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EC支援をしている方なら、一番お客様からの要望が多いんではないかと思うものが、
「CVR(コンバージョン率)の改善」
ではないでしょうか。要は店頭で言うところの買い上げ率ですね。最近GA4ではコンバージョンが「キーイベント」という名称に変更され、GAをメインにお話するとCVRという名称は不適切なのかもしれませんが。(KERとでも言うのだろうか…。)Google広告と、コンバージョンの算出方法が違うのに名称が同じでややこしいから変更する、というのが理由だそうです。確かにこれのせいで現場では、
「Google広告のレポートとGAのレポートで数字が違うのはどうしてでしょうか?」
と23799273582920回くらい聞かれました。酷い場合は広告代理店から聞かれることもあったりしました。(君らの仕事一体何やねん)
話が飛んですみません。このCVRの改善方法ですが、
出典:横山光輝「三国志」
…。
CVRは様々な要因が複雑に絡み合っておりますので、ECサイト側の改善だけではどうにもなりません。競合他社の動向や市場のトレンドによっても変動します。とは言え、何もできないという訳ではありませんので、何が原因なのか?を推測し、できる限りの対策は立てましょう。今回はそのやり方について記載しておきたいと思います。
まず調査するのは「流入元で悪化しているところはあるか?」ですね。これに関してはまず前提として、GA4でどのチャネルが何を指しているか?が不明瞭なケースが非常に多いです。まずはそこをしっかり整理してから調査しましょう。
(こちら参考までに)
その後、流入元別で直近で悪化したものがあるかを比較。よくあるケースとしては、
・指名検索の減少から検索流入が減少
・メルマガ/LINE/モバイルアプリのユーザー数減少、またはプッシュ回数の減少
・精度の低い広告出稿によりセッションのみ増加
などでしょうか。また、比較する時期によって大きな変動もありますので、その時期にコラボやキャンペーンなどが無かったか?はしっかり見ておきましょう。販促施策によって数字は全く変わりますので。
そして、当然ながら個人情報を取得してからプッシュするメルマガ/LINEやモバイルアプリ経由と、検索や広告経由のCVRが同程度な訳はなく、前者が機会損失していると全体のCVRは下がります。この時点で、
アクセス×CVR×客単価
の図式持ち出す人が何もわかっていないのがよくわかるでしょう。最初のアクセスの時点で見込み客が多いチャネルのCVRが高いのは明白なので…。
続いてこちら。各流入元からページ遷移して、それが購買につながっているかどうか?ですね。例えば、
・検索→検索ニーズに対して適切なページがヒットしているのかどうか?
・instagram→プッシュに対して、訴求した商品がサイト内でわかりやすく表示されているのか?
などなど、お客さまのニーズやこちらの訴求した内容が直感的にわかりやすくページ側で表示されているか?は確認が必要です。余談ですが、instagramでは意外とショップナウはそこまで使われておらず、多くのユーザーはプロフィール欄のURLから遷移します。ですから、
「ショップナウがあるからトップページでわかりやすく見せなくても大丈夫」
「商品一覧ページのフィルター機能でそこまで詳細に絞りこめなくとも大丈夫」
なんて考えは捨ててください
次に確認することはその先ですね。ランディングページから商品ページへ遷移する中で、離脱ポイントはどこだったのか?を調査しましょう。この場合原因になりやすいのは、
・フィルター機能
・商品詳細ページの情報量(レビュー・スタッフコメント・スタッフコーデ・画像枚数などなど)
・決済方法
などでしょうか。フィルター機能の不備で多いのが、複数ブランド保有しているストアにて、ブランド×アイテム(小分類まで)を絞り込めないケースですね。どうしても欲しい・そこにしか無いブランドなら頑張って探しますが、そうで無い場合は離脱の元になりますのでご注意を。商品詳細ページの情報量に関しては優先度がありますので、どれから手をつけて良いかわからない方は「着画の商品クレジット・リンク」「関連コーディネート」「レビュー」を優先的に実行してください。
そして、ここまで言っておいて何なのですが、CVR改善に一番効果があるのは人気商品の在庫量です。これは「売れる商品がある」且つ「在庫量が担保されている」という状況ですね。これに関してはMDの領域なのでEC側で出来ることと言えば、
・どの商品にPVが集中しているか?
・その商品の在庫量は担保されているか?
の確認でしょうか。その場合、
こちらの記事のような計測方法ですぐ確認することは可能です。
ちなみに、CVRを低下させている1番の要因は深地調べではWeb広告でのセッション増ですね。当然ながら広告で高い買い上げ率を実現するのは非常に難易度が高いですし、こちらでも「売れる商品の露出を増やす」のが最もスコアが上がりやすいです。広告出稿の場合、認知獲得狙いならセッションだけが増加するのも無しではありません。ですが、エンゲージメント率が低いならターゲティングは随時見直すのが良いですし、セッションが増えた後はしっかり再訪施策はやっておくべきでしょう。
そんな訳で、一口に「CVRの改善」と言われましても、変動する要因は複雑ですし、冒頭で記載した通りこれ以外にも店頭や競合他社の動向も影響します。店頭がユーザーの初回の接点として機能する場合、接客レベルによってEC側のCVRにも影響するでしょうし、競合他社が似たような商品を安く販売・且つ広告でブーストしていると、比較検討の末、購買に至らずCVRが下がることもあるでしょう。なので、調査・対策はしっかりやるのは当然として、トップラインや営業利益が下がっていないのならそこまで神経質にならなくても良いかと。EC側で特別なことをしていない・ルーティンだけこなしている、というケースなら良くも悪くも数字は安定しますし、数字が下がる要因も明確なのですが、ほとんどのショップがそんな事も無いかとは思いますので…。
株式会社StylePicks CEO。ECサイト構築・運用・コンサルティング、リテールのソリューション事業を中心に活動。並行してファッション専門学校の講師も務める。Twitter(@fukaji38)
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