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猛暑が続く現代、アパレルが陥る「夏物延命」の落とし穴

★夏に着られる商品の販売期間の延長は是か非か?

梅雨にもかかわらず雨が少なく、猛暑が続いております。6月中旬からこの状況ですので、この暑さがいつまで続くのか懸念されますね。昨年も10月まで夏の気温が続いたことを考えると、特にそう感じます。このような状況下、アパレル小売業界では、長引く夏に対応するため、夏物の販売期間を延長したり、秋冬物の投入を遅らせたりするなどの対策をとるところが増えています。しかし、マスコミ各社で報じられているように、こうした施策が本当にうまくいっているのかというと疑問が残ります。
たしかに、夏物商品の販売期間を伸ばすことで、7月や8月の売上は伸びるかもしれません。しかし、夏のセール前後(最近は、6月末ではなく7月中旬に開催時期をずらしている商業施設も増えているようですが)に投入された夏物の新商品は、9月や10月には商業施設で目立ったセールが実施されない為、在庫消化を促進する機会が少なくなります。そのため、結果としてこれまで以上に多くの在庫を抱えてしまうリスクがあり、実際にそのような結果となった組織が多いのではないか?と推測しています。

★夏に着られる商品は、意外に9月以降は売れない?

例えば、弊社のMD支援で、過去5年間で蓄積したメンズカジュアルの半袖Tシャツの売上推移を検証してみると、過去数年の猛暑の傾向を踏まえても、8月までは大きな売上を確保できますが、9月に入ると売上は半減以下になり、10月以降はごくわずかになってしまうのが現状です。(下記のグラフはイメージです)
次に、同じく夏物商品であるメンズ半袖シャツの場合ですが、こちらは8月から売上が大幅に落ち込み、9月以降はほとんど需要がなくなります。しかも、半袖Tシャツとは違い売上のピークの期間も短くなっています。(下記のグラフはイメージです)

★商品の販売終了日の設定を明確に

夏が長くなり、前述したアイテムの販売期間が伸びる傾向にあるのは確かです。しかし、たとえ9月が暑いと言えども、7月や8月に売れていた商品の売上が大幅に下がるのが実情です。さらに、夏に着られる商品でもアイテムによって、いわゆる「賞味期限」が大きく異なります。夏が長引いたからといって、7月や8月に夏物新商品を多く展開しても、その多くが短期間で需要を終えるということを認識しておく必要があるでしょう。より重要なのは、7月以降に投入する夏物新商品ごとに販売終了日を定めることです。これにより、アイテムごとの売上・仕入予算が明確になり、シーズン中に在庫消化日数と販売終了日を照合しながらチェックすることで、早期に在庫消化の対策を講じることが可能になります。
また、気候変動が続く中で、お客様に対して「適品」「適時」「適量」を実現するためには、「適品」「適時」での商品分類を具体化し、それによって得られる購買データの精度を高め、効果的な商品分析を行うことが不可欠です。そして、その分析結果から仮説を立て、効果的な商品計画を策定していく必要があります。

アパレルMDにおける「適時」分類の重要性

カテゴリー選定はMDにおける重要な部分


ここ数年続く気候変動によって商品の売れ方が変化しているのは紛れもない事実です。しかし、各マスコミの報道に惑わされるのではなく、繰り返しになりますが、自身のショップやブランドのデータを正しく分析・検証し、仮説を立て、お客様にとって効果的な商品計画を策定・実践することこそが、この変わりゆく気候変動に対応するためにマーチャンダイザーが取るべき行動です。ということで、今回の記事は終了です。今回の記事が皆様方のお役に立てれば幸いです。
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