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ここ最近、ECで衣料品を購入する機会が増え、その際によく利用しているのが、地方発のセレクトショップです。特に、私が愛用している地方発のセレクトショップは、取り扱いブランドの数が非常に多く、実店舗では見つけにくい商品も豊富に取り扱っているため、非常に便利で重宝しています。
さて、ここで視点を変え、EC運営側の利点について触れたいと思います。自社でECを運営する場合、販管費(販売費及び一般管理費)を低く抑えられるケースが多いという点が挙げられます。また、ECの大きな利点として、地方発の企業や組織であっても、物理的な制約がなく、日本全国など広い地域の顧客にリーチできるという点も挙げられます。しかし、セレクト業態として、多くの商品を品揃えするには、ある程度の規模の売上が求められます。特に事業立ち上げ当初から大きな売上が見込めない場合は、必然的に多品種少量の品揃えとなるでしょう。この多品種少量の品揃えには、在庫回転率が高い数字になりやすいというメリットがあります。これをMDの視点から考えると、商品の販売期間を短く設定し、商品を積極的に入れ替えていく戦略となりますが、その一方で、ディレクターやバイヤー、MDには非常に高い目利き力が求められます。(以下は参考記事になります。興味のある方はぜひご覧ください)
これまではEC運営のメリットを中心に述べてきましたが、ここからは逆にデメリットについて考えてみます。EC運営におけるデメリットとして特に挙げられる点は、広告宣伝費率が実店舗よりも高くなりやすいことです。これは、ECにおける広告の多様性や、広告が売上に直結しやすいという構造によるものですが、結果として売上以上に広告宣伝費を使ってしまい、実は赤字運営になっていたというケースも少なからず存在するようです。

さらに、EC運営が抱える別のデメリットとして、クーポンなどの値引施策の乱発により、必要以上の粗利を喪失している可能性が高いという点が挙げられます(クーポン等値引き分を販管費計上している組織もありますが、今回はその話はいたしません)。特に、前述した多品種少量の品揃えを特徴とするセレクト業態の場合、高い値入率が望めないため、必然的に求められる売上目標(予算)のハードルが高くなります。このような状況下で多くの値引施策を乱発してしまうと、粗利率の低下による達成すべき売上高のハードルが一層上がることになり、収益を圧迫するリスクに注意しなければなりません。これらの問題点は、2月よりスタートの「EC×MD講義」で詳しくお話できればと存じます。
話を戻し、自社ECで多品種少量の品揃えを行っているセレクト業態に焦点を当てます。この業態においては、特に値引施策を実施する際に、最終的にどの程度の粗利が確保できるのかという点に、細心の注意を払う必要があります。前述の通り、多品種少量の品揃えを行うセレクト業態では、高い値入率は望めません。低いOFF率を設定したとしても、想像以上に低い粗利率になってしまうのです。
例えば、掛率55%(仕入原価率55%・値入率45%)の商品が30%OFFで売れた場合、粗利率は21.4%まで下がります。セールの際よく見かける40%OFFで売れた場合には、粗利率は8.3%まで落ち込んでしまいます。つまり、売れない商品を計画性なしにセールで販売すると、場合によってはほとんど粗利を獲得できないという事態になりかねません。
先に述べたような粗利が圧迫される状況に陥らないためには、前提として、やはり商品に対する高い目利き力が求められます。しかし、目利き力や感覚・感性だけで商品の消化率を上げていくことには限界があります。そのため、その他に必要な施策を計画的に実行しなければなりません。
・データ基盤の強化と活用: 商品分類を具体的に定義し、購買データの信頼性(信憑性)と分析精度を向上させ、先のバイイング活用していく。
・MD予算策定の精度向上: MD予算の策定と実践における精度を向上させる(以下の記事を参照ください)
・商品計画の役割分担: 売上や粗利を確実に稼ぐ主力商品とショップイメージを構築する為に必要な見せ筋商品を明確に分け、商品計画にメリハリをつける。
さらに、商品の旬(適時)を意識して、動きの鈍い商品は早めにセールにかける(早めにセールしておけば、少ないOFFで済む可能性が高まる)など、これら以外にも実行すべきことはありますが、まずは上記のような施策を重点的に取り組むことで、多品種少量の品揃えのセレクト業態の収益性改善につながるでしょう。
さらに重要な点として、在庫管理の観点から注意が必要です。特に、仕入れるブランドによっては、ブランド側からセールを厳しく禁止されている季節商品も存在します。このような商品の在庫管理が杜撰だと、売れ残りがデッドストックとなり、在庫があっという間に増加してしまう事態になりかねません。このようなリスクを回避するためにも、仕入予算の組み立て段階から、ブランドとの契約条件(セール可否)を考慮し、より一層の工夫と慎重さが求められます。今回の記事は以上で終了です。次回もよろしくお願い致します。
2月21日よりFashion Re:ducationによる新たな講義「EC×MD講義」をスタートします(90分×6回)。今回の記事をご覧になって、講義に興味を持ってくださった方は、是非下記のリンクよりご確認お願い致しますm(__)m
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【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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