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先日、10月18日から開催される「Fashion Reducation MD講義~基礎理解編~」について、記事を掲載しました。
私が担当しているMD講義では、在庫管理は原価管理で行うことを前提に教えています。ですが、MDアドバイザーとして10年以上活動してきた実感として、在庫を売価管理で行っている組織はまだまだ多いのが現状です。先日もアパレル業界の誰もが知るような大手小売企業が、在庫を売価管理で行っていると知り、驚きを隠せませんでした。私が個人的に感じる、在庫を売価管理することの主な弊害を以下まとめました。
・管理が複雑になる: 特に、売価変更や値引きの処理が煩雑になり、数字の羅列に圧倒されがちです。
・個別管理の必要性: 売上、粗利、在庫(仕入)といった要素を、それぞれ個別に管理する可能性が高くなります。
・不正のリスク: 意図的な不正や誤魔化しが発生する可能性があります。
・二重管理による無駄: 経営管理部門が原価で管理している場合、MD事業部との間で二重管理が生じ、業務の無駄が増えてしまいます。
これらの他にも様々な弊害がありますが、代表的なのは上記の点です。
それでは、具体的な例を挙げて、在庫を売価管理することの難しさを考えてみましょう。
(例題)
・値入率65%の組織(仕入原価率35%)
・7月の売上が1000万円。8月が500万円
・7月の粗利率が50%。8月の粗利率40%
・7月の期首在庫原価は1000万円
上記のような組織があったとします。このような組織があったと仮定して、上記の例をOTB(Open to Buy)表にまとめると、以下のようになります。

在庫を原価管理すれば、上記の表のように数字がシンプルになります。また、在庫過多で在庫を減らしたいときは、粗利率を下げて(つまり、OFF施策を強化して)売上原価を増やすことで、期末在庫目標とOFF施策目標を一連の流れで簡単に示すことができます。*以下の図は、期末在庫を上記の200万から100万の目標に変えた場合の粗利率とOFF率目標

これまでの説明の通り、在庫を原価管理にすると、売上、粗利、仕入、在庫を一貫して捉え、目標設定することが可能です。
それでは、このケースを売価管理で考えた場合、どうなるでしょうか?まず、期首在庫について見ていきましょう。この例での期首在庫原価は1,000万円ですが、これを元売価に換算すると約2,857万円になります。ただし、既に売価変更されている商品もあるため、実際の売価在庫はこれよりも少ないと考えるのが自然です(この辺は在庫管理システムでなんとか対応してくれるでしょう)。
続いて、商品の値引きやOFF施策について見ていきましょう。商品の売価を変更した場合、当然ながら在庫金額も変更しなければなりません。これは、在庫過多の際に値下げによって在庫金額を減らせる、という売価管理ならではの特徴です。このことを悪用すれば、在庫金額を少なく見せかけることもできる可能性があります。
一方で、クーポンやポイントによる値引きは全く異なる問題を引き起こします。これらは商品本体の売価を変更しないため、在庫金額を修正する必要がありません。しかし、在庫を元の売価で管理している場合、在庫金額に影響しないこうした施策が乱用されると、実態とは異なる「プロパー消化率」が算出されるといった不正行為が蔓延するリスクがあります。加えて、MDの管理帳票に値引き項目を増やす必要があるだけでなく、売上・粗利・在庫を一貫して把握することが困難になるため、MD部門の業務負担が増大する要因となり、MDの管理帳票を使った主体的な管理が難しくなります(というよりので出来ないと考えた方がいい)。
ここまで、在庫を売価管理で行うことの弊害をお伝えしてきましたが、今後、体系的な在庫(仕入)管理への移行を検討されている組織や、この分野を学びたいとお考えの皆様は、ぜひ10月18日から開催される「Fashion Reducation MD講義~基礎理解編~」にお申し込みください。ご興味のある方は、以下のリンクから詳細をご確認いただけます。
https://style-picks.com/collections/fashion-reducation-short/products/md_lecture?fbclid=IwVERDUAMsMlJleHRuA2FlbQIxMQABHmq-MfixliyMkjaIYtP7g3o0f7XCovg30MF0YAkaC5R48h5Cnp6WR1zvADgD_aem_RHLKTCc5bNFmssVIU7GQpg

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