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*過去よく読まれたブログを掲載しています。(2016年)
この業界に長くいると、良い意味でも悪い意味でもいろんな言葉を覚えます。そんな中で私が長年、違和感を持って感じる言葉が「プロパー消化率」という言葉です。
【プロパーとは?】
・その分野に本来的で固有なこと。アパレル業界では、「元売価」。元々の価格。セールしていない価格。等の意味で使われます。
当然、セールしないで売れるに越したことはありませんし、その名前の響きだけで判断すれば、「プロパー消化率が高いといいよね。」みたいなことになります。また、この言葉の啓蒙活動を行っている人も多くいます。しかしながら、「プロパー消化率」といはいいますが、長年販売に携わってきた私にとっては「どこからプロパーで売れたって区切るの?」という疑問がどうしても拭い切れません。
疑問点として、以下箇条書きで記してみると
・販売員の友人が来店し、友人値引きした場合はどうなるの?
・1時間のタイムセールで売れた場合の商品は、どうカウントするの?
・ポイントカードのポイント使用はどうすんの?
・カウントをいちいち販売員にアナログで集計させるの?
・ルミネ10%等、ディベロッパー側のイベントで売れた場合どうすんの?
・セールできない契約の商品はカウントしても意味なくない?
・結局、どこで線引きするの?
等、まだまだ疑問が多くありますが、今回はこんなところで。
このような定義しづらいものをわざわざカウントして、POS等に複雑な定義を理解させ、日々・週・月で出てくるあろう「プロパー消化率」をチェックして、誰かが満足するのでしょうか?そもそも言葉がもつ本来の意味から考えると、ルミネ10%や友人値引き、カードポイント使用等も、結局はお客様が「商品の価格が安くなるというメリット」 を感じている時点で、それはもはやプロパーで売れたわけではないのであって、そんなご都合主義の「プロパー消化率」なんてものに、私は全く意味を感じません。
POS等に定義を入力する手間。会議のための会議の資料のための「プロパー消化率」なる言葉。そんなことで一喜一憂する暇、またそのようなことに時間を費やす手間があれば、もっと違うことをすべきではないでしょうか。どうしてもそのようなことが知りたいのであれば、値入(原価)と粗利益率の差。OFF率。(期間)売上原価÷(期間)仕入原価を調べればいいことであって、それらの数値はすべてMDの数値に付随してますし、POSでも容易に調べられることです。
更に言えば、日々足しげく現場に足を運ぶ方が、はるかに精度が高くブランド・ショップの状況を理解できるはずです。
まあ、こんなことを書けば色んなお叱りを受けるのでしょうが、私の考え方は変わりません。だいたい「プロパー消化率」という言葉・ルールを使っているところほど、毎回過度なセールをやっているから、そのようなことが必要になるのでしょうね!…。
以上で今回のブログを〆させていただきます。
【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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