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前回の記事が好評だったのか?は、置いておきまして、今回もMD脳を鍛えようを鍛えよう!~MDケーススタディ第2問~の記事をお届けします。(前回の記事は下記のリンクをご覧くださいm(__)m)
前回はメンズカジュアルショップの売れていない?パターンをお伝えしましたので、今回はレディースブランド・ショップについて考えていきます。今回取り上げるブランド・ショップは以下の通りです。
・レディースキレイ目カジュアル中価格帯ショップ(20代~30代へむけてのショップ)
・ニットやワンピースが強いショップ
・値入率の設定は70%(原価率の設定は70%)
・商品のリードタイム(以下LT)は2か月
以下、上記のショップのAW商品という区切りで、ニットというカテゴリーを取り上げ、MD予算(売上・粗利・仕入・在庫)と9月までの実績を入力したOTB表を作成致しました。以下のOTB表をご覧ください。
今回も基本的には前回同様に、以下の流れで話を進めていきます。
①MD予算からみえる特徴は??
②好調の要因は?
③今後(10月以降)の売上を更に伸ばすには?
読者の皆様は、上記のOTB表をご覧いただき気づいた点はありましたでしょうか?今回も前回の記事と同様に③の部分は、答は無限に存在しますので、この部分はMD講義を行った際に、受講者の皆様方と議論を展開出来ればと考えています。ということで、①②を読者の皆様方は考えてみてください。今回の記事では、私なりの①②の見解を、以下読者の皆様方にお伝えいたします。
先ず、上記のショップのAWシーズンにおけるニットカテゴリーの販売期間は、所謂レディースでいう一般的な販売期間(販売終了日設定2月28日)のようにみえます。また、売上のピークは気温が本格的に下がってくる11月となっています。メンズブランドの場合、冬商品の売上のピークは一般的に12月に来ることが多いのですが、今回はレディースショップですので、売上のピークが11月になっていますが、11月以降の売上推移を見る限り、現在の気候(温暖化・暖冬)も考慮したような売上予算設計に見えます。
次は粗利率からみえる部分です。月別の粗利率予算の推移を見る限り、12月から一部セールをスタートし、1月以降は本格的なセールをする!というアパレル小売りによくみられる予算推移になっています。また、今回のレディースショップの値入率の設定は70%。粗利率予算は62.5%(OFF率約20%)となっていますので、商品に出来うる限りの付加価値をつけ、高い粗利率を獲得したい!というMDの意図が汲み取れます。今回のショップの顧客ターゲットは20~30代とありますから、その層にむけたデザインやその他コラボ等、若い女性が感じる付加価値を提供を行っているのでは?と考えることもできるでしょう。
次は仕入・在庫予算からみえる特徴です。先述したようにニットカテゴリーの売上予算のピークは11月です。ですから、10月末に在庫のピークを持ってくるといった予算設計になっています。また、月別の仕入予算の推移をみると、例えば、8月仕入の商品は、9月以降に商品を販売する!という特徴もみてとれます。そして、今回のショップのLTは2か月です。ですから、8月仕入・9月仕入の商品等は、うまくいけば、11月・12月に追加発注を間に合わすことが出来ます。この辺も加味して仕入予算を考えているように捉えることが出来ます。
また、今回の仕入原価予算は約3850万円。売上原価予算は約3660万円ですから、売り終わりの2月末に約192万円の原価分の商品を残してもやむなし!というのが、このショップのルールのようです(期間消化率約95%)。
上記の図をみると、8・9月に売上予算を大幅にクリアしています。昨今の暑さの中で、ニットというカテゴリーの売上・粗利予算をクリアしているということは?商品自体が顧客に響くものだったとみて間違いないでしょう。また先述したように、顧客が商品の付加価値をどの部分に感じたのか?という検証をしっかりと分析出来ていれば、この先の売上も期待できます。また、仕入実績の推移をみてみると、前回取り上げたケースとは違い、9月まではほぼ仕入予算通りに商品が入荷しています。ということは、商品の納期遅れが発生していませんから、店頭には計画通りの商品が投入されているでしょうし、このショップの商品の納期コントロールはしっかりとしている!と見ることが出来ますので、商品に関わるそれぞれの職種の人がキチンと仕事を遂行している可能性が高いといえます。
また、③の”今後の売上を伸ばすには?”という項目になるかもしれませんが、11月の仕入実績が予算を大きく上回っています。これは、9月の実績を考慮した上で、商品の追加発注?もしくは、同じデザインの素材換え等の売れ筋に準じた商品の発注分を上乗せして仕入した可能性が高く、11月以降の売上を更に上げよう!という姿勢が見て取れます。現状は9月の実績が出た時点ですから、12月の仕入枠も増やし、その分お客様が喜びそうな商品を仕入することが出来れば、このシーズンは、ニットの売上・粗利予算は大幅に上回る可能性は高いでしょう。
ということで、今回のMD脳を鍛えるトレーニングは如何だったでしょうか?、今後は更に違うシチュエーションで例題を出せればと考えています。MD講義資料も現在作成中ですので、興味のある方は下記からご連絡くださいm(__)m。
【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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