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私が現在の会社を立ち上げて10年以上が経過しました。最初の2年半は仕事内容が定まらず、ほぼ鳴かず飛ばずの状態でしたが、MD(特に数字面の仕事)に絞ってから少しずつ仕事が入るようになり、この5年で多くの企業様と仕事をする機会に恵まれました。海外企業や一部上場企業、そしてアパレル以外の小売業や小規模なセレクトショップ、EC専業ブランドなど、様々な業態の企業様との仕事を通じて、多くのことを学ばせていただきました。このような経験を通じて、アパレル小売業の大規模組織と中小規模組織では、それぞれ全く異なる特徴があることを実感しました。以下にその所感をまとめます
○大規模組織
(強み)
・本部・現場(店頭・EC)等の業務分掌・役割分担が明確である。
・MD・商品管理等の仕組みも整っている。
・現場(店頭・EC)の担当者は真面目であり、特に本部の指示はしっかりと守る傾向がある。
(弱み)
・本部と現場の距離が開きがちである。
○中小規模組織
(強み)
・本部と現場の距離が近く、バイヤーが店長を兼任するケースもある。
・店長の裁量で店頭をコントロールしやすく、状況に応じた店舗づくりがしやすい。
(弱み)
・仕事の役割分担が曖昧で、MDの仕事はオーナーが兼任する場合もある。
・現状を数字で可視化できないため、データ分析ができず、感覚的な判断に頼ることが多い。
・商品管理等の仕組みが整っていない(管理会計の概念がない)。
細かな相違点は多々ありますが、組織規模を問わず共通して感じていることがあります。それは、現代の販売現場に携わる方々は、私が販売員であった25年以上前に比べ、あらゆる面で非常に「真面目」であるという点です。
私がアパレル小売の販売員や店長をしていた頃は、まだ緩い時代だったこともあり、私を含めて本部の指示を守らない店長が多くいました(そのような組織だったと言われればそれまでですが)。しかし、この仕事を始めて関わったアパレル小売の大規模組織の販売職の方々の印象は、「とにかく真面目である!」ということでした。仕事に対する姿勢が真面目であることに異論はありません。しかしながら、その真面目さが災いしてか、本部の指示が間違っていたとしても、本部の指示は頑なに守るという点が特に気になりました。大規模組織では、基本的に店舗オペレーションがしっかりしており、店舗の業務が標準化されています。また、勤務歴1~2年の若い店長が多いこともあり、しっかりとした店舗オペレーションないと、販売現場がブラック化し、販売員が疲弊してしまうため、これは必要不可欠なことです。ですが、このようなことを述べると、アパレル小売の本部の方々に怒られてしまうかもしれませんが、「本部やMDの指示を頑なに守ることは、本当に良いことなのか?」という疑問を抱いてしまいます。
例えば、売上が好調でも、事業部全体の客数が下がり始めたときは、その事業部のMDは危機感を抱くべきですが、ほとんどのMDが危機を認識していません。そのようなときこそ、日ごろから本部の指示に疑念を感じているショップの店長は声を上げるタイミングであるといえます。仮に事業部全体の売上は良いけれど、客数が低下している状況の中で、ショップの店長がMD等に声を上げる場合、以下の点を意識すると良いでしょう。
・売上が好調で、客数が伸びている店(自身の店で良い)の視点で話をする。→自身の店の客数が低下している場合は、他店で客数を伸ばしている店を分析する
・ピックアップした店の商品の売上上位10~20品番と事業部全体の上位10~20品番の違いやズレを見る。
・上記2点が全く違えば、むしろ自身がピックアップした店が行っていることが正しいという仮説を立てる。
上記のようになっている場合は、本部が中心となって行っていた施策よりも、ピックアップした店が行っているVMD等の施策が正しいと考えられますので、その場合、MDを含めた本部は、その店の情報を掴んだ上で、他の店舗にも情報を共有し、更に自分たちの行った仕事のミスを認め、具体的な修正案を店舗に情報として流さなければなりません。
話を元に戻します。アパレル小売業で仕事に従事されている方々の仕事の目的は、本部の仕事であろうと現場の仕事であろうと、「(できるだけ多くの)お客様を獲得すること。そして、できるだけのお客様に喜んでもらうこと。」ということは同じはずです。
基本的に、本部の人が店頭に出す指示は、このことが起点となっていなければいけません。また、本部(MD等)は商品の売上に対するインパクトや過去の月・週単位のお客様動向を分析した上で、組織全体にとってより間違いがないであろう指示を出しています。ですが、人間が行うことですから、当然間違った指示も出します。結局のところ、本部の指示というものは、仕事の目的を叶える可能性が高い手段の一つにすぎません。しかしながら、冒頭で述べたように、アパレル小売の大きい組織の販売の仕事に従事されている方々の多くは、きちんと本部からの指示を守る真面目な方々が多いですし、そう簡単に本部の指示を無視することは難しいであろうと考えられます。ですから、MDはショップスタッフ(特に店長)とのコミュニケーションを怠ってはいけませんし、特に大きい組織の場合はSVと密接に連携すべきです。
基本、MDを含む本部仕事の方々は土日休みの方が多いことでしょう。ですが、昔ほどではないにしても、まだまだ土日に売上が集中する店が多いのも事実です。MDが平日に会議や打ち合わせが多く、更に商品に関することの決断をしなければならないこと等、普段の業務が多い為、土日休みになってしまうのは理解はできます。ですが、私の独断と偏見で思う、本当に仕事ができる良いマーチャンダイザーは商品や数字の分析だけでなく、販売の現場に足を運ぶことを怠らない人です。このようなことが、本部と現場の距離を縮めることにも繋がりますし、現場からの信頼も得られるはずです。そして、本部の仕事も販売の仕事も、本来の仕事の目的は同じである!ということを、相互理解・共有することが大事です。
この記事をご覧になっているMDの皆様方が、普段の仕事が忙しい!というのは、重々承知はしておりますが、休みを削って店頭に足を運べ!というのではなく、自らの仕事を上手にマネジメントして頂き、週1とは言わずとも土日のどちらかに店に足を運んで頂き、販売の仕事に従事されている方々やお客様から直に色んなことを感じてほしいと願っています。この度は、記事を読んで頂きありがとうございます。次回もよろしくお願いいたします。
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【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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