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上記の記事は、3月の気温を調べ、アパレル上場各社の3月売上との関連を調べた記事ですが、そこそこの反応がありましたので(笑)、今回も4月の気温(東京)を調べ、アパレル上場各社の4月の売上にどのような影響があったのか?を考えてみます。今回も過去30年の4月の平均気温と今年の4月の気温を調べてました。(以下のグラフをご覧くださいm(__)m)
以下、4月の過去30年の平均と今年の4月の気温を比べてみての私の所感をお伝えします。
・今年の4月は観測史上最高気温だった
・平年よりも最高気温で2.4℃。最低気温で3.2℃高かった。(今年の4月平均最高気温は21.8℃。平均最低気温は13℃)
(東京の4月の平均最高気温は19.4℃。平均最低気温は9.8℃。)
→最高気温20℃以上が18日。
→最低気温12℃以上が21日あった。
・夏日(25℃以上)が8日もあった。
・5月平年により近い気温であった。
(5月平年の平均最高気温は23.6℃。平年最低気温は14.5℃)
上述したことから見えることは、今年の4月が暑かったのは紛れもない事実で、ほぼ5月上旬並みの気温になっていたと見ることが出来ます。特に気になるのは、平均最低気温が3℃以上高いという点です。平年の4月の最低気温は10℃以下なのですが、今年は13℃以上です。このようなことになると、通勤・通学時に羽織るものが、厚手のものから薄手のものとなりますので、男性視点でいうと、Gジャンくらいの厚さのアウターは、着用する機会が少なくなったでしょうし、女性視点でいうと、スプリングコートを着用する機会は、例年に比べて大きく減ったと推測されます。ということで、暑かった今年の4月、上場各社の動向・既存店前年比はどうだったのか?を、以下記載致します。なお、アダストリアの月次速報に記載されていましたが、今年の4月は前年よりも休日が少なかったことで、既存店前年比に2.1ポイントのマイナス影響があったと試算しています。
・ファストリテイリング(国内) 118.9%
・しまむら 106.3%
・アダストリア 104.1%
・バロックジャパンリミテッド 98.3%
・三陽商会 5月6日現在未発表
・ユナイテッドアローズ 117.3%
・TOKYO BASE(国内) 102.8%
前年比を調べる場合は、前年の数字が良かったのか?悪かったのか?のかを、本当は検証する必要がありますが、4月は3月と打って変わって、どこも好調な数字を叩き出しています。バロックさんだけは、あまり良くありませんでしたが_| ̄|○。
4月は3月と同様に気温の影響も大きかったようで、各社以下のようにコメントを発信しています。
・ファストリテイリング→4月は、気温が高く推移し、打ち出した商品と実需がマッチしたことで、夏物商品を中心に好調な販売となり、既存店売上高は大幅な増収となりました。
・しまむら→当月度は、月度半ば以降の気温上昇に伴い夏物の販売が好調に推移しました。 婦人アウター衣料では、トレンドのビスチェやデニム、チュール素材のアイテムが売れ筋となりました。
・アダストリア→中旬以降に気温が上昇したことで春夏商品の販売が好調に推移し、また、ゴールデンウィークの前半も天候に恵まれ、売上増加に寄与しました。 なお、昨年に比べ休日が1日少なかったことで、既存店前年比に2.1ポイントのマイナス影響があったと試算しています。
・バロック→4月は夏物商品が堅調に売れた一方で、春物商品の販売が伸びず、既存店売上、既存店客数が前年を下回りました。
・三陽商会→5月6日現在未発表
・ユナイテッドアローズ→気温の上昇とともにシャツ、カットソー、ニット、ブラウスなどの夏物軽衣料が好調に推移し、既存店売上高は前年から二桁増となりました。 自社ECサイトを中心に、ネット通販の売上伸長が目立ちました。客単価が前年を超過したのに加え、買上客数も二桁増と大きく伸長しています。
・TOKYOBASE→既存店前年対比の日本は、引き続き全業態とも客単価が増加、なかでも自社オリジナル業態であるUNITED TOKYO、PUBLIC TOKYOの客単価が大きく増加していることで、同月で集計しております。また円安トレンドが継続している事で、都心部店舗においては引き続きインバウンド需要が堅調となっております。
各社ともほぼ共通していることは、気温上昇→夏物が良く動いた!という部分です(TBさんは客単価UP・インバウンド要因と記載)。先述した私のブログで、3月の概況を鑑みて、私は以下のように所見を述べています。
”3月中旬メンズ・レディースのショップ(3月16日に深地さんとレディースのショップを廻った)を拝見する限り、今年は「在庫を残したくない!」という意識が働いたのか?夏でも展開できる商品を多めに品揃えした”守りのMD”に徹しているショップも多かった。”
”今年の春商戦は”守りのMD”に徹しているところも多く見えたので、気温上昇に対応しやすいのかもしれません。”
3月の段階から夏でも着られる商品を多めに品揃えし、春商品の品揃えを少なくしていた。4月の段階で、売り場の大部分が夏商品で占められているショップ・ブランドも多かったですから、このことが4月の気温上昇に対応できた要因といえるでしょう。近年、4月で夏日を超える日も増えていましたから、各社とも夏商品投入を早めるなどの気温対策を講じていたと考えられます。
5月以降の気温は、多くの皆様もご存知の通り、今年も平年よりも暑い気温で推移するとの予測が出ています。
アパレル小売の多くの組織では、5月以降の気温上昇を見越したMDを組んでいると考えられます。アパレル小売の商慣習では6月末くらいから商業施設でのセールが開催され、7月くらいから秋商品を立ち上げるショップ・ブランドも中には存在するでしょうが、ここ数年の夏の暑さは、7月8月は外出を躊躇したくなるほどの暑さですし、暑さは9月いっぱいまで続いています。このことによって、従来の春夏・秋冬といったMD区分ではなく、7月中旬~9月末?までの盛夏・晩夏初秋といったMD区分を設ける組織も増えてきたことだと存じます(弊社のお客様は、盛夏MD区分を設ける会社が増えています)。アパレル小売の現状のリードタイムを考えると、この4月の夏商品の動向。そして、5月の夏商品の動向というものは、7月・8月・9月のMDに大きな影響を与えますから、4・5月の夏商品の検証をしっかりと行うことこそが、7月以降の盛夏MDにとって重要である!ということを訴えて、今回の記事は終了です。
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【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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