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読者の皆様方にもご存知の方も多いことは思いますが、在庫回転率の公式は。以下のようになります。
在庫回転率=(期間)売上÷(期間)平均在庫
因みに、年間の売上原価が1,500万円で平均在庫原価が300万円ならば。
→1,500万円÷300万円=5(在庫回転率)
となります。また、1年は365日になりますから。
→365日÷5=73日
となり、73日が在庫回転日数となります。
凡その意味として、平均在庫の300万円分の商品が、73日間かけてお金に変わっていく。という意味で捉えて貰えればよいでしょう。ということは?在庫回転率が高いほど、商品がお金に変わるスピードが速まる!日数が短縮される!ということになりますから、組織の手元の現金が減りにくく、キャッシュフローが良くなる!ということになります。ですので、MDにとって、在庫回転率という指標は、重要な指標です。
在庫回転率の数式に、数量・原価・売価を当てはめても問題はないのですが、基本は数量を当てはめると、一番組織の実態に近い数字が出てきます。ということは、在庫回転率を上げるには、売上数量を伸ばすか、平均在庫数量を抑えれば良い!ということになります。
しかし、売上数量を上げるためには、セールして売上数量を上げる!という手段がありますので、在庫回転を上げようとすると、粗利が下がりやすい!といデメリットもあるということにも注意が必要です。(そのために粗利率×在庫回転率=交差比率という指標がある)
また、平均在庫を少なくしようとして、色・サイズ展開を減らしてしまうと、売り逃しのリスクが高まり、思っている以上に売上がとれない!といったデメリットもあります。ですから、自分たちのブランド・ショップコンセプトや過去のデータをしっかり分析した上で、自分たちのブランド・ショップにとってベター在庫回転率を模索することが重要です。
ここで、話を変えまして,先日あるネット記事を読んでいると、某上場アパレル小売業の部長が以下のような発言をしていました。
”商品は、早期にアウトレットに移動させて販売する形で、循環がかなり早いんですよね。”
この発言は、会社組織全体で考えると、不振商品を早期にアウトレット(以下)OLに回すことで、商品を現金にかえる期間が短縮され、キャッシュフローが良くなりますから、全く問題がありません。
しかしながら、ブランド・ショップの事業運営責任という視点から考えると、自分たちの事業部で発注した商品を、早期でOLに回す!という行為は、あまり褒められた行為ではありません。この発言をしたアパレル小売業の関係者の組織は、OLに回すことの出来る枠を設定してある!等のルール設定がしっかり為されていると信じたいところですが(インタビュー記事を見る限りは疑っている)、仮にこのような枠やOLに回した場合のペナルティ等を設定せずに、不振商品はすぐにOL在庫を回す組織があるとするならば、そのことは即刻止めた方が良いでしょう。
理由としては。
・(自らが)発注した商品は売りきる!という意識が希薄な無責任MDばかりになる。
・狡猾な人が、組織内評価アップを目的にインチキをするようになる。
・プロパー事業部での、商品の消化率が異常に悪化する
・結果的に、しっかりとした管理が出来ていないと、OLの在庫が増えすぎて、寧ろ粗利だけでなく在庫回転が悪化する。
等、他にも弊害があると思いますが、組織にとってあまり良いことはありません。
組織自体のキャッシュフローを上げるため、不振商品をOLに早く回すことは、特段問題はないですが、そのことで、組織内に歪みが出る。自己評価アップの為だけに、インチキする人が出てくるようにならない為にも、組織としてOLに商品を移管する際のルール設定が必要ではないでしょうか?
下記の記事はOLに商品を移管する際のルール設定の根拠等を記載していますので、参考としてくださいm(__)m
【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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