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前回までのブログで、2018年2月期粗利率低下の要因は?2018年2月期SS商戦のMD失敗が始まりなのでは?ということを考察しています。
因みにトウキョウベースの2018年2月期の決算説明会資料には、どんなことが書いてあったかというと??
”TOKYO BASE IR LIBRARY”
http://www.tokyobase.co.jp/ir/library/
”秋冬シーズンは、ST業態のMD計画が裏目に。 当初の目標通りの粗利得られず、成長鈍る。 春夏MDより基本に立ち返った商品構成へ回帰。”
と書かれています。
また、2019年2月期の半期決算説明会資料には、以下のようなことが書かれています。
”総在庫金額抑制の一環として春物商品の仕入れを抑えたが、商品の品揃え鮮 度を欠いた事により上半期は苦戦 ”
私は、これまで述べてきたように、トウキョウベースの躓き?、ステュディオス(以下ST)の躓きは、2018年2月期のSS商戦から表面化しているとみています。しかしながら、上記の決算説明会資料には、2018年2月期AW商戦からの失敗のように語られています。
因みに、2018年2月期のAW商戦に当たる2017年秋冬は、ここ数年の暖冬傾向ではなく、平年以下の気温が続き、秋冬商戦の売上が良かった組織が多かったということを述べておきます。
では、話を戻しまして。前回も使用した下記の図をご覧ください。
これは、前回も申しましたように、四半期でトウキョウベースの売上・粗利・仕入・在庫を連動させた図になります。
この図から見える問題点は?
・2018年2月期第2Qまでの仕入原価の伸びが、前年比167%に増加。これは、売上の前年比の154%を大きく上回る。(仕入超過)
・時点在庫の翌月売上比が、2017年2月期の2以下から、2018年2月期は、2以上に上昇。4Qには3を超える。
ということをお伝えしました。
2018年2月期決算時点の在庫水準が高いということは、前述の決算説明会資料にも触れられています。
しかしながら、このことでSS商戦の仕入を絞れば、売上が下がるのは当然であり、このことから、トウキョウベースのMD設計・管理・運用は杜撰なのでは?という仮説が立ちます。
ですが、冒頭でも申しましたように、2018年期の粗利率の低下は、2018年2月期SS商戦のMDの失敗が始まりである!と私は見ています。
事実、売上を大きく上回る仕入が2018年2月期第1Q・2Qも散見されます。
しかしながら、トウキョウベースの店頭の特徴を考えれば、第2Q(6月~8月)の仕入は、次期AW商戦の仕入の方が多く含まれているのは、間違いありません。
そこで上記の図を確認してみると?
2017年2月期4Q(12月~2月)の仕入金額が15.8億円となり、ここから翌月売上比も2を超えるようになっています。
第4Q(12月~2月)の仕入は、その大半がSS商材と考えられますから、実はこの時点で、売上以上の仕入をし、2018年2月期の在庫増加に繋がっているように見えます。
(因みに2018年2月期の4Qの仕入金額は16.2億円。前年同時期に比べ103%。売上は123%ですから、大幅に仕入を絞っていることが、ここからもわかります。ということは?前年同時期の仕入が多すぎた?と判断している。ということが垣間見える)
そう考えると💡
2018年2月期のSS商戦のMDは売上以上の仕入をし、在庫過多に陥った。そのことで、9月以降もECでのSS商材の在庫処理を余儀なくされ、2018年2月期の第3Qは、前年同時期より2.5%粗利が低下。ECの客単価(前年比77.8%)に少なからず影響を及ぼしている!
と考えるのが自然です。
ということは💡
トウキョウベースの決算説明会資料を見る限りには、ST事業の躓きが2018年2月期SS商戦のMDからなのに、気付いていなかった?という可能性が高い!ということです。
次回のブログでは、決算説明会資料に述べられている2018年2月期AW商戦の苦戦と、2019年2月期はどのような状態になっているのかを考察していきます。
【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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