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昨今。アパレル・ファッション業界以外の小売りの方々とよく仕事をさせていただいております。その際によく言われるのが、
”アパレルのマーチャンダイジングって、意外に大変ですよね?”
ということです。
例えば、食品系の小売業の場合。食品の最大のデメリットは、賞味期限です。ですが、食品関連のメーカーは常に商品を製造しており、問屋も含めた物流体制も整備されています。1日の平均売上数さえ分析出来ていれば、あとはフォローをメーカーに自動で行える体制さえ整えておけば、小売り側の在庫が大きく増えることはありません。
しかしながら、アパレル小売りが難しいのは?
・商品が売れても、自組織の倉庫に在庫がなければ、商品フォローが効かない。
・商品の耐久性よりも、商品のトレンド(旬)の期間の方が短い
・色・サイズを豊富に揃えると在庫が溜まりやすい。
等。その負の要素は枚挙に暇がありません。
そのような負の要素がたくさんある、アパレル小売りのMD業務の中でも、一番プレッシャーがのしかかる仕事は、商品の初回発注です。
何故ならば、アパレル小売りの場合は、初回発注の精度で、後の売上の大半が左右されると言っても過言ではないからです。
この精度が低いと、期中でのセールを余儀なくされ、付加価値である粗利益は減少します。また、のちに多くの不良在庫を抱えてしまうことにも繋がります。
ですから、初回発注の精度が高いMDは、ある意味優秀なMDとも言えるでしょう。
その初回発注の難しさから、この業界ではAIに期待する声が高まっています。しかしながら、色んな要素が複雑に絡み合う、アパレル・ファッション業界のマーチャンダイザーの仕事においては、まだまだ時間がかかるのが現実でしょうし、導入できたとしても一部の大手企業だけでしょう。
但し、売れた場合の追加商品のジャッジ。発注などは、AIに任せた方がいい時代が、すぐに来ます。
(もう運用出来ている可能性の方が高い)
初回発注の精度を高めるには?どのように考えたらいいの??と私もよく聞かれますが、そのことは、個々の組織で全く異なることでありますから、一概にこうだ!!とは言えません。
一言添えれば、常に顧客の近くにいて(とくに店頭やコンセプトに見合う人が多くいる場所)、先のヒントをえよ!ということです。
また、初回発注が難しい!からと言って、むやみやたらに展開商品数を増やしたり、平均的な数量で発注する等の愚行を冒すMDは、すぐにその職を辞すべきです。
では、初回発注において、誰でもできそうなことはないのか??それは。。。
”売りやすい商品は、余らせてもよい!”という発想です。
これは定番品等とのことではありません。定番品という商品コードを多用している組織は、在庫がク〇のように積みあがっています。
アパレル・ファッション業界における商品管理は、基本販売期間や販売終了日を定めて、その期間内に売りきるという発想に至るべきです。
但し、その期間内には売り切ることの出来ない商品は必ず出てきます。
であるならば、その商品がどんな商品であれば、その後売りやすい商品なのか?と考える!という発想です。
例えば、カラーで言えばトレンドと言われるカラーは旬をすぎると、店内で異臭をはなち他の商品を売れなくさせます。であるならば、その際に残しても異臭を放たないカラーを多く発注する。
また、コンセプト設計段階で、そのショップ・ブランドのコンセプトカラーを決めておけば、そのカラーが残ったとしても、売りにくい。ということは少なくなります。
ネイビーやブラック等のベーシックカラーがそのカラーの代表に思われがちですが、例えば、子供服のブランドであれば、そのカラーの定義は変わる筈ですし、林家ぺー・パー子のファン限定の店であれば、ショッキングピンクがそのカラーです。
サイズも同じことが言えるでしょう。レディースの場合は23.5Cが残れば、まだ売りにくさはない筈です。これも、ビッグ・スモールサイズ重視の顧客ターゲット・コンセプトであれば、残していい?サイズの定義は変わります。
要は、残しても良い商品と自分たちのブランド・ショップのコンセプトを明確に結びつける!という考え方です。
アパレル・ファッション業界における、商品の初回発注の難しさは永遠に解消されないことかもしれません。
であるならば、目先の売上を考え発注するのではなく、売り終わった後のことまで考えて、初回発注に臨む。このことが大事なのかもしれません。
【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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