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今年度、2月期決算の企業は早くも上期が終了しまして徐々にアパレル大手上場企業の決算書が公開されつつあります。毎年の事ではありますが、決算書からECの売上推移を確認していきたいと思いますが、まだ各社そこまで出揃っておりませんので、公開が早かったオンワードさんからいってみたいと思います。
売上:951億200万円(24年度上期:904億1100万円)
営業利益:52億5500万円(24年度上期:50億2200万円)
営業利益率:5.53%(24年度上期:5.55%)
EC売上:235億9300万円(24年度上期:225億9700万円)
EC内訳:自社EC 201億8000万円・他社モール 34億1300万円(24年度上期:自社EC 194億7800万円・他社モール 31億1900万円)
EC比率:24.8%
オンワードのこの上期の業績は増収増益で営業利益率も昨年同様良い状況で推移。月次報告を見ても常に昨対を超えており、売上は店舗・EC共に好調だったようですね。
この春夏は店頭回帰のトレンドで、店舗は好調に推移していたブランドが多かったように思いますが、オンワードも同様な数字。ですが、同社は2020年から売り場面積を決算書に掲載しなくなったので、店舗数がどう推移しているのか不明なんですよね。一時期大量退店した後の推移がちょっとわからなくなっておりまして…。
オンワードクローゼットのOMO店舗だけはめっちゃ増えているので、単純に売り場面積増えているなら店舗売上が昨対超えているのもまぁ当然と言えば当然でしょうか。(オンワードクローゼットセレクトでも物販やってるようですし)販管費率がそれほど増大していないので、売上はしっかり付いてきているかと。(昨年の上期よりは販管費率が下がっています。)
EC売上が好調な要因としては引き続きアンフィーロの躍進はあるでしょう。
(1ブランドだけ訳わからん伸び率…。通期で100億円いくんちゃうかしら。)
アンフィーロに関してはOMO店舗で積極的に売っているかと思うので、こちらもトップラインは伸びやすいのでしょう。しかし相変わらずハッシュニュアンスの名前は出てきませんし、とうとうuncraveまで決算書に名前が出なくなりましたのでちょっと心配ですね。比較的新しく開発したブランド、アンフィーロ以外当たっていないのでは…。(エステータとかネイヴとかセアンあたりはまだまだ規模感小さいのかな…。)
そんな好調なオンワードの決算なのですが、気になるのは相変わらず値引き施策中心のECでしょうか。
(ここまでくるとエブリデイロープライスと大差無い…。)
通期決算でも書かれていましたが、クリック&トライやOMO店舗が影響して在庫が増えやすなっている事も要因でしょうか。昨年の春夏は実はECがどこもめっちゃ好調だった為に昨対超えるのも大変だったんではないかと。そんなところに在庫消化が進んでいなければ、セールで捌くのは当然と言えば当然ですね。
そんな訳で在庫を前年同期で見てみますと何と50億円くらい増えているようなのです。売上50億円しか伸びていないのに…。また、そんな売り方をしていたら粗利も減るので、昨年と比較して粗利率がやや下がっていますね。(56.5%→55.3%)食品関連のスーパーやっていたりと、在庫は服だけでは無い点と、キャッシュフローはほぼ横ばいの状況ではありますが。
ECはそもそも消化率低いですし、大手アパレルはECで余った在庫はアウトレットに持っていく、という流れがあったのですが、それだけでは捌けない状況なんでしょうか。今年度も9月から早速暑すぎる日が続いておりまして、秋冬物が昨年同様不調に終わると更に在庫が増えそうですがどうなんでしょうか。このあたりはまた通期で確認したいと思います。
直近の大きな話題としてはやはりWEGOを完全子会社化した事でしょうか。狙いはよくわかりませんが、これにより連結での売上予想が出ておりまして通期は年商2000億円を超える見込みになっております。
決算書に記載がある通りWEGOとオンワードの顧客層が補完関係にあるのはわかるのですが、シナジーとは…?オンワードの社長もメディアの記事で、
「ウィゴーの顧客はオンワードグループの次世代の顧客になり得る」
と言われているのですが。WEGO買っている人が将来的に23区とか五大陸買うって事…?いやまぁ可能性は0では無いんでしょうけど。これはまさにゆりかごから墓場まで戦略なのか…。(錯乱)
真面目に考えますと今後、自社ECモールの売上を潤沢に伸ばしていこうとするなら、他社商品の取り扱いを増やす可能性が高いんでしょう。その際、会員の年齢層の幅があると取り扱い商材に幅があっても売上取りやすいんじゃないかと。と、雑に思ったりはしますね。
オンワードの上期決算を確認してみましたが、まとめますと売上・利益は出ているし好調はキープ。昨年通期からクリック&トライ対象店舗とOMO店舗は増え続けており、それが要因か在庫はかなり増えやすくなっている。ECは値引き施策偏重はあまり変わっておらず、月次では常に昨対超えしているが粗利率はやや低下。新しいブランドの開発には余念は無いがアンフィーロ以外のヒットはやや見えない様子。という感じでしょうか。ネガティブな要素はありますが、市場では鈍化しつつあるEC売上を昨年から伸ばしてきているのは凄いですね。この下期については9月が昨年よりややマシな状況かなぁ?と各社見ていて思ったりもするのですが(MDの改善や真夏日の日数の問題)、次週以降他の企業も確認してみたいと思います。現場からは以上です。
株式会社StylePicks CEO。ECサイト構築・運用・コンサルティング、リテールのソリューション事業を中心に活動。並行してファッション専門学校の講師も務める。Twitter(@fukaji38)
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