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MDの成否は予算で決まる?リードタイム長期化を乗り越えるMD戦略

★アパレルMDに重要なことは、初回発注の精度を上げること?

アパレルMDにおいて気温対策が急務であることは、どの組織でも認識されています。しかし同時に、商品発注から店頭入荷までのリードタイム(以下、LTと略記)が短縮される可能性は低いことも認識しておく必要があります。LTが短縮されれば、マーチャンダイザー(以下、MDと略記)の業務負荷軽減や在庫過多のリスク低減につながります。しかしながら、MDはLTの短縮に過度な期待をすべきではないことを認識しておくべきでしょう。LTが長い中で、MDが実践しなければならないことは、商品の初回発注の精度を上げることです。
例えば、リードタイム(以下、LTと略記)が3か月であれば、販売期間開始の3か月前に商品を発注する必要があります(昨今、LTが半年というケースも珍しくありません)。この場合、商品の販売期間を3か月未満に設定しているブランドは、原則として商品の追加発注ができないため、ある意味、初回発注の成否がその後の売上を大きく左右することになります。当然ながら、個々の商品の初回発注精度を高めることも重要ですが、MDにとってより重要なのは、カテゴリー(中分類)ごとの発注精度を高めることです。

★初回発注の精度を上げるには、MD予算策定の精度を上げること?

カテゴリーごとの発注精度を高めるには、MD予算(売上・粗利・仕入・在庫)の中でも特に、カテゴリー別売上予算の策定精度を高める必要があります。この精度が低いと、現場(店頭・EC)がどれほど売上向上に努めても、期待どおりの売上を達成できない可能性が高いでしょう。近年の急激な気温上昇下においても成果を上げている企業や組織は、ヒット商品の創出に加え、MD予算策定と期中運用の精度が高いことも要因の一つと言えるでしょう。先日、繊研新聞で報道された以下の記事は、MD予算策定と期中運用が奏功した典型的な事例ではないかと認識しています。

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★MD予算策定の精度を上げるのに、重要なこととは?

MDにとっての予算策定は、このブログでも常々申しているように、MDにとって、予算作成は来期の品揃え計画へ向けた「意志」であり、行動するための「仮説」でもあります。
以下では、読者の皆様にMD予算の策定精度を高めるために必要なことをお伝えします。
まず、MD予算の策定精度を高めるには、以下の要素が重要となります。
A トレンド傾向の分析
B ブランドコンセプト~自社の強みの理解・活用~
C 過去分析の検証

A トレンド傾向の分析

私がMDの実務に携わっていた20年前は、トレンドの把握が最重要と言っても過言ではありませんでした。しかし、インターネット等で容易に情報が得られるようになったこの10数年で、かつてのような大きなトレンドは生まれにくい状況となりました(ビッグシルエットはその数少ない例と言えるでしょう)。それでも、アパレル小売業においてトレンドの把握は重要です。特にレディースにおいては、トレンドの把握が売上を左右するため、自ブランド・ショップのコンセプトを踏まえた上で、トレンド動向を探ることは欠かせないと言えるでしょう。

B ブランドコンセプト~自社の強みの理解・活用~

ブランドコンセプトの重要性は、トレンド分析においても同様であることをお伝えしました。特に、自ブランド・ショップのコンセプトから想定される顧客ターゲットの動向や心理を理解し、それに合わせた品揃えをすることは重要と言えます。また、自ブランド・ショップの「強み」を理解し活用することが重要であり、他社のヒット商品やコンセプトを安易に模倣する「隣の芝生は青くみえる」的な発想では、ブランド・ショップの運営は長続きしません。したがって、自社の「強み」を理解し共有した上で、自ブランド・ショップのコンセプトを具体的に策定すること、およびメンバー間で共有することが、MDの精度向上に直結します。

C 過去分析の検証

過去分析の検証精度を高めることは、MD予算策定の精度に直結します。しかし、過去分析の検証精度を高める上で重要なのは、前述のBで述べた点です。自ブランド・ショップの顧客ターゲットの購買心理と行動が反映される「適時」「適品」の分類を設定することが、過去分析の検証精度を高めるために不可欠です。そして、「適時」「適品」の分類定義を具体的に策定し、全てのメンバーが共通認識を持つことが、さらに重要となります。「適時」「適品」の分類を策定する上で重要なことは、私の過去記事に詳しく記載していますので、以下の記事をご覧くださいm(__)m
「適時」分類に関する記事は、以下の通りです。

定番品主体のショップにおけるシーズン区分を考える


「適品」分類に関する記事は、以下の通りです。

カテゴリー選定はMDにおける重要な部分

★最重要なのは、カテゴリー別売上予算の策定

前述の3つの要素を踏まえ、MD予算策定を実行するのですが、特にMD予算策定で最重要となるのが、「カテゴリー別売上予算」の策定です。この部分で失敗すると、シーズン期間中に悪化した売上・粗利を立て直すことが困難になるため、前述の3つの要素を意識しながら、その精度向上に努めましょう。前述のとおり、MDにとってMD予算策定は最重要な業務と言えます。また、MD予算はシーズン期間中の指針・目安を具体的に示す役割を果たします。いまだに誤った考え方や煩雑な指標を多数用いて整合性のないMD予算を策定している組織が多く見られるため、この機会にMD予算に対する正しい認識を持っていただきたく存じます。MD予算策定の手法については、以下の繊研plusの連載にて、詳しく記載していますので、興味のある方は是非ご参考にして頂けると幸いです。

算数で極める達人MDへの道《第2講》①(佐藤正臣)

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