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新年あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願い致します。
今回は、先月話題になった「パーカーおじさん」問題を題材に話を進めていきます。
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私も50歳を過ぎましたが、スウェットパーカーはヘビロテで愛用しています。会社でオリジナルのスウェットパーカーを企画・制作しているほどです。
年齢を考えると、若作りしているようで申し訳ない気持ちもありますが(嘘です)、今回話題になった「パーカー」は、裏起毛や裏毛のスウェットパーカーを指しているのではないかと思われます。そんな裏起毛や裏毛のスウェットパーカーですが、マーチャンダイザー(以下MD)として、気になるのは、「スウェット類はいつからいつまで売れるのか?」という点です。
ネットの情報によると、裏毛タイプのスウェットは15~20度、裏起毛タイプは10~15度が快適な気温とされていますが、これはアウターを羽織る場合の気温を想定しているのではないでしょうか。(当然、男性・女性・個人間で体感は変わります)
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そこで今回は、東京の過去30年の平年気温を参考に、「スウェットはいつからいつまで販売するのが最適なのか?」という点について考察してみたいと思います。以下の図は、東京の過去30年の平年気温を週別に表したグラフになります。
今回は、スウェットの上にアウターを羽織るという想定で、平年の最高気温をベースに話を進めていきます。
先にご紹介した図を確認すると、最高気温が20℃を下回るのは、43週(10月後半)あたりからです。そして、最高気温が20℃を上回ってくるのが、17週(4月後半)になりますから、43週から16週までの期間が スウェットの着用期間であると考えられます。MD視点で考えると、ウールのニットとは異なり、スウェットの場合、秋冬と春の2段階で品揃えが可能と考えられます。
ブランド・ショップのコンセプトや顧客ターゲットによって、商品の販売期間に差異が生じるとは思いますが、一般的に、スウェットの着用開始の1か月前頃から商品展開を開始し、着用終了の1か月前頃に販売を終了すると考えることができます。この考え方から、スウェットの販売期間を、秋冬MDで39週~4週まで、春MDで5週~13週までと設定することが可能です。以上のことから、スウェットの販売期間は秋冬の方が長くなるため、商品投入数は秋冬の方が多くなる傾向にあります。また、秋冬のヒット商品や定番商品は、2月以降も継続して展開することが可能ですし、そうすべきでしょう。
しかし、難しいのが春MDです。なぜならば、商品を展開できる期間が、秋冬よりも大幅に短いからです。そして、春に売れなかった商品は、春夏のセールで売るのは厳しい状況となります。しかし、在庫が残ることを過度に気にしすぎて、スウェットの品揃えを減らすと(最近、このようなショップ・ブランドが多い)、2月~3月の売上に影響が出ることは避けられません。以上の理由から、スウェットの春MDを設計するのは難しい課題ですが、対策として、裏起毛ではなく、気温が高くなっても着られる裏毛のスウェットを多く展開したり、プルオーバーではなく、ZIP UPやカーディガンなど、羽織りやすい商品の割合を増やすなどが考えられます。さらに、人気の無地のボディを確保し、プリントや刺繍などを施すことで、新作が多く入荷したように見せるなどの施策も効果的です。
今回の記事では、「パーカーおじさん炎上問題」をきっかけに、スウェットのMD対策について考察してきましたが、いかがでしたでしょうか。私自身の考えとしては、人のファッションにあれこれと口出しをするべきではないですし、どんな服を着ていようとも、ファッションを楽しむ人が増えることは良いことだと思います。今回の記事は、このような考えのもと、締めくくりとさせていただきます。
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【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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