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ファッション・アパレル業界で働くならどの職種だろうとまず経験しておいた方がいいのが販売員。なのですが、筆者は販売経験がほぼ無く(勤務していた古巣のポップアップ・セールの販売応援程度ならありますが)、それが現在もコンプレックスになっております。そんな中、そのお話をお知り合いのブランドの社長にしたところ、
「うちで店頭に立ちますか?」
と言って頂きまして、「是非立ちたいです!」と回答したところ、
謎に新宿ルミネ2で販売員デビューしてきたの巻。 pic.twitter.com/nqMJ4s5t4D
— 深地雅也 (@fukaji38) January 13, 2025
40過ぎのオジが激戦区中の激戦区、新宿のルミネ2で販売員デビューするという暴挙に出ました。(kaeneさんありがとうございます。)
もちろん、先方も販売員としての力量に期待された訳ではなく、「店舗とECとの連動について意見が欲しい」程度のことでしたが、やはり店頭に立ちつつお客様やスタッフの方々のお話を聞いておりますと、個別具体的な課題から、全ブランド共通でやるべき施策など様々なアイデアが出てきます。本日はそこで気づいたものについて、初歩的なところをいくつか記載しておきたいと思います。
来店されたお客様がスマートフォンを触りながらお店のロゴを確認する、という動きを数件目撃したのですが、店頭の商品を見ながらECサイトを探されていたようです。読み方が明確なブランドなら問題ないのですが、知名度が高くないブランド、且つ馴染みのないスペルなら読み方は大体わかりません。
大概は店頭で読み方含めてお知らせしていると思いますが、筆者が立った現場ではカタカナ表記が店頭に全くなかったので、接客できなかったお客様には覚えて頂きにくいと感じました。(実際にブランド名を確認しているお客様に読み方をお伝えしたところ、正しい読み方ができておりませんでした。)そんな訳で、初見で読めないブランド名の場合、ここは気を付け過ぎるくらいでちょうど良い気はしますね。(31Sonsdemodeさん、1er Arrondissementさんは本当どうにかしてください。)
意外とできていないのが館や店頭で組まれている販促施策の露出・プッシュ(ルミネはめっちゃ細かく販促打ってます。)で、お客様の来店動機になりやすいのでECのお客様にもしっかり対策しておいた方が良いでしょう。NEWS記事を執筆しておき、公開と同時にメルマガ・LINE・モバイルアプリでプッシュ。商品によっては店頭で試着してからじゃないと買いにくいアイテムもたくさんあります。同じタイミングでIG広告で店頭集客を促進するのもオススメです。また、効果は薄いですが館のWEBサイトへの掲載もお願いしてください。
特に店頭でご購入されたお客様はカスタマーカードに個人情報を記入して頂いているかと思うので、ECサイトで登録する際にはタグを付与しておくことでその後のセグメント配信が容易です。(それ以外にも、店頭のお客様でもサンキューDMやレビュー依頼のメールは送れる訳なので。)
とても当たり前のことですし、「もうやっとるわ」というショップもあるでしょうが、モールで販売しているアイテムがクーポン・セール対象になっている時に、店頭でプロパー販売のままだとショールーミング化が発生します。モールで売れたらそれでいい、という場合は問題ないのですが、料率の関係で店舗で販売した方が利益率が高いなんてケースもあるので要注意です。(ZOZOARIGATOの時に店頭でめっちゃ問題になったやつですね。)そのまま店頭販売するなら、モールに合わせた価格設定にしておくのが良いでしょう。
また、当該アイテムは期間中店頭から引いておき、違うアイテムの販売を促進するという方法もあります。そうする事で別のアイテムの販売機会を創出する事が可能になりますね。
モール販売時の上代設定を変更しているブランドも中にはあったりするので、各社対応はそれぞれ違うかもしれません。
商品をご購入頂いた後、お客様が知りたい情報はたくさんあります。例えば、
・保管方法
・洗い方
・リペア方法
などは当たり前ですが、
・着用シーンやルール
なども必要になったりします。特にフォーマルアイテムは着用時のルールが多いので、これらをサイトコンテンツで更新しておき、ポップを店頭に設置していると機能しやすいです。接客時のトークのきっかけにもなりますし、購入後に当該ページへのQRをショップカードと共にお渡しし、常に情報が更新される旨をお伝えすればECサイトへの再訪も促進できるでしょう。
普段から店頭を見ておりますと、SC以外で「ECへの導線が少ないなぁ」と感じる事が多いのですが、闇雲にQRを設置していてもお客様はわざわざ読み込んでくれません。(渋谷チューズベースの悪口ではありません。)なので、お客様のニーズに合わせて店頭でも訴求することは非常に重要だなぁと。(求めていない情報はポップを設置していても全く視界に入っていないので。)
熟練のEC担当者なら当たり前のことが多かったのですが、それでも出来ていない店舗はまだまだありそうですし、普段から店頭を見ていないと「出来ている」と思い込んでいるケースもあるのではないかと思います。店頭経験無しでEC担当として入社する方は是非、一定期間店頭に立つべきだと改めて感じた次第です。
株式会社StylePicks CEO。ECサイト構築・運用・コンサルティング、リテールのソリューション事業を中心に活動。並行してファッション専門学校の講師も務める。Twitter(@fukaji38)
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