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なぜEC施策は今年度成果を出せなかったのか

大手アパレル各社は2月決算の企業が多く、まもなく年度末を迎えます。振り返ると、この春夏はスタート時からネガティブな要素が多く、上期は業績が振るわなかったブランドが目立ちました。

秋冬は早い段階で気温が下がったことで一時的に好調に推移したものの、その後は気温が下がり切らず、12月は失速。結果として「通年で見ると苦戦した一年だった」という印象を持つ企業が多いのではないでしょうか。(もちろん、秋冬を通して好調だったブランドも存在します。)

筆者が生業とするECの領域でも、さまざまな対策は講じられていましたが、大きな成果に繋がらなかったケースが多く、非常に難しい一年でした。そこで改めて、「ECの役割」と「アパレル企業が優先すべきこと」について整理しておきたいと思います。

■効果が感じられなかった施策

年末に下記の記事を書きました。

ECノウハウが社内に蓄積しないわけ 自社の強み伝えられる仕組みを

その中で、

ヒット商品が存在しなければ広告最適化をいくら進めても成果は伸びず、値上げや気温変動など外部環境の変化があればCRMや施策では補い切れません。

と記載しました。

まさに今年度は、この状況が各社で発生していました。

◯値上げと気温変動が直撃した春夏

上期、多くの企業で起こっていたのが、価格改定(値上げ)による客数の減少ですね。一昨年頃から値上げは進んでいましたが、今年はさらにその影響が強く出ました。筆者のクライアント企業でも客数は如実に減少し、販売点数も減り、リピート率も悪化しました。

さらに4月は気温が上がらず春物が動かない時期があり、6月もセール前に失速するブランドが散見されました。

MD視点でみる決算資料~三陽商会編~

https://note.com/apparel_note/n/ned342a5c4843

(マサさんの記事にもそのあたりについてわかりやすく記載があります。)

その前の年度にロイヤルティプログラムを導入・刷新した企業も多く、昨対で効果を検証するものの、数字は総じて落ち込む結果に。(EC事業者はこぞってロイヤルティプログラム・CRMの重要性を語っていましたね。)日々の売上対策としてはWEB広告一辺倒ですが、その効果も以前ほど発揮されない状況でした。

■好調なブランドは何が違ったのか

一方で、好調だったブランドも存在します。

それらに共通していたのは非常にシンプルで、「商品力」と「価格とのバランス」でした。値上げした他社商品と比較して、モノと価格のバランスが良く見え、この秋冬はアウターが大きく動いたブランドもあります。

高気温で冬物売れず、ユニクロ6.6%減 国内アパレル関連大手2025年12月度

市況としては上記の記事の通り、暖冬で重衣料が苦戦。そんな中それをものともせずアウターでヒット商品を作る事に成功。このような形で、売れるブランドはしっかり売上を確保し、その結果、リピート率・リピーター売上・新規獲得数のすべてが上向いていました。

結局、ECが重要視されているようなマーケティング施策は、ブランド力・商品力・緻密なMD設計がある前提のお話であり、それらが担保されていなければ市況を覆す力などないという証左でしょう。

■EC施策が機能する“前提条件”

上記からもわかる通り、EC側の施策だけで業績を押し上げることは不可能です。WEB広告は確かに効率的な販売促進手法ですが、日々の卸営業、店舗運営、PR活動などが伴っていなければ効果は限定的になります。

顧客育成も重要ですが、顧客が欲しいと思える商品がなければ意味を成しません。購入後の特典・サービスを充実させるだけでは売上は伸びないのです。

■ECの本来の役割とは

ECの打ち手が無意味というわけではありません。しかし、我々の仕事は「売れるものを、もっと売れるようにすること」であり、「売れないものを売れるようにすること」ではありません。売れる商品の数を増やすことも、在庫を確保することもECの役割ではないのです。

ECが重要な販路であることは間違いありませんが、前提を見誤らず、MD設計と連動させて施策を組み立てること。その重要性を改めて強く感じた年度末となりました。

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