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もうすぐ夏のセールですね。実際、もうセールがスタートしているところもあるとは存じますが、基本的には館のセールスタートは、6月末から7月にかけてです。また近年、温暖化の影響から夏のセールは極力縮小し、9月末まで着られる”盛夏MD”等を強化する組織も増えてきています。しかしながら、5月までに店頭投入した春夏商品で、動きがさほどよろしくない商品は、セールせざるを得ないでしょう。このタイミングを誤ると、組織に多くの在庫を残してしまいます。
そんなセール前のこの時期に、MDがするべきことは、商品単品単位で値段設定ですが、その前に大枠の商品の消化計画の”グランドデザイン”を描かなければなりません。また、ただ商品を消化させれば良いだけではなく、できる限り多くの粗利益を獲得を目指すことが重要となります。このセール前の”グランドデザイン”を描かない場合、セール期中に入ってから、安すぎる値付けをしたり、2バイ10%施策等を感覚的に行う等、必要以上の売変施策を行えば、お客様からの不信を招き、獲得すべき粗利益を獲得できないばかりか、店頭がセールプライスで溢れ、お客様から(価格に対する)この先のブランド・ショップ運営に悪影響をもたらしてしまいます。
では、MDがセール前にどのようなグランドデザインを描ければ良いのかを、以下簡単に纏めてお伝えします。
【あるメンズブランドA】
・値入率60%(仕入原価率40%)
・6月末時点でのSSメンズシャツの在庫予測800万(原価)
・SSメンズシャツの販売終了日8月31日→7・8月の売上原価800万で完全消化
・7・8月のメンズシャツの売上予測(ある程度精度がある)1200万円
上記のような組織があったとします。というよりも、この辺のことくらいまでは、MDは常にOTB運用して数か月前に把握しておかねばなりません。それはさておき、上記の数字から見えることは?メンズシャツを完全消化させたい場合は?
・売上1200万円
・売上原価800万円 粗利益高400万
・粗利率33.3% OFF率40%
上記の数字がターゲットとなります。この数字を見て、当事者であるMDが考えなければならない・気づかなければならない場面は、7・8月に平均で40%OFFの施策を行うことが(商品によってはかなりのOFF率になるだろう)、ショップのイメージ保持や運営上難しい!となった場合です。例えば、上記のメンズブランドAの売上1200万円で、OFF率30%を目指した場合、粗利率は42.8%がターゲットになります。(計算方法は今回端折ります)すると、約114万円の在庫が残ることが確定します。この約114万円が多い場合、MDは以下のようなことを考えなければなりません。
・1200万円よりも売上を伸ばす施策を考える(但し、希望的な観測は入れてはいけない)
・販路を増やす
・9月以降も売れそうな商品は、引き続き店頭等に展開する(特にEC。ブランドイメージが損なわれないように)
等のことを考え、セールが本格的に始まる前から、関係各部署にこのこと共有する必要があります。このような前始末を行うこと。このことこそが、セールという施策を、(自組織にとって)有意義とすることに繋がります。この記事がアップされた段階でも、まだまだ出来ることがあると存じますので、今回の記事が皆様のお役立てれば、嬉しく存じます。
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【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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