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リードタイム(以下LT)の短縮が困難なアパレル小売業において、当サイトではこれまで、MD予算策定の重要性を繰り返しお伝えしてきました。
特にセレクト業態では、自社オリジナル商品のLT長期化に加え、バイイング商品のLTが半年以上に及ぶことも少なくありません。修正の効きにくい長納期の商材を扱うからこそ、セレクト業態におけるMD予算策定の精度向上は不可欠と言えます。
この精度を追求する上で焦点となるのが、「メーカー(ブランド)別」でMD予算を策定すべきか、あるいは「カテゴリー別」での策定を目指すべきかという点です。もちろん、そもそもMD予算の概念が曖昧な組織も少なくありませんが、この点について先に結論を申し上げますと、「カテゴリー別」でのMD予算策定を強く推奨します。なぜなら、「メーカー別」で予算を策定した際に生じるデメリットがあまりにも大きいからです。その代表的なものを以下にご説明します。
メーカー別でMD予算を策定することのデメリットは、主に以下の2点です。
この最大の問題は、メーカーの展示会で魅力的な商品が見当たらなかったとしても、定められた予算額を消化するために、不本意な仕入れを行わざるを得ないという点です。その結果、店頭で商品が売れ残ることで値引き販売を強いられ、粗利益の低下を招きます。さらに、このような事態が続くと、販売現場からは「あのメーカー(ブランド)の商品はいつも売れていないのに、なぜ仕入れを続けているのか」といった疑問の声が上がり、品揃えに対する深刻な不信感が芽生えてしまいます。
もう一点は、メーカー別で予算を組むことによる構造的な癒着が生じやすいという点です。これは、過去の事例においてもたびたび指摘されてきた問題点です。
しかしながら、カテゴリー別でMD予算を策定するデメリットも存在します。なぜなら、特にセレクト業態のバイイング活動においては、商品そのものの良し悪し、時代背景、そしてバイヤーの「直観」といった、定量化しにくい「感性」を重視することが成功に不可欠だからです。
その一方で、カテゴリー別でMD予算を策定する最大の利点は、実績を「測定」できる点にあります。特にMDの基本である「適品」「適量」、そして「適時」における組織的な傾向を表現、把握できるため、バイイング活動をする上で大いに参考にできます。したがって、この測定の利点を活かすためにも、他社バイイング商品のカテゴリー別MD予算は、基本的に昨年実績を参考として策定するのが良いでしょう。しかしながら、「感性」を重視するバイイングの特性を踏まえると、厳密にカテゴリー別予算を守るというよりは、全体の予算(特に仕入予算)を遵守するという運用手法が最も推奨されます。
これまで述べてきたように、セレクト業態において「感性」を重視することは成功に不可欠です。その一方で、「算盤勘定」を重視することも欠かせません。なぜなら、市場の変化が激しい現代において、「感性」のみに頼って組織を長期的に運営していくのは極めて困難だからです。それゆえ、詳細な検証と分析が不可欠であり、それを具現化するためのMD予算策定こそが、アパレル小売り運営の生命線となるのです。
本記事の内容が、読者の皆様の今後の商品計画の一助となれば幸いです。
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【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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