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MDの仕事って実は”疑うこと”が大事なんです!

★マーチャンダイザーに必要な資質とは?

過去にも何度か同様のテーマで記事を書きましたが、最近得た新たな気づきを踏まえ、改めて「マーチャンダイザーに必要な資質」について深く掘り下げたいと思います。

この業界で言うマーチャンダイザー(以下MD)に必要な資質って何?という質問を最近受けることがあります。MDの仕事は、組織によって定義が大きく異なるため、一概に「必要な資質」と言えるものは存在しません。一般的に、商品の数字管理、ディレクション、品揃え計画など、幅広い業務に関わることが求められます。例えば、MDの数字面の仕事は、過去の販売データや市場トレンドを分析し、最適な商品計画を立てる能力が求められます。一方、MDの商品面の仕事は、消費者のニーズを的確に捉え、魅力的な商品を開発する能力が重要です。また、品揃え全体の管理を担うMDは、生産から販売までの流れをスムーズに管理する能力が求められます。個人的な見解としては、MDは、商品に関する知識はもちろん、数字の分析能力、コミュニケーション能力、そして、常に変化する市場環境に対応できる柔軟性が求められると考えています。組織によって求められる資質は異なりますが、共通して言えるのは、MDは、企業の収益に直結する重要な役割を担っているということです。そのため、高い責任感と、目標達成に向けて積極的に行動できる推進力も必要不可欠です。
これらを踏まえると、MDにはスーパーマンのような多岐にわたる能力が求められるように思えます。しかし、実際には、全ての能力を完璧に備えている人は稀です。では、どのような人がMDに向いているのでしょうか?私は、「仕事と人に対して真摯に向き合えること」が最も重要だと考えています。なぜなら、繰り返しになりますが、5適の権限をもつMDの仕事は、企業の収益に直結する重要な責任を担っているからです。 この責任感を持って仕事に取り組むためには、常に学習意欲を持ち、変化に対応できる柔軟性が必要です。また、周囲の人々と協力し、目標を達成するためのコミュニケーション能力も不可欠です。逆に、ずる賢く、自己中心的で、仕事の目的を見失いがちな人は、MDの仕事には不向きです。 どんなに優れた能力を持っていても、顧客や企業の利益を第一に考えられない人は、長期的な視点で成功することは難しいでしょう。まとめると、MDに必要なのは、仕事に対する情熱、誠実さ、そして、人との繋がりを大切にする心です。 これらの資質を備えた人であれば、どんな分野のMDであっても、活躍できる可能性を秘めています。

★”気づくこと”が大事。

しかしながら、例え真摯であっても仕事がうまくいかない、できない!という方はこの業界に多くいるように感じます。では、MDとして、他に何が大事?必要な能力?と問われれば、それは誰よりも早く「(変化に)気づくこと」が必要不可欠な能力だと私は感じています。
なぜなら、物事に気づくスピードが速ければ、ブランドやショップが進むべき道を誤ったとしても、いち早くそのことに気づき、改善策を講じ、正しい方向へと舵を切ることができるからです。例えば、市場トレンドの変化にいち早く気づけば、競合他社に先駆けて新しい商品を開発したり、販売戦略を修正したりすることができます。また、顧客のニーズの変化に敏感であれば、顧客満足度を高め、リピーターを増やすことにつながります。つまり、「気づくこと」は、MDが成功するために不可欠なアンテナのようなものであり、この能力が高いほど、市場の変化に対応し、ブランドやショップを成長させることができるのです。

★”気づき”の能力を上げるには”疑うこと”が必要

では?気づきの能力を上げるには、どのようなことが必要なのか?というと。それは

”常に物事を疑うこと。”

です。このことは先述した”真摯であること”と矛盾しているかのように思う方がいらっしゃる方がいるかもしれませんが、このような人は”顧客に喜ばれ、ファンを増やすこと”という小売業の本質・目的に対して真摯であるので、全く矛盾していません。「常に物事を疑う」ことは、与えられた情報や状況を鵜呑みにせず、客観的に分析することを意味します。これは、顧客のニーズや市場の変化を正確に捉え、より良い商品やサービスを提供するために不可欠な姿勢です。一方で、「真摯である」ことは、顧客や組織に対する誠実な態度を指します。疑うことと真摯であることは、前者は手段であり、後者は目的を達成するための姿勢なのです。ある意味、性善説的な思考で、見たことや書いてあることを鵜呑みにする。組織や上司からの指示をダイレクトで信じてしまうでは、”気づく”能力は磨かれませんし、このような人はMDには向いていません。
MDは、顧客の潜在的なニーズをいち早く察知し、それに応える商品企画を行うことが求められます。そのためには、既存の商品や市場の常識を疑い、新しい視点から物事を捉える能力が不可欠です。常に『なぜこの商品が売れているのか』『なぜこの商品は売れないのか』と問い続けることで、より効果的な商品企画が可能になります。寧ろ、5歳児のように常に「なんで、なんで、なんで?」と繰り返し質問する。問い続ける人の方がはるかにMDに向いていますし、常に疑って物事を見ている人の方が、圧倒的に自分たちの非に気づきやすいということです。

★個人のMD力を上げるには、組織の環境を整えることが重要

以前このブログにも書きましたが、マーチャンダイジングにおける車の両輪は、”商品”と”数字”の仕事です。数字の仕事に関する気づきの能力とは、売上データの変動から売れ筋商品を特定したり、顧客の購買行動を分析して新たな商品企画に繋げたりする能力を指します。この能力は、反復練習等の努力によって、気づきのスピードを上げ、分析能力を磨くことは可能です。数字の推移には必ず傾向・癖があり、常日頃から努力を重ねていれば、この能力は上がります。しかしながら、数字だけの気づき。分析だけで、すべての物事に気づけるのか?というとそうではありません。数字だけでの”気づき”はある意味、仮説を立てたにすぎませんし、現場や商品・顧客を併せて考えてそのことを立証しなければなりません。では、商品の仕事における気づきとは何か?それは、商品そのものの魅力や欠点、ターゲット顧客のニーズ、競合製品との差異など、五感や経験に基づいて商品を深く理解し、新たな価値を発見する能力を指します。この能力は、ある程度、生まれ持った感性や興味が影響する部分もあるかもしれませんが、常に物事を疑い、違う視点から併せて物事を考え、”ひらめく””気づく”ということは、先述したように、常日頃から物事を、人とは違う視点で見ることが出来る人でなければいけません。
しかしながら、このことは意外に、組織にいると単純に磨かれる能力ではないように思われます。組織の中で働く場合、上司の指示や過去の成功事例にとらわれがちになり、新しい視点を持つことが難しくなる場合があります。また、チームで仕事をする際に、自分の意見を自由に発言しにくい雰囲気も、創造性を阻害する要因となります。
「気づき」の能力は、個人の努力だけでなく、組織全体の取り組みが重要です。組織が意見交換をしやすい雰囲気作り、失敗を恐れずに挑戦できる環境を整え、学習機会を提供し、多様な視点を取り入れることで、社員一人ひとりが「気づき」の能力を磨き、組織全体の成長に貢献できるようになります。
今回の記事が読者の皆様方のお役に立てれば幸いです。次回も宜しくお願い申し上げます。

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