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今回もしつこいようですが、MD脳を鍛える!第3回目をお届けします。新しいMD講義用の備忘録という意味合いもあるので、ご容赦願いますm(__)m。
前回・前々回は、販売期間・販売終了日を設定した商品でしたが、今回は販売終了日が設定していない1年中展開している継続商品についてかんがえてみたいと存じます。今回取り上げるショップは以下の通りです。
・メンズビジネスレザーシューズ専門店。価格帯は3万円~5万円
・値入率65%(原価率35%)
・商品の入荷は年2回(7月・1月)→リードタイム(以下LT)半年
・サイズ展開多い(10サイズ以上)→色展開もありSKU多い
以下、上記のショップの1年中展開している定番商品を取り上げ、MD予算(売上・粗利・仕入・在庫)と6月までの実績を入力したOTB表を作成致しました。以下のOTB表をご覧ください。
今回も基本的にはこれまでと同様に、以下の流れで話を進めていきます。
①MD予算からみえる特徴は??
②実績からみえる点は?(良い点・問題点)
③今後の売上だけでなく在庫回転率を向上させる為には?(数字も交えて)
読者の皆様は、上記のOTB表をご覧いただき気づいた点はありましたでしょうか?今回もこれまでの記事と同様に、③の部分は、答は無限に存在しますので、この部分は受講者の皆様方と議論を展開出来ればと考えています。ということで、①②を読者の皆様方は考えてみてください。今回の記事では、私なりの①②の見解を、以下読者の皆様方にお伝えいたします。
先ずは売上予算から見える特徴ですが、1年中展開している商品ということもあってか、さほど気温等の影響は受けずに、フラットな感じの売上推移に見えます。また、粗利率も63%前後で、ずっと推移していますから、基本セールをしない定番商品(数年にわたって展開している商品)ということになるのでしょう。セールをしない!商品というのは、値入率と粗利率の差が殆どないことからも(値入率と粗利率の差は約1.8%)みてとることが出来ます(年間5%OFF想定なので、基本セールをしない!ということがみてとれる)。
次は仕入予算からみえる特徴です。このビジネスシューズカテゴリーは、年間の売上原価予算が約4580万円となっていますが、仕入原価予算は4000万円となっています。ここからみてとれることは、在庫予算の件とも繋がりますが、MDの「少しでも在庫を減らしていきたい!」という意図が汲み取れます。では、何故MDは在庫を減らしていきたいのか?ということを推理します。このショップの期首在庫は3800万円となっています。この3800万円という金額は、売上の約10か月分に該当する在庫金額です。このショップのLTは約半年です。流石に在庫回転2(半年分の売上の在庫で運営を行っていく)を目指すと、人気の色・サイズの品欠けが早まり売上が低下する恐れがありますので、一概に在庫を減らすことばかりに注力はできませんが、それでも、少しでも期首よりも在庫を減らし、在庫回転を上げることに意識をおいているようです。
次は実績から見える特徴をみてみます。このレザービジネスシューズカテゴリーは、3月~5月までは売上・粗利予算ともにクリアし好調です。長く展開している商品ですが、お客様からの信頼が得られている可能性が高いといえます。しかしながら、6月からは売上・粗利ともに予算が下回っています。この要因は何なのでしょうか?このショップのLTは約半年で、次の商品入荷月は7月と予め決まっています。ということは?このカテゴリーの人気色・サイズがだいぶ欠けてしまっているのではないか?という推理が出来ます。何故ならば、このショップは上述したようにサイズ展開が豊富です(10サイズ展開)。また、色展開もありますから1アイテムあたりのSKU数が多くなります。
このようなショップの場合は、金額的には在庫は豊富でも(今回の例でいえば、5月末在庫金額は6月売上原価の7.8倍はあり、金額的にいえば在庫は豊富)、売上が下がる場合があります。SKU展開が多い商品の売上・在庫のデータは常にチェックしておくべきでしょう。事実、仕入が発生した7月は売上・粗利ともに回復していますから、7月は、6月に欠けていたSKUが揃ったと推理することが出来ます。
最後に③の”今後の売上だけでなく在庫回転率を向上させる為には?(数字も交えて)”ですが、上述したように、答は無限に存在しますので、私のMD講義の中で、受講者の皆様と議論出来ればと考えています。しかしながら、今回少しだけ見解を述べさせて頂きますと、次の1月仕入の金額をどのくらいに設定するのか?そして、発注そのもの精度を高めることが必須のように感じます。今回の組織は、入荷月が(7月・1月)元々決まっていますから、違う見方をすれば、商品の発注スケジュールも事前に決まっている!ということです。この事実から、MDがどのようなことを実践すべきなのか?ということを、読者の皆様方にも考えて頂ければと存じます。
ということで、この”MD脳を鍛えるシリーズ”は今回で終了です。今後MD講義の概要等を、皆様方にお伝えする所存ですので、このMD講義を受講されたい方は、下記のリンクからご連絡ください。
【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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