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オンライン専業ブランドは本当に販管費が低いのか?

先日、とある記事にてファッションブランドの「スタートアップは販管費が超絶低い」という記事を見かけました。

挙げられていたのはオンライン専業からスタートしたブランドばかり。「ECは実店舗より販管費が低い」と言われておりますから、このような言説は一見正しいと思われがちです。ですが、本当にオンライン専業ブランドは販管費が低いのでしょうか?

◯赤字を垂れ流すスタートアップも存在する

ケースバイケースと言ってしまえばそれまでなのですが、赤字を垂れ流すスタートアップも市場には存在します。そして、恐らく利益を削る原因となっているのは広告宣伝費でしょう。ソーシャルメディアのフォロワーを増やすため、そしてそこからエントリーを促進するために多額の広告宣伝費を使っている企業は珍しくありません。

店舗を持たないオンライン専業ブランドは、試してもらうハードルが高く、プチプラ以外の商材なら尚更、手にとって見てもらう機会が必要になります。「返品送料無料」や「ポップアップショップ・試着会の開催」などがそれに当てはまりますね。(これらを実行するにもコストが発生します。)本当にオンラインのみでファン獲得できて売上を伸ばし続けられるのであれば、これらの施策は必要無いはずですが、ほとんどのオンライン専業ブランドが結局はリアル施策に手を付けるのが良い証拠です。

ソーシャルでフォロワーを獲得し、そこからファンに購入してもらえば新規獲得のためのコストがかからない

というのは、インフルエンサーブランドの初期フェーズのお話であって、そこから規模拡大しようと思うとそんなうまい話はありません。広告でブーストしたり、リアル施策を絡めたり、時には雑誌掲載したり…。短期間で成長を促進したいなら尚更でしょう。

また、商品力が弱い(曖昧な表現ですが)ブランドはリピートを促せず、広告で無理にブーストして1回は試してもらえたとしても、その後効率が上がってきません。結果として、カンフル剤的に広告を打ち続けるしかなく、いつまで経っても「投資のフェーズ」という言い訳をするしかなくなります。特にVCから資金を調達しているD2Cブランドを観測していますと、「資金調達のためにピポットするしかなかったのかなぁ…」と思わされるような対策が目につきます。その「投資のフェーズ」いつまで続くんでしょうかね。

◯外側からは確認出来ないことが多い

ではその広告宣伝費とは具体的に何を指しているのでしょうか?オンライン専業だとリスティング広告やディスプレイ広告などのWeb広告全般、そして最近だとSNS周りでも多額の広告費が使われいます。むしろ、instagramのようなソーシャルメディアはショップが乱立していることもあり、オーガニックでフォロワーを増やそうと思うとめちゃくちゃ時間と手間がかかります。(個人で伸ばす方がハードルが低いです。)この場合、広告をうまく活用した方がフォロワー増加は促進しやすいのですが、代理店に丸投げの場合、フォロワー獲得単価が跳ね上がるケースもあります。

また、依然よく見かけるのはインフルエンサー活用でしょうか。ECサイト内を見ても、instagramのフォロワーが多いインフルエンサーとのコラボがいまだに散見されますし、instagramのプロフィール欄から「タグ付けされている人」をタップすると様々なマイクロインフルエンサーがメンション付きで投稿しているのも珍しくありません。(恐らく「ギフティング」が多いでしょう。)インフルエンサーコラボは代理店を通すと一回で数百万円のコストが発生することもありますので、こちらでも年間通して多額の費用が支払われています。

クーポンを販管費計上している場合は、こちらも販管費が高騰する原因になります。モールに出店したり、自社ECでもクーポン・ポイント施策を積極的に活用している場合は自ずと販管費は高くなりがちです。

インフルエンサー活用などは、外側からでも何となく費用感はわかりますが、SNS広告・Web広告なんてどの程度の費用が発生しているかは外側からはわかりません。めちゃくちゃ売れていると話題のブランドが、実はWeb広告に億を超える多額の資金を使っていた、なんて話もあります。超絶販管費が低いかどうか?なんて当事者以外、わからないものです。売上が本当に伸びた要因など、誰もメディアでは報じませんから。

 

筆者は何も「ECは実は販管費が高い」と言いたい訳ではありません。「家賃が発生しない」「販売員がいなくとも運営が可能」という点は、確かに販管費を圧縮する一つの要素ではあります。それを盲信してしまったがために、ECで利益が発生しないという事態が問題なのです。現場の最前線で戦っているEC担当者の方々は既に知っていることだと思われますが、決裁者が無知な場合、現場の思惑とは裏腹な打ち手が講じられることもしばしばあります。ECの特性をしっかり見極め、今どこに予算を配分したらしいのかを考えることが重要であり、「ECだから◯◯」という考えは捨てることをお勧めいたします。

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