メールマガジンを登録していただくと、セミナー・イベント開催のお知らせやブログの更新通知をお届けします
先日、春物商品に関する記事を書きました。
アパレル小売のMD(マーチャンダイジング)については、2月後半の現時点で、すでに夏物の発注を終えている組織も多いことでしょう。しかし昨今は、温暖化の影響で夏が長期化しています。そのため、業界の商慣習である「夏のセール(6月末〜7月初旬)」の後も、実売期の商品としてプロパー販売を継続する「盛夏・晩夏・初秋MD(呼称は組織によって違って当然)」の重要性が高まっています。特に、商品の販売期間を短く設定する傾向があるレディースにおいては、もはや不可欠な考え方と言えるでしょう。そこで今回は、この「盛夏・晩夏・初秋MD」についてお話しさせていただきます。
「盛夏・晩夏・初秋MD」の具体的な策定に入る前に、MDとしてまず実施すべきは以下の2点です。
〇過去データの検証
〇セールイベントがない時期を前提とした「仕入・在庫計画」の策定
まずは「過去データの検証」についてです。 これまでも本記事で述べてきた通り、データを検証する上で最も重要なのは、「適時・適品」に関する具体的な商品分類が組織として定義されているか、という点です。この分類が曖昧な状態では、抽出したデータの信憑性に大きな疑念が生じてしまいます。特に今回のテーマである「盛夏・晩夏・初秋MD」の検証においては、「いつ、何を売るべきか」という適時分類が具体的に策定されていなければ、正しい分析は不可能です。適時分類の重要性については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ併せて参考にしてください。
すべての組織がそうであるとは限りませんが、「盛夏・晩夏・初秋MD」の販売期間を「6月中旬〜9月末(場合によっては10月中旬まで)」と想定している組織は多いことでしょう。私のこれまでの経験則では、特に7月から9月にかけてが売上のピークに該当するケースがほとんどでした。しかし、検証の際にMDが最も注視すべきなのは、「売上のピークを迎える前に、在庫を十分に確保できているか」という点です。よくある失敗例として、売上のピーク月(例えば8月)に入ってから大量の商品を入荷させてしまうケースが挙げられます。旬が短い「盛夏・晩夏・初秋MD」の商品は、ピーク中の入荷では消化が追いつかず、結果として想定以上の在庫を残してしまう組織が少なくありません。したがって、計画を策定する際は、8月以降の仕入金額が過大にならないようコントロールすることが肝要です。また、「早期に秋冬物へ入れ替わるカテゴリー」と「9月以降も実売が続くカテゴリー」では動きが異なります。こうしたカテゴリーごとの特性も具体的に検証し、精度の高い「盛夏・晩夏・初秋MD」の実現を目指しましょう。
「盛夏・晩夏・初秋MD」は、夏のセール終了後にプロパー(定価)で販売することを目的としています。そのため、大きなセールイベントを通さずに販売期間を終えるのが基本です。仕入の基本である「売れる分だけ仕入れる」という考え方に立ち返れば、仕入計画を策定する際は、「セールによる消化を前提としない」予算組みが不可欠となります。しかしながら、セールでの処分を想定せずに仕入計画を組むと、売上や粗利の予算未達を招くリスクが高まります。すべての商品が計画通りに完売するとは限らないからです。あくまで予算達成を目指すのであれば、欠品による機会損失を防ぐための「仕入れの余白」をどう持たせるかが、戦略上の鍵となります。その際、あらかじめ以下の点を具体的に検証しておかなければなりません。
冬セールでの消化: 冬のセールで商品を消化することが可能か。その際、どの程度の売上・粗利が見込めるか。
キャリー(持ち越し)の可否: 来年まで在庫を寝かせる場合、許容できる金額はいくらか。また、その商品は来年も販売可能な鮮度を保てるか。
これらを精査した上で、元の仕入予算に対して「どの程度のプラスアルファ」が許容できるかを決定します。この事前のシミュレーションを怠ると、のちに過剰在庫に悩まされるリスクが極めて高くなるでしょう。
「盛夏・晩夏・初秋MD」は、近年の温暖化の影響もあり、今やアパレル小売にとって必要不可欠な戦略となっています。しかしながら、メディアで報じられる「セール期間中・期間後のプロパー販売が絶好調」といった景気の良い言葉を鵜呑みにし、過剰に商品を仕入れてしまった結果、後に深刻な在庫問題に悩まされる組織も少なくないのが実状でしょう。そのような事態を回避し、健全なMD運用を実現するために、本記事の内容が読者の皆様のヒントとなれば幸いです。
本記事の内容を含めた本格的なマーチャンダイジングに関する知識を学びたい方は、4月25日よりFashion Re:ducationの「MD講義」(3コースあります)が始まりますので、下記のリンクより受講申し込みをしてみてください。

本格的なMD数値の計測や、精度の高い検証体制の構築に興味をお持ちの方は、こちらの弊社サービスページをご確認いただけますと幸いです。
マーチャンダイジング関連のサービスは、以下のリンクをクリックしてご確認くださいm(__)m
【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
小売ビジネスに関するMD(品揃え政策)アドバイス・サポートを
ご希望の方はお気軽にお問い合わせください。