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納期が不安定なブランドへの発注で、失敗しないための注意点とは?

★難易度が高いセレクトショップのMD改善

マーチャンダイジング(以下MD)アドバイザーとして会社を設立して12年、これまで多くの企業や組織の皆様と仕事をさせて頂きました。MD支援の現場では、お客様ごとに抱える課題が異なり、それぞれに特有の難しさがあります。中でも特に難易度が高いと感じるのが、多ブランドを展開するセレクトショップの支援です。その主な理由として、以下の点が挙げられます。

・管理の複雑さ:多数のブランドを扱うため、取引条件の違いなどから数値管理が極めて複雑になる。
・長いリードタイム(以下LT):展示会から店頭入荷までの期間が長く、先を見通した計画が求められる。
・粗利益確保の難しさ:値入率が厳しいケースが多く、安易なセールによる消化が許されない。
・納期の不安定さ:納期遅延が常態化しているケースもあり、数ヶ月単位で前後することもある。

もちろん他にも多岐にわたる課題はありますが、現場で直面するセレクトショップ特有の難しさは、まさにこうした点に集約されると感じています。

★納期が不安定なブランド・メーカーは、MDにとって厄介極まりない

セレクトショップが扱うブランドは、値入率などの取引条件、LTの長短、あるいはメーカー側の在庫の有無など、ブランドやメーカーごとに特性が大きく異なります。その多様な管理項目の中でも、MDの視点から特に「厄介」だと感じるのが、上述した「納期の不安定なブランド・メーカー」の存在です。しかし、納期の不安定さというリスクを抱えていながら、なぜそのようなブランド・メーカーの商品をバイイングするのでしょうか。その理由はシンプルです。それらがお客様にとって「魅力的な商品」であり、同時にMDにとっても「売上が期待できる商品」だからに他なりません。しかしながら、MDの観点に立てば、納期が安定しないことによる弊害は極めて大きいと言わざるを得ません。特に納期遅延は、①売上機会の損失、そして②在庫増加のリスク増大という2点において、決して見過ごすことのできない重大な問題なのです。
マーチャンダイザーは基本的に、まず商品の販売期間を設定し、それに基づいた予算を策定して商品を発注します。例えば、ある商品の販売期間を「2ヶ月」と設定した場合、当然ながらその2ヶ月間で売り切るための数量を発注します。しかし、ここで納期が1ヶ月遅延してしまうと、本来得られるはずだった1ヶ月分の「売上機会」を損失するだけでなく、販売期間が半分に短縮されることで、消化しきれなかった分がそのまま「残在庫」となってしまいます。つまり、商品の納期遅れは単なる「売上の損失」に留まりません。売上の損失と同時に、在庫の積み上がりによる「キャッシュの減少(資金繰りの悪化)」を引き起こし、組織に二重の損害をもたらす深刻な事態なのです。

★納期が不安定なブランド・メーカー対策とは?

それでは、こうした「納期の不安定なブランド・メーカー」に対し、MDやバイヤーはどのような対策を講じるべきでしょうか。まず行うべきは、仕入れ先の担当者に対し、「納期遅延のリスクを含め、最悪でもいつまでに入荷するのか」という確認を徹底することです。曖昧な回答で済ませず、繰り返し問いかけて確実な回答を引き出す姿勢が求められます(それでも中には、適当な解答する営業もいるので、注意が必要)。また、展示会などで納期が「8月中旬〜10月中旬」と幅を持たせて提示されるケースもあります。その場合、MDやバイヤーは「商品は最終期限である10月に入荷する」と最悪のケースを想定した上で、発注の是非や仕入数量を判断しなければなりません。なぜなら、気温に左右されやすいアパレル小売業において、8月中旬に売れる商品と10月中旬に売れる商品とでは、その性質も需要も全く異なるからです。逆を言えば、あらかじめ納期遅延を織り込み、「遅れて入荷すること」を前提とした商品展開計画さえ組めていれば、実質的なリスクは排除できます。納期が不安定なブランドを扱うのであれば、その不安定さすらも計算に入れたMDの組み立てこそが、最大の防御策となるのです。

さらに付け加えるならば、仮に納期が予定より早まった場合の対応も重要です。その際は、現場の在庫状況や気温などを冷静に見極め、、「前倒しで展開して早期消化を図るのか」、あるいは「当初の計画を維持し、最適なタイミングまで投入を待つのか」を柔軟に判断するのが理想的と言えるでしょう。

★想定外にも動じない事前準備が重要

MDの立場から率直に申し上げれば、納期の安定しないブランドやメーカーほど「厄介な存在」はありません。しかし、そうした組織こそが、お客様を惹きつける魅力的な商品を生み出しているという側面があるのもまた事実です。だからこそMDには、事前に取引先の特徴を深く洞察・分析した上で、想定外の事態にも動じない「硬軟織り交ぜた柔軟な対応力」が求められます。リスクを排除するだけでなく、その不確実性さえもコントロール下に置くこと。それこそが、多角的なブランド展開を行うセレクトショップMDの真髄と言えるでしょう。今回の記事はこれにて終了です。次回もよろしくお願いいたします。

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