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色出しの落とし穴。

こちらでは初めましての山本晴邦です。

何者かというと、カットソーOEMをやっております。丸編みと呼ばれる生地を中心にお洋服の生産をお手伝いさせていただいてます。

こちらでの投稿はカットソーOEMの経験を通して生産に関わることを書いていきます。皆様の今後の取引先様との良好な関係を築く上でお役に立てると幸いです。

 

カットソーに限らず、ある程度の規模のメーカー様におかれましては、別注で生地を作るという生産の手順を踏むことは多いかと思います。各生地問屋様の在庫に頼らず、オリジナルで生地を作るのは、ある意味、服作りにおける知識を推し量る一つの要素でもあると個人的には思っております。
もちろん問屋様の生地も素晴らしいものばかりで、最近ではわざわざ別注生地を仕掛ける必要性も薄くなっているのは事実で、在庫生地を使っているからといって服作りのレベルが低いと言いたいわけではありません。が、そういった商流に慣れて久しく、別注生地を作る場合にどのようにしたら良いのかわからないという人も増えてきたように感じております。
生地の作り方を理解しておくと、何かしら物理的なトラブルが起こった時の対処などに有効なので、不良要因とは無縁の仕入先様へ損を押し付けて業界内で悪評を頂戴するという不名誉なことも減ります。
まとめて引き受けてくれている中間業者や商社においても同様で、生産に関わるということは実際に手や機械を動かしてくれる人たちによって自分たちの商品を組み立てていくわけですから、金を払うのはこっちだとか、売れる土壌があるから偉いとか、そういう上下関係を敷かずに対等である必要があります。物が作れなければ、店頭に商品が並ばないわけですから、業者を変えれば済むというわけでもないというのは、想像するに容易いと思います。

 

さて前置きが長くなりましたが、生地を別注する一番ポピュラーな方法として、機屋さんが手張っている生機に任意の色を付けるというのがあります。問屋さんが在庫している生地台帳にない色目を自社オリジナルとして依頼するのも同じです。

最近はデジタルもずいぶん進化して、リサーチも現場にいかずオンラインで済むことも多くなりました。便利な世の中です。

画面上に流れてくる大量の情報、そこで目に入ったお気に入りの色を自社商品展開に加えたいと、生地屋さんへその色目で別注依頼をしたいと思い立った時、画面をスクショしてメールで「この色にしたい!」なんて伝え方したりしてませんか?

また雑誌などで同様に見つけた色を切り抜き「この色目で!」なんて依頼してませんかね?

 

OEMや生地問屋さんが介在いている場合は「承知しました」なんて言われてしばらくしたらそれっぽい色目のビーカーが上がってくることも多いかと思います。素晴らしい対応の業者様ですね。優しい。

さてそんな優しい中間業者様たちはどんな動きをしているでしょうか。

 

実は中間業者様たちが実際にやってるかどうかは分かりませんが、どこかのタイミングで誰かが、その画像をきちんとした生地だったりpantoneなどで近い色を見つけ出して染色依頼しています。わざわざこの作業をするのには理由があります。

まず、端末スクショのメール依頼はこれもう論外なんですが、持っている端末によって多少色差があります。そもそも論です。
そして雑誌の切り抜きもアウトです。
画面上に見えている色は3色のパネルから光の強さを調整して見えているだけですし、雑誌の切り抜きも同様に3-4色のドットの集合でその色に見えているだけです。

生地染する際の色調の抽出はCCM(コンピュータカラーマッチングシステム)を使用します。これは対象色に光を当てて跳ね返った波長の強さを数値として測定する機械です。きちんと混色された色がベタノリしてないと正確に色調の抽出ができません。

改めて画面のスクショ、拡大してみましょう。

はい、こんな感じです。これもっと正確に知りたい方は液晶画面や有機EL画面がどういう構造で色を出しているか調べると分かります。

そして印刷物はこうです。

CCMだとこの色々の要素を拾ってしまうので正確なデータは出ません。なので人間が目視して生地などで近似色を適宜ピックアップし染色工程へ依頼を回します。

 

「でもそれも仕事ちゃうんか」

はいそうですね。

 

実際に依頼を頂戴してからこの作業をしている誰かの仕事になります。逆に言えば、そんなラフな依頼でも近似色を複数点選択肢として用意してくれる業者様方の運動量って、コストに反映しようという気持ちがあれば報われるのですが、その点を無視して原価の潜り合いを促すような圧迫をしてこようもんならもう速攻で人は離れていきます。ビジネスの前に、人としてなってない判断されます。残念ですが。

利便性とは時に、人間性を問われることもあるわkdst…  何の話でしょうか。

 

善意を逆手に取った利便性に潜む落とし穴ってことでお後がよろしいようで。

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