メールマガジンを登録していただくと、セミナー・イベント開催のお知らせやブログの更新通知をお届けします
アパレルECに限らず、WEB広告の効果検証はEC担当者の永遠のテーマだと思いますが、
「その広告出さなくても売れたんじゃね?」
という疑問が常に付きまとうなぁと感じています。出稿しなくても買ったであろう既存顧客向けに広告が表示されると広告効果は上がりやすく、ROASを良くしたいというだけなら意外と簡単にできてしまいます。検索広告の比重と経由売上が増加、ROASは改善したもののオーガニックの検索経由のスコアが大きく減少して、トータルでもトップラインは伸びていない、なんて事態も数件見た事があります。
このような状況から、WEB広告はとにかく新規向けに出稿するという方針のブランドもちらほらありまして、それはとても納得できる方針ではあるのですが、こちらの効果検証はややハードルが上がります。ド新規に向けての広告は当然ながら費用対効果が下がりやすく、「購買」だけで検証するとWEB広告自体をストップしてしまいかねません。アトリビューションで効果検証するのも一つの手なのですが、GA4の広告レポートは「起点」を無くしてしまったのでコンバージョンの起点となったチャネルがわかりにくくなりました。(広告側のレポートも間接効果を出してくれるのですが起点がわからないので。)
そこで今回は、新規獲得に貢献したと思われる流入元の起点をより細かく確認したい場合の方法について記載しておきたいと思います。
予め、GA4でuser_idを取得する設定が必要です。(詳細は割愛します。)そのデータをBigQueryにエクスポートし、
・event_date
・user_pseudo_id
・user_id
・セッションの参照元メディア(session_traffic_source_last_click.cross_channel_campaign.source・
session_traffic_source_last_click.cross_channel_campaign.medium)
ごとにga_session_numberと購入(purchase)・収益(ecommerce.purchase_revenue)を抽出したデータを作成します。これを出すだけでそこそこ貢献度を測る事が可能です。
まずは参照元別で初回購入者が増えているかどうか?ですね。この場合、WEB広告の参照元メディアのみを抽出。user_idは基幹やカートのデータから初回購入者のリストを作成しておき、そのデータと突合すれば時系列で広告が初回購入にどれだけ貢献したか?がわかります。(同時に販売されたアイテムのデータを含めるとより詳細な状況がわかります。)
ECサイトオープン時のデータがBigQueryにたまっているなら、purchaseが発生したMIN(event_date)で初回購入は出せますが、そうでない場合は初回購入のデータだけ別で用意する必要があるでしょう。
これ、Shopifyならストア分析で簡単に抽出できますが、
(こんな設定方法)
Shopifyはラストクリックをきれいに取得してくるので、「広告→離脱→検索→購入」みたいなデータは取得できません。また、Google広告の自動タグはそもそも検出しません。(この仕様、いい加減何とかしてくれまんせんか…。)今回、準備しているデータはga_session_numberごとにデータを抽出していますので、購入がなくともセッションが発生した段階でタイムスタンプごとにデータに反映されます。
そんな訳で、ga_session_numberを取得した事で何回目の訪問で購入に至ったか?がわかります。過去からのデータがずっと取れているのでしたら、初回流入からどの程度の期間で購入に至ったか?もわかりますね。
例えば広告でfirst_visitのユーザーが、その後どのくらいの期間で、何回目の訪問で購入したか?が追えますし、何でしたらその際に広告を使わなかったとしてもuser_pseudo_idを追う事で確認が可能です。
注意点としましては、デバイスが変わったり、SNSのアプリ内ブラウザが開かれた場合は別ユーザーとしてカウントされますし、safariユーザーもCookieが削除された段階で別ユーザーになります。なので、一応user_idを並列させておき、ログインがあれば追えるようにしておくという感じです。(この場合、user_idが同一でもuser_pseudo_idが違う、というデータになりますし、ga_session_numberもそれぞれで違う値になります。)
とまあ、大体はこのような感じで検証することが可能です。まとめますと、下記のような内容ですね。
◯参照元別で初回購入がどの程度あったか?を確認
◯初回流入からどの程度検討期間と訪問回数があったか?を確認
◯初回流入の促進から購買へ至った割合を確認
◯同一ユーザーがどのチャネルを使って購買に至ったか?を確認
◯これらを踏まえてどの参照元が新規獲得に最も貢献したか?を確認
utmパラメータが付いていればGoogle広告だけでなく、他の広告の効果検証も合わせてできるのでどのチャネルが新規獲得に貢献したか?は追いやすいかと思います。とは言え、アパレルECはWEB広告だけで新規獲得が大いに促進できるようなものでもないと思いますので、合わせてリアル施策を強化しつつ、それがWEB広告にポジティブに働いたか?を確認するのが良いでしょう。
ECサイト構築・運用・コンサルティング、リテールのソリューション事業を中心に活動。並行してファッション専門学校の講師も務める。Twitter(@fukaji38)株式会社StylePicks
小売ビジネスに関するMD(品揃え政策)アドバイス・サポートを
ご希望の方はお気軽にお問い合わせください。