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ファッションメディアがまたしても「セール時期なのにプロパー販売が好調!!」と報道する中、我らEC界隈は相変わらずセール一色(のはず)で、年始からプロパーで服買いまくる民を目撃せぬまま年が明け、早くも2週間が過ぎようとしています。一部のブランドにて端境期対策でセール対象外のアイテム展開をしたり、はたまたコラボ・別注アイテムで購買意欲を何とか高めたりという努力が実った部分もあるでしょう。
EC側としては、相変わらずセールで秋冬シーズンの在庫消化を進めなければなりませんので、値引きの切り口も複数必要になります。「MAX◯%OFF!」とプッシュした直後は売れ行きが良くとも、しばらくすると当然売り上げは鈍化。次のプッシュは「MORE SALE」でその次は「FINAL SALE」と毎年同じ訴求内容になりがちです。
そんな話を以前もしておりましたね。同じ値引き施策でも意外と切り口はたくさんありますから、ここで直近、大手各社がどのような施策をやっていたのか?について簡単にまとめておきたいと思います。
まずはこちら。お客様のニーズに合わせての訴求なので無難で良い内容ではないでしょうか。お仕事や会食、直近だとオケージョン(卒業式・入学式など)のアイテムも必要な時期に差し掛かってきておりますので、そこにお得な価格のアイテムでプッシュすると効果的です。
別注を余らすな、というMDの厳しいお声が聞こえてきそうですが、余ってしまったものはしょうがないのでセール対象になります。別注アイテムはセレクトショップではよくある展開なので、ショップのファンからしたらセール対象は嬉しいと思う方もいらっしゃるでしょう。
別注でなくとも、セール×特定のアイテムカテゴリーはよくある訴求方法です。セール×アウター/ニットなど、今買い足したいと思われるアイテムをプッシュしましょう。
各店でのセールではなく、広いスペースを借りてのオフラインセール開催。内容を見ておりますと、ついでにセール除外品だったものや型落ち品も持っていく感じでしょうか。ファミリーセールに近い展開ですが、このようなセールど真ん中の開催は珍しいですね。普段注目していなかったのですが、こちらのブランドではよくやっているのかもしれません。
エディター・バイヤーのおすすめ、と言われると何となくファッション感度がすごそう(小並感)な印象を受けますので、割とよく使われる手法ですね。
エディター関連のプッシュは大概、ファッション誌のECサイト中心なのですが、なぜかFarfetchでエディターのオススメが。記事コンテンツがあるからその編集者もいるってことなのか…。(それはただのEC担当なのでは)
セールあるあるですが、MAXのオフ率表記を記載している為、80%と書かれていても中には30%OFFの商品とかがたくさんある訳です。そんな中、オフ率が高いものだけで絞り込みができるのはありがたいですね。オフ率の高い順番でソートすることができるサイトもありますが、このような訴求があると「ちょっと見てみようかな」と思ってしまう方もいらっしゃるでしょう。シーズン型落ちで評価減したアイテムをちょっとだけ置いて、MAXのオフ率表記を高くすることも可能ですからね。
しまむらだけで目撃しましたが、年末から日別でカウントダウンしながらセールをプッシュするというもの。特に大きな意味は無いと思いますが、自然にプッシュ回数を増やすことが目的なので良いんではないでしょうか。
最近はMORE SALEの代わりに他の値引き施策を重ねてセールの中弛みを防いでいるのでしょうか。下記のような施策を重ねて展開している事例をよく見かけました。
・セール期間中に2BUY10%OFF
・セール期間中にタイムセール(春物も対象になる)
・セール期間中にクーポン
・セール期間直後にポイントアップ
………。
デイトナは年末からタイムセール→WINTER SALE→期間かぶって2BUY10%OFF→期間かぶって5000円クーポン→クーポンと同期間にタイムセール…。セール界の王か。 pic.twitter.com/J0CfBo8hKV
— 深地雅也 (@fukaji38) January 5, 2025
(お前は楽天か。)
デイトナさんでは24時間限定のセールをフラッシュセールと名乗っている(すぐ終わるから?)のですが、本来フラッシュセールって招待制で型落ち商品を期間限定で販売するサイトを指すことが多いのでちょっと戸惑いました。タイムセールとどう違うのだろう…。
本来の意味でのフラッシュセールサイトはどんな訴求方法か見てみましたが、参考になりそうだったので記載しておきます。残り1点、と言われるとセール品じゃなくてもついつい見に行ってしまうことでしょう。ZARAの店頭でも見かけるやつですね。たまに通常販売時から残り1点の一覧ページを作成しているショップありますので、取り入れても面白いのではないかと。
マークスタイラーさんのショップでよく見かけるのがこちらの6時間限定タイムセール。「25時まで」というのは他店でも見かけるのですが、ユーザーのアクティブな時間を指定しているのでしょうか。
会員限定プレセールの際、新規会員を対象にして会員登録を増やすというのは昔から使われている手法なのですが、それを「VIP」と名づけるのは違和感が…。(VIPの定義どうなっとるんや。)
目立ったのはこのあたりでしょうか。ECでは月末になると毎月のように「MAX80%OFF!」という訴求が珍しくなく、年末年始に限らず「毎月やってますやん」とツッコミを入れたくなるかもしれません。ですが、シーズン末のセール時期はお客様側もある程度日程を認識しておりますので、そこまで値引き施策を強化していなくても気になって見に来られる方が一定数いらっしゃいます。マサ佐藤氏も常々、「粗利目標」のお話をブログでされておりますので、それさえ計画できていればあとの訴求は自社に合う・且つ効果的なものを選択して頂ければ良いかと思います。
株式会社StylePicks CEO。ECサイト構築・運用・コンサルティング、リテールのソリューション事業を中心に活動。並行してファッション専門学校の講師も務める。Twitter(@fukaji38)
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