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初めまして“働くMAME”です。今月から1年ほどMSMDでブログを書かせてもらうことになりました。アパレルでの経験や現職の転職エージェント目線で情報発信していきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いします。
さて、今回は先日twitterで投稿した「アパレル本部職がオリジナルを着ていない」ことについて詳しく書いていこうと思います。
アパレル本部職は自社オリジナルを全然着ないよね。特にメンズセレクトにその傾向が強い。
着たくなくても着てる現場から反感を買う…ってこと以上に、ブランドを愛して着て売ってくれる層の流出につながってしまう。着た方が良くない?
— 働くMAME (@hatarakuMAME) April 19, 2020
小さなことのようですが、事業に与えるインパクトは意外と大きいので、職種に関係なく参考にしてもらればと思います。
アパレル本部職は全然オリジナル着てないです。特にメンズセレクトにその傾向が強いです。パターンとしては以下2つがあります。※レディースブランドで働く男性社員などは除く。
・オリジナルは着ていないが、自社仕入れ品やインポート品を着用している。
・仕入れ品どころか、自社と全く関係ない商材を着用している。
前者はあるあるですね。社割でインポート買えるし、わざわざマス向けに作られたオリジナル着るのダサいみたいなマインドでしょうか。一方で、意外と多いのが後者です。古着や好きな他社商品で全身を固めています。残念ながら誰でも知っているような大手セレクトでもこうした状況が多く見受けられます。
当然、反感を買います。口には出さないと思いますが、着たくなくても着用義務がある人からすれば納得感はないでしょう。これだけならまだいいのですが、危険なのは“ブランド愛があって、着て売ってくれる人”の離脱を促進してしまうということです。仕事柄、販売の人達から色々お話を聞いてきましたが、優秀な人ほど以下のような内容が転職理由となっています。
・ブランドにプライドを持っている人がいない。
・尊敬できる(本部職含む)上司がいない。
・本部と現場の連携、一体感がない。
上記3つの理由には多かれ少なかれ同じような背景があります。深掘りすると、いわゆる“上の人”から自社商品やブランドへの愛、組織を良くしたいという気概が感じられない。という結論に帰結します。この人達からしてみれば自分はブランドに魅力を感じて仕事をしているのに、モノ作りや管理に関わっている上司がそれを体現していないことに違和感がある…というよりシラけるんです。こうした方は実力やポテンシャルがあるにも関わらず、遅かれ早かれ組織から離脱することになります。
給料が減ります。というか本来手元に来るべき収入が消えるといった方が正しいでしょうか。上記のように実力、ポテンシャル高い人材がいなくなるので、その分の売上が減る…、というのもあるのですが見落としがちなのが、採用コストです。
欠員が出た場合、具体的には以下のような採用コストがかかります。
・求人広告費:月間60万(2社利用)
・エージェントで1名採用成功した場合の手数料:60〜100万円 ※経験により変動
・採用業務が多いため増員した人事1名あたりの人件費:550万
例えば、300名規模の企業で年間の退職率が15%(少なく見積もって)と仮定した場合、欠員補充するためにかかる採用コストは、下手すると年間3000万を超えてしまう可能性があります。単純計算で3000万円÷300人で10万円、これって大きくないですか?
一方、自社サイトからコストをかけず採用する手もありますが、残念ながら一般的なアパレル企業が望んでいるレベルの経験者を採用できるケースは非常に稀です。仮に、「未経験でも誠意を持って育てる覚悟」があるなら、私は食いっぱぐれるかもしれませんが個人のキャリアのためにもやってほしいです。ただし、育成を店長や現場任せにとすると、その分負担は大きくなるので、離職率はさらに高くなります。
逆を言えば、オリジナルをきちんと着用するだけでも上記コストを削減できる可能性はぐっと高まります。実際に本部の人がオリジナルを着用している企業は離職率が低いですし、現場の方のモチベーションなど、間接的に売上につながる効果もあると思います。
一方で、現場や顧客に会わない職種だから私は良いかな…、という人もいると思いますが、シンプルに徳が低いと思います。誰も見ていなければOKなのでしょうか。
本部の近い人間関係で商品に対するフィードバックができる環境は顧客にとってもメリットがあると思います。職種の垣根を超え、組織の一体感を持つことで現場からも顧客からも愛されるブランドになっていくといいですね。
アパレル専門転職エージェントにてキャリアコンサルタント/ドラムンベースDJ。セレクト業態にて店長、バイヤーを経て、現職に。世を忍ぶ仮の趣味としてキャンプ始めました。
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