メールマガジンを登録していただくと、セミナー・イベント開催のお知らせやブログの更新通知をお届けします
“25店あるワークマン女子の既存店売上高は前の期比11.1%減と前年を下回った。このためワークマンは女性を意識してきた商品戦略を見直し男性へ回帰する”
どちらにせよ嗜好品に寄ったままでFC増やすのは悪手な気がする。
/キャンプブーム終焉 ワークマンは「男子」に回帰 https://t.co/i08StCyvcA
— 深地雅也 (@fukaji38) July 28, 2024
先日、ワークマンの記事が出ておりまして、「ワークマン女子」不振との内容が記載されておりました。筆者は過去からこのFC加盟店契約については上手くいかない可能性が高い、と言い続けておりまして、
最近、どこ見てもワークマンの賞賛記事ばかりなんでちょっと決算書とか色々見てたんだけど、一番興味深かったのがFC契約の中身。このシミュレーションだと、月商1000万円のショップでワークマン側の販管費率は約24%程度。(加盟店への支払い140万円+その他諸経費98万円) pic.twitter.com/pQ3PtRjsO0
— 深地雅也 (@fukaji38) September 28, 2019
こちらのように、契約内容がやや不利に感じるという理由もあるのですが、それ以外に過去これと少し似た環境で仕事をした事があるのです。概要としましては、
・とあるOEM出身のアパレル企業のFC店から「ショップの管理をして欲しい」との依頼
・ジャンルはSC内にある低価格帯のウィメンズブランド
・FC店はいわゆる「販売代行」(在庫リスクがブランド側で、販売業務だけ請け負う)
・本部・FC共に小売のノウハウ無し(MDや販促などの事業部が無い)
みたいな状況ですね。意外とよくある環境らしいのですが、本日はこれによって店頭でどのような運営になっていたのか?を書いてみたいと思います。
まず元OEMの会社、という事で会社の中には小売のノウハウがありません。自社で製造を請け負っていた会社だったのですが、ODMから仕入れる方が手間かからないからとほぼ仕入れで対応する事に。(結果、周辺の競合店舗と全く同じ商品が並ぶ事も珍しくありませんでした。)
仕入れに関してはセントラルバイイングで、昨年のアイテム構成比別販売実績からざっくり商品を仕入れ。そこから店頭に商品を発送するだけです。とにかく社内にMD・VMDなんてノウハウは無いので、届いた商品を販売員が何となく陳列。
恐ろしいのは仕入れの段階でシーズンテーマ無し。(コンセプトは一応あるけど超ざっくり)ルック撮影なんてありませんから、シーズンごとのビジュアルがありません。もちろんショップにはデジタルサイネージやイーゼルが無く、シーズンごとのイメージを伝える手段もありません。何でしたらコーディネート自体組まれていないので、店頭に商品が送られて来た段階でスタッフがコーデを組み、陳列します。
MDが無いので強化品番が不明。どのアイテムの在庫が手厚いかわかりません。(厳密には納品書でやっとわかる)販促計画なんてありませんからブランド認知は上がりません。商業施設内のフリー客しか期待できないので、施設のHPや館のVPで頑張ってアピールするしかありません。
先述しました通り、店長がオーダーするショップオーダー方式ではなく、本部から送られてくる商品をそのまま販売するだけです。納品も特に告知はありません。決まっているのは売上目標と掛け率だけです。(大体、売上の15%前後が相場)本部からの指示なんてありませんから、店頭で自由に陳列・販売します。
それでもFC側にノウハウがあれば顧客管理と販売力で多少売上は伸ばせるのですが、FC側も小売の素人なので顧客管理のノウハウなんて全く無し。カスタマーカードが本部から送られてくる事もありませんので、放っておくと個人情報の取得はゼロ。そうなりますとDM・LINE等でお客様にプッシュができません。(本部から「DMは意味無い」とか言われる事も。)そんな状況ですから当然、SNSの運用も無い状況。言わずもがな、店舗のマネジメントができる人もいません。
ノウハウがある販売代行業者ならば本部の力量もしっかり見ると思いますので、このような体制ではまず代行を請け負ってくれないでしょう。そんな訳で、本部も店頭も素人運営が継続されてしまうのです。
そして更に怖いのが採用ですね。素人が面接するので、どんな人材が良いのか?もわかりません。奇跡的に販売力のある方が時短勤務を求めて面接に来られるケースもありましたが、それが力のある販売員かどうかの判断がつかないのです。このような状況でも販売力のあるスタッフが数人いれば何とかなるケースはあるのですが、人材がほぼ揃いません。また、出店場所によっては採用自体のハードル高く、そもそも求人出して応募が無い事も。
とまあ、このような状況でしたので運営も上手くいかず、本部に対して要望をいくら出してもまともに取り合ってもらえなかったという苦い思い出です。もちろん、筆者の力不足もありましたが小売のノウハウ、特にMDが無いとアパレル(特にウィメンズ)の小売を成功させるのは極めて困難であると痛感しました。
ワークマンは一部、小売をやってはいるものの、ほとんどがFC加盟店の売上に依存しており、完全な小売の企業ではないと考えております。だからこそ、この環境のままでワークマン女子を運営していくのは非常にハードルが高いなぁと…。そんな訳なのでこのような運営をしている企業様におかれましては起死回生の一手として、マサ佐藤氏にお仕事をご依頼するのが良いでしょう。(唐突に他人の営業を始める)FC側が不採算になろうが本体が無事なら問題無し、というならそのような対策を取る動きも無いのでしょうけど…。
株式会社StylePicks CEO。ECサイト構築・運用・コンサルティング、リテールのソリューション事業を中心に活動。並行してファッション専門学校の講師も務める。Twitter(@fukaji38)
小売ビジネスに関するMD(品揃え政策)アドバイス・サポートを
ご希望の方はお気軽にお問い合わせください。