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今年。東京は木枯らし1号が吹かず、記録的な暖冬になる可能性がますます高まっています。
(木枯らし1号とは?11月30日までに吹く、風速8M以上の北風。12月以降に吹いても木枯らし1号とはカウントされない。)
冬物とくに、アウターの売上に多くの期待をかけている、アパレル・ファッション業界は、このままでは多くの冬物在庫を残してしまう可能性も、必然的に高まるでしょう。
この業界では、在庫が残れば。。。
・アウトレット・ファミリーセール→バッタ屋等の在庫処分屋→廃棄。
すべてではないですが、上記のような流れの組織は多いことでしょう。
UNIQLOやZARAのように、基本アウトレットがない組織は、売れなければすぐにセールし、売りきる体制を整えているので、上記のようなことはおこりづらいでしょうが、百貨店やディベロッパー側の意向でセールが制限される。または、海外ブランド等は、本国の意向で表立ったセールを制限される等のことも多くあります。
ルールを設けセールを制限するような、ブランド・ショップは、おそらくブランド・ショップのイメージ。”付加価値”を保つために、そのような制限を行うのでしょうが、見栄をはって在庫を多く残してしまい、結果的に商品を廃棄するような結果になるようであれば、元も子もありません。
では、セールが制限される中、在庫が残りそう。また残った場合は、本当にセールか廃棄するしか手はないのでしょうか??
ここからは私の昔話になります。
昔。私が責任者であったショップのあるアウターが良く売れていました。当時から変わり者であった私は、そのアウターの初回発注数をとんでもない数でつけてしまいました。しかしながら、売れてはいましたが、このままでは、多く在庫を残してしまうという危機を迎えてしまいました。
そんなときに、たまたま店で販売員の子が、そのアウターを接客する姿をみてあることに気づきました💡
そのアウターはボタンを留めると、見た目がタイトになるような設計していたのですが、接客を見ていると?
・アウターのボタンを留めて着たがる人が殆どだった。ということ。
(自分は当時ボタンを留めずに着ていた。)
・しかもスーツの上から着ようとし、更にボタンを留めたがる人が多い。
(スーツに合うような、デザインのものではなかったが。。。)
ということに気づきました。
当時いた組織は、お直し屋の運営もしていましたので、生産管理の人を通じて、センター在庫の半分近くの数量の、その商品のボタン位置を変えてもらうようお願いしました。
(その商品は、ボタン位置が内側に入っていて、ボタンを留めるとタイトになるよう設計されていた)
最初は、”何言ってんだコイツ?”みたいな反応をされましたが、当時いた組織のメンバーは寛容な人が多くいたので、そのことをすぐに実行してくれました。
すると、商品は通常の型のものよりも、圧倒的に早く売りきれました。
その後私は、シャツやカットソーの長袖を半袖にして売る。等のことをよく行い、皆にあきれ顔されましたが。。。
当然そのようなことをすれば、工賃が上乗せされ原価が上がり、会計上でいう付加価値である”粗利益”は下がります。
しかし、セールしたくない、見栄をはりたいブランド・ショップにとっては、そのようなことを行うのも在庫処理に繋がる一つの手です。
また私が好きな古着の世界では、古着を集めた上でリメイクを施し、”付加価値”をつけ、通常時よりも値上げし、売っている店やブランドなども多くあります。
有名メーカーやブランドで本国の意向によって、自由なセール権限を与えられておらず、在庫処理に困っている組織等は、リメイク等のアイデアを持っている人などを呼び、商品に新たな”付加価値”を加え、再販する。というのも、新たな在庫処理。在庫活用の一つの選択肢になる筈です。
在庫処理は、セールすることや在庫処分屋に売る。廃棄することだけが選択肢ではありません。
組織の事情等でできないことは多々あるでしょうが、出来ない理由を探すのは、バカでもできる行為で時間の無駄でしかありません。自分たちの持ち駒や長所を見据え、できることからまず始める。このことが大事なのではないでしょうか。。。
【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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