとの提案」。シーズンと言えばざっくり分けますとS/SとA/Wの2分割ですが、アパレルは各月で売れるアイテムががらっと変わりますので(特にウィメンズ)、月ごとに細かい提案が必要になります。例えば今の時期ですと、

■梅雨まで使える◯◯
■外遊び(特に撥水関連)
■ギフト提案(母の日・父の日など)
■機能性商材(イージーケア・UVカット・接触冷感)

などなど。製品特性や着用シーンに合わせて細かい切り口を作ります。これらのキーワードは予めページを用意していればGoogle検索でヒットし、search consoleで確認が可能。どのキーワードがどの時期に上がってきたか?は追えますが、そもそもページ自体を用意していない場合はヒットしません。その場合、直近の売上やサイト内検索なども合わせて見ることでどのキーワードが伸びており、今ユーザーは何を求めているか?を何となく想像する事ができます。また、サイト内検索を実行する、という事はそのキーワードで絞り込まれたアイテムの一覧が表示されるので、ちゃんと当該アイテムがヒットしているかどうか?は注意が必要です。

◯なぜ「無難な提案」が多いのか?

日々、アパレル大手のECサイトをリサーチしておりますと、これらの提案が似通っているのがよくわかります。例えばルーティンなら、

■先週の人気ランキング
■予約商品まとめ
■人気スタッフが購入したアイテム

などが多いでしょうか。季節別だと、

■オケージョン
■(時期ごとの)ギフト提案
■◯◯図鑑(◯◯には季節ごとのアイテムが入ります。「ニット」とか)

身体的なものだと、

■低身長・高身長・プラスサイズ
■顔診断・骨格診断・カラー診断

などですね。他社でも同様に提案しているものが多いのですが、差別化せず似たような提案に収斂されております。そして、筆者のクライアントでもこのあたりを試してもらう事が多いのですが、何度試してもこの「無難な提案」が表示回数・経由セッション・経由売上が特に伸びやすいのです。結果、トリッキーなことはやらずに無難な提案は増えやすくなります。(「1週間コーデ」や「高評価レビューランキング」なども同様に高い効果を計測する場合が多いです。)

◯顧客のニーズは似たようなものが多い?

日々、店頭を見ておりますとブランドイメージが大きく変わるショップでも、提案しているアイテムが似ているなんて事はたくさんあります。どんな属性であれ、多くのショップでは2月くらいからオケージョンの提案は増えますし、またそれが売れやすかったりします。しまむらですら、低単価のセットアップがめちゃくちゃ売れるそうです。

また、低身長・高身長のような、体型別のカテゴリーキラーのようなブランドが過去、やけに増えた時期がありました。成功事例が出てくると、それを後追いするブランドが出てくるのは世の常ですが、大手アパレルのブランドまでが同様の動きを見せる事があります。

GLOBAL WORKが展開する低身長の方に向けた一部店舗限定レーベル「EiiS(エス)」から初のスタッフプロデュースアイテムが3月13日(水)販売スタート!

低身長だと上記のような例でしょうか。これ、「その市場を取りに行く」という思惑もあるのでしょうけど、既存顧客にこの提案が刺さりやすいという理由もあるかと思います。顧客も何かしら課題を持っていて、それを解決してくれる手段が世の中にあったとしても、できれば自分の好きなブランドが解決してくれるのが一番良いでしょう。つまり、無難な提案は「既存顧客の流出を防ぐ」「既存顧客からの売上アップを狙う」という効果の方が期待できるのではないかと。こちらも筆者のクライアントで試して頂いたところ、やはり経由売上は発生しやすく、また検索流入も増加しました。なので、顧客が多ければ多いほど、無難な提案は効きやすい感がありますし、筆者が日々計測している体感とも合います。

注意点としては、毎年同じ提案でいいのか?と言われますと、提案するアイテムはやはりトレンドが絡んできますし、それによって提案の切り口も少し変わる事があります。また、気温の変化によってその提案を出すタイミングが変わる事もあります。また、若年層のブランドはそのような言語化が必要無いブランドもあるでしょう。冒頭にも書きましたが、サイト内検索などからユーザーのニーズを掴みつつ、気温の変化、今売れているアイテム、徐々に売れ出しているアイテムなどをチェックしながら提案に繋げていくのが良いでしょう。提案の方法は様々ありますが、可能でしたらまずはスタッフの着用画像を優先。それを活用して、その後に特集やブログの執筆、SNS・メルマガ・LINEプッシュ時の素材に使う、というのが効率的ですね。そんな訳で週単位で、

■カテゴリー別の商品売上(PVとの相関も合わせて)
■各流入経路別のランディングページでどのアイテムへの流入・購買が多かったか?
■サイト内検索データ
■search consoleからアイテム別の検索状況

あたりを見つつ、どのような提案をプッシュしたら良いか?を検討するのが良いかと。急に全て準備はできませんから、ざっくりとした切り口はある程度決めておき、既にオーダーしているアイテムの中から何を露出すれば良いか?素材が足らない場合はどのように担保すれば良いか?を合わせて考えましょう。

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