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少ない過去データで商品の追加発注を成功させる秘訣

★商品の追加発注を行う際に注意すべき点とは?

今日は、小規模ショップ・ブランドの皆さまに、役立つ情報をお届けします。
アパレル小売では、組織の規模に関わらず、ヒット商品が生まれると、商品の追加発注を検討することが一般的です。商品の追加発注をシミュレーション行う際には、以下の点に注意する必要があります。

①(自社の)過去データを活用する
②商品の販売期間・販売終了日を確認する
③リードタイム(以下LT)を確認する

また、商品の追加発注の判断は、早ければ早いほど、販売機会の損失を防ぐことにつながります。(商品の追加発注に関することは、以下の記事をご覧くださいm(__)m)

商品の追加発注について考えてみよう1

商品の追加発注のシミュレーションを行う際に、小規模ショップ・ブランドが困るのは①の部分です。小規模ショップ・ブランドの場合、過去データの蓄積が少なく、大規模ブランド・ショップと比較すると、データの信頼性が低い傾向にあります。そのため、感覚に頼った商品の追加発注を行ったり、商品の追加発注の判断が遅れるといったことが起こりやすく、販売機会のロスが増加したり、逆に過剰な在庫を抱える結果につながる可能性が高まります。それでも、感覚に頼った商品の追加発注をするよりも、過去データが少なくても、それを活用した追加発注のシミュレーションを行う方が良いでしょう。

★小規模ショップ・ブランドにおける商品の追加発注を考えてみる

そこで、今回は小規模ショップ・ブランドが、商品の追加発注のシミュレーションを行う際に、注意すべき点を、例を挙げながら詳しくご説明します。

(例題)
あるEC専業ショップAが、45週の土曜日に発売した防寒アウターが、土日でSサイズ×3点、Mサイズ×1点、Lサイズ×2点、LLサイズ×3点が売れた。MDはこの商品を追加発注することにした。45週終了時点での在庫は、Sサイズ×15点、Mサイズ×40点、Lサイズ×35点、LLサイズ×10点である。今追加発注すれば、商品は1月1日に入荷する。各サイズ、何点追加すべきか?

以上のような状況があったとします。
商品の追加発注シミュレーションの詳細については、上述した私の繊研plusの記事をご参照ください。例題の状況で、小規模ショップ・ブランドが考慮すべき点としては、各サイズの売れ行きが挙げられます。販売経験者の方ならば理解できると思いますが、市場に展開が少ない小さいサイズや大きいサイズは、当初の売れ行きが良い場合があります。しかしながら、当初の売れ行きは良くとも、その後全く売れなくなることはよくあることです。例題のサイズ別売上数で商品の追加発注シミュレーションを行うと、おそらくSとLLサイズを多く追加発注することになるでしょう。しかし、商品が入荷する1月1日前後には、SとLLサイズの売れ行きが鈍化する可能性が高いと考えられ、余剰在庫を抱えるリスクが高まります。

このようなケースでは、(自ブランド等の)過去のデータを活用し、商品の発売開始後2日間のサイズ別売上数を修正することで、失敗のリスクを軽減することができます。例えば、例題に掲げたショップの過去3年の防寒アウターのサイズ別売上構成比が、S×18%、M×38%、L×34%、LL×10%だった場合、販売開始2日間の売上数、Sサイズ×3点、Mサイズ×1点、Lサイズ×2点、LLサイズ×3点の計9点を、過去データを活用し、以下のように修正します。

(修正後のサイズ別売上数)
・Sサイズ→9点(商品の総売上数)×18%(Sサイズの過去データ)=1.62点
・Mサイズ→9点(商品の総売上数)×38%(Mサイズの過去データ)=3.42点
・Lサイズ→9点(商品の総売上数)×34%(Lサイズの過去データ)=3.06点
・LLサイズ→9点(商品の総売上数)×10%(LLサイズの過去データ)=0.9点

以上のようにサイズ別売上数を修正してから、商品の追加発注のシミュレーションを行います。
(*表計算ソフトを活用して、商品の追加発注のシミュレーションを行う際は、算出された売上数を手入力で入力せずに(特に四捨五入してはダメ)、値複写で売上数を入力して、商品の追加発注のシミュレーションを行うようにしてくださいm(__)m)

★過去データを活用する際に、注意すべき点とは?

商品の追加発注のシミュレーションを行う際に注意すべき点は、例題では過去3年分のデータを使用していますが、一般的に、データは量が多いほど、信頼性が高まります。オープンして2年以内の場合は、1年分のデータでも十分な信頼性を得られる場合もあります。また、自社内に他のブランドやショップがある場合は、これらのデータを活用することも有効です。付け加えると、過去データを抽出する際は、ある程度類似したサイズ感(体型に合うサイズ感)でないと、データの信頼性は低下します。例えば、セレクトショップの場合、同じサイズ表記でも様々なブランドが混在していますから、各ブランドのサイズ感が異なるため、データの信頼性は低下します。したがって、商品の追加発注のシミュレーションを行う際は、同一ブランドの過去データを抽出して活用する必要があります。

以上、小規模ショップ・ブランド様向けに、商品の追加発注シミュレーションを行う際の注意点についてまとめました。この記事が、皆様のお役に立てれば幸いです。

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